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デブな俺は、痩せるために美少女を飼う  作者: 夢見る社畜
第二章 デブとダイエット
20/27

暗雲

 ──雲一つ無く、どこまでも広がる青い空。真上から注ぐ日の光を一身に受けて輝く桜の葉。その葉の間を駆け抜けて教室のカーテンと俺の前髪を揺らすいたずらな風。


 ──ああ、いつもと変わらない風景のはずなのにこんなにも──。


「……なあ、大地」

「……なんだよ」

「世界って、こんなに輝いてたんだな……」

「まじでキモい」

「ふふ、シイナちゃん。今日も綺麗だよ……」


 俺は大地の戯れ言を無視して、スマホに写ったシイナちゃんに話しかける。シイナちゃんは相変わらず本を読んでいてこちらに見向きもしない。


「どうした優斗、糖が足りなくて頭回らなくなったか? 」

「大地、恋っていいな……」

「お前ほんとにどうしたんだよ……」


 大地に昨日の出来事を説明する。そう、あの俺とシイナちゃんの()が深まった昨日の出来事を。


「いやあ、嫌われると思っていたんだけどな? 笑顔で頭下げられちゃった! 」

「へえ、拒絶はされなかったのか? 」

「当たり前だろ? シイナちゃんが警戒心マックスな時から俺はお世話してるんだ。俺に敵意がないのを感じ取ってくれたみたいだし」


 そう、今朝だってシイナちゃんは変に隠れたりせずホワイトボードに『朝ご飯』と書いてくれた。これは間違いなく俺を信用してくれたに違いない。


「まあ、変な事してなきゃよっぽど大丈夫だからな」

「その変な事って何だよ? 」

「そりゃちゃんとお世話しなかったり、家具とか増やさず下着だけ増やすとかな」

「えぇ……下着だけ増やすとか何がしたいんだよ」

「そりゃ。何もない部屋で下着だけあるとか……言わなくても解るだろ? 」


 そう言われて俺は想像する。──部屋の隅に折りたたまれて積まれた下着を選んで浴室に持って行くシイナちゃん。……なんだかえっちではないか?


「おい、顔がにやけてるぞ? まあ、そんな事やったら最後、嫌われておしまいだけどな」

「そ、そんなことしねーし!? 俺は紳士だし! 」

「紳士はトイレを覗いたりしない」

「……それとこれとは話は別だろ? 」

「ふ……ああ、別だな」


 俺と大地はにやりと笑い合って握手をした。あとで山中にこの間の事を含めて教えとこ。


「で、シイナちゃんに恋をした優斗君はダイエットの方はどうなんだ? 」

「おー、そりゃもうバッチリだ。今-9キロを達成したから今週には-10キロまで行きそう! 」

「くくく、そうかそうか。じゃあ来週に期待だな」


 俺は大地に見とけよーと言いながら、次の授業を始めて行くのであった。






──そんなやりとりを丁度1週間前にした。




 俺は順調に減っていた体重がここ最近グラム単位ですら減っていないことに焦りを感じていた。


 最初こそはご飯を食べすぎたとかトイレ行ってないからとか思っていたが違った。食事の前やトイレを済ませた後に測ってみたが全く変わらない。


 まだまだ腹回りや太もも。顔にも脂肪があるにも関わらず、体重が減らなくなってしまった!!


 「うぅ……シイナちゃん……」


 俺は心の拠り所にしているシイナちゃんの為に、着替えて夜の公園で懸垂をしている。一回ずつしか出来ないがそれでも達成したと見なされる為、シイナちゃんにおやつをあげられた。


 床から現れたおやつを受け取り、微笑みながらおいしそうに食べるシイナちゃん。それをニヤけながら眺めていると、シイナちゃんがホワイトボードに『ありがとうございます』と書いてくれた。


 俺はその文字を見た瞬間、頭のてっぺんからつま先までジンッと痺れるような気持ちの良い感覚に襲われる。


「いいんだよ、シイナちゃん! 俺が不自由なく暮らせるように頑張るからね」


 画面に向かってニヤけながら答えるも、焦燥感が俺の胸を締め付けていた。


「どうする? このままだとご褒美が貰えない。 そうするとシイナちゃんの暮らしがさらに良くならない。でも体重はこの1週間まるで変わらない。運動量を増やすか? いや、運動量は増やした。何なら食事の量も減らした。だけど体重が減らない。どうする、どうする俺? さらに減らすか? だけどこれ以上減らすのは……落ち着け、俺がしっかりしないとシイナちゃんが苦しむ。それだけは避けないと。でも……」






 ──街灯に照らされながらぶつぶつ呟く優斗に、遊具の陰から覗いてる者がいた。その者の存在に、優斗が気付くことはなかった。


今日嫌なことがあったのでブクマしてポイント入れて感想とレビューして慰めてください(ダイマ)

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