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第9話 チャクラの動かし方を教えた

「独学……ってとこですかね?」


 迷った末、俺はそう答えた。


 厳密には、前世には師匠と呼べる存在はいたんだがな。

 彼女らが聞きたいのは「どこで魔術を学べるか」だろうから、故人を挙げてもしょうがないのだ。


 前世でも、師匠亡き後俺は幾多の魔術を開発してきたし……独学と答えても、あながち嘘にはならないだろう。

 もっとも、その領域の魔術は今回の試験では一切使用してはいないのだが。


「そ、そうですか……。変なこと聞いてすみませんでした。失礼します」


 だが……俺がそう答えると、サリファさんは申し訳なさそうな表情を浮かべて一礼して去ろうとした。


 ……あれ。

 もしかしてこれ、魔術を学べる場所を教えたくないから俺がはぐらかしたと思われてしまったか?


「ちょっと待ってください」


 去ろうとするサリファさんを、俺は引き留めた。


「良かったら……俺が教えましょうか? 正しい魔法の使い方」


 すると……サリファさんはパッと明るい笑顔を浮かべてこちらを振り向いた。


「ええ、ぜひお願いします! ミーナも一緒でいいですか?」


「もちろん」


「「ありがとうございます!」」


 ということで……俺は二人に、チャクラを調整して魔法を放つ本来のやり方を教えることになった。

 今日はもう遅いので、実践は明日からだ。



 ◇



 そして……次の日。

 俺が冒険者ギルドに到着すると、二人はもう既にそこで待っていた。


 まずはレッスンを始める前に、昨日のグリフォンの査定結果を聞く。

 グリフォンは、使える素材全ての値段から解体料金を差し引いて百万バリューで買い取ってもらえることになった。


 本当は、早速今日から依頼を受けたりしないと金欠になると思っていたのだが……その心配はなくなったな。

 というわけで、俺たちは今日は解放されている訓練所へと移動し、早速魔術の使い方の伝授を始めることにした。


「まず……これから様々な魔法を覚えていくに当たって、一番重要なことを説明します」


 俺が口を開くと……二人の眼差しは真剣そのものになった。


「二人とも……『チャクラ』って、聞いたことあります?」


「いえ……無いです」

「私も……」


 どうやら二人とも、チャクラという単語すら聞いたことがない様子だった。

 まあ正直、ここまでは想定内だ。


「チャクラというのは、背骨に沿って存在する、イメージとしては歯車みたいな魔法器官で……」


 俺はチャクラの役割やどういう鍛え方をすればいいかについて、一通り語った。

 だが……二人は真剣な態度で話を聞いてはいたものの、ちんぷんかんぷんで全く理解が及んでいない様子だった。


「うーん、どう説明しようか……」


 俺はそこで、すこし頭を悩ませた。

 この世界で知られていない概念を語られても、そうなってしまうのは仕方がない、か……。

 だが……ならどうすれば、感覚的にでも概念を掴ませることができるだろうか?


 しばらく悩んだ末、俺は方針を変えることにした。


「言葉で説明しても難しいでしょうから……俺が実際に、二人のチャクラを動かしてみましょうか」


 俺は二人のチャクラを、ちょっとだけ外部から操作してみることにした。


 本来、チャクラを初めて知覚するには、平均して半年以上瞑想を習慣化する必要がある。

 だが……前世には、それでもチャクラの動かし方を習得できなかった者のために、外部からのチャクラの操作で強制的に感覚を覚えさせる教育方法があったのだ。

 さじ加減を間違えると、操作された側に後遺症が残りかねないリスクがあるので、前世では特殊な教育ライセンスを持つ者しかこれを使ってはいけないことになっていたが……俺はそもそも、前世ではライセンス試験の試験官側だったこともある人間だ。

 そんなヘマは、間違っても冒すことはない。


 リスクを説明しても、二人は何の躊躇いもなくOKしてくれた。


「じゃあ、始めます。——レゾナンス」


 了解を得た俺は、二人のチャクラと自分のチャクラを共鳴させた。


 ……そう。

 実はこの技、原理は使い魔試験の時の「レゾナンスマリオネット」と同じだ。

 人間はチャクラの回転数を支配したところで精神操作はできないし、あの時と違ってごく微弱な回転速度調節しかしないけれども。


「……あ、何か背中で動いてる感触が分かりました」

「歯車みたいなのって……これですね!」


 すると、どうやら二人はチャクラの感覚を一発で掴めたみたいだった。

 それを受け、俺は「レゾナンス」を解除した。

 とりあえず……これで、第一段階は何とかなったな。



 ◇



 それからは毎日、瞑想によるチャクラの回転速度調整トレーニングに励んでもらいつつ、実用的な魔法もいくつか教えていき始めた。

 まずは二人の自然状態のチャクラの回転速度に近い火属性魔法の完璧な発動の仕方を教え、そこからだんだん違ったチャクラの回転速度の魔法も順番に教えていった。


 一旦チャクラという概念を掴んでからは、彼女らの飲み込みの速さは凄まじく、俺が思っていた以上のスピードで二人とも魔法を覚えていった。


 そして……前の試験から一週間が経って。

 冒険者登録試験の開催日がやってきたので、俺は二人に試験を受けさせることにした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 続き書きなよ〜
2022/01/04 14:55 退会済み
管理
[良い点] おもしろい! [一言] 小説情報読んで『〇〇紋』思い浮かべてしまう…そこを改変希望!このまま埋もれるのはもったいない小説なので是非続編をお願いします。 ※作者作品で一番☆つけました
[一言] これからどうなるのでしょう? 応援してます (((o(*゜▽゜*)o)))★★★★★
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