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第4話 冒険者登録試験を受けに来た

「う〜ん」


 次の日。

 冒険者ギルドの近くの安宿のベッドの上で、俺は目を覚ました。



 身支度を整えてから部屋を出て、下の階の食堂に行く。


「食事つきの部屋のお客様ですね。こちらへどうぞ」


 食堂の受付の人に鍵番号を見せると、そう案内されたので……俺は席に着き、朝食を食べ始めた。



 ……いよいよ、今日から冒険者になれるんだ。

 まずは最初にギルドにいって、冒険者登録をしなくちゃな。


 一か月大変だったけどそれももう終わったんだ、などと感慨に耽りながら、俺は用意された食事を口に運んでいった。

 そして食べ終わったら食堂を出て、そのまま冒険者ギルドに向かった。



 ◇



「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」


「冒険者登録をしに来ました」


 冒険者ギルドのカウンターにて。

 俺が受付嬢にそう伝えると……受付嬢は一枚の紙とペンを取り出し、カウンターの上に置いた。


「では、この用紙に必要事項を記入してください」


 渡された用紙に目を通すと、それは氏名、年齢、得意な戦法などを申告するものだった。


 レイン、15歳、得意な戦法は……今の俺だと、魔術より剣術の方が上か?

 などと考えながら、次々と項目を埋めていく。

 全ての項目の記入が終わると、俺はその用紙を受付嬢に提出した。


「レイン様ですね。分かりました。では……これから冒険者登録試験がございますので、受験料一万バリューをお支払いください」


 受付嬢はそう言って、俺に受験料の支払いを求めた。


 一万バリュー……俺が泊まっている食事つきの安宿二日分くらいのお値段か。

 受験料としては決して高い金額ではないが、今の俺のお財布には響くな。

 屋敷を出た時点での所持金十万バリューの俺は、そんな風に思った。

 もちろん、俺は冒険者になると決めている以上、払わないという選択肢はないのだが。


「はい。こちらでお願いします」


 俺は鞄から一万バリュー相当の銀貨を取り出し、受付嬢に渡した。


「ありがとうございます。試験開始は約一時間後となりますので……試験官に呼ばれるまで、しばらく待合所にてお待ちください」


 受付嬢はそう言って、空いてる席を手で指した。

 俺は席に腰かけ、試験が始まるのを待つことにした。



 ◇



 約一時間後。

 俺は試験官に呼ばれ、試験のために貸し切り状態にされたギルド所有の訓練場に案内された。


 今日の受験者は、俺のほかには同い年くらいの少女が二人。

 どちらも、現世の俺と同じチャクラ7個持ちだった。


「みんな揃ったな。じゃあ、これより冒険者登録試験を開始する」


 試験官はそう言って、試験の説明に入った。


「試験内容は二つ。魔術試験と、剣術試験だ。追加点狙いで、使い魔試験も受ける事は可能だが……使い魔を持っていない君たちには、まあ関係ないだろう。使い魔試験はあくまでテイマー用のオプションみたいなものだから、気にしなくていい。登録試験の合否や受かった場合どのランクから始まるかは、試験の総合点で決まる。説明は以上だ。全力を出してくれ」


 試験の説明は、そんな簡潔なものだった。


 剣術試験に、魔術試験か。

 どんな難易度なのかは分からないが……不合格になってしまうほどではないと信じたいところだな。


 あと……使い魔試験、か。

 確かに、今の俺は使い魔など持ってはいないが……その気になれば、臨時の使い魔を用意する方法が無くはないんだよな。

 追加点をもらってより高いランクの冒険者から始められるチャンスがあるなら、一応受けたいとだけ言ってみるか?


 などと考えている間にも、最初の試験の準備が着々と進んでいった。

 最初に俺たちの目の前に用意されたのは……台座の上に水晶が乗った、不思議な魔道具らしきものだった。


「ではまず、魔術試験から始める。魔術試験の最初の内容は、この水晶に触れることだ。これで、魔術の才能を測定する」


 試験官の説明からすると……水晶の魔道具は、魔術の才能を測るもの、ということらしかった。


「まずは……試験番号001番、サリファから」


「はい」


 試験官に呼ばれ、二人の少女のうち片方が、水晶に手を伸ばした。


 魔法の才能……ってことは、おそらくあの水晶は、俺たちのチャクラの個数を調べる魔道具ってことだろうな。

 そんなの「チャクラサーチ」で良いじゃないかって気もしなくはないが……まあ、何かしらこれを使う意義があるから採用されてるんだろう。

 転生してから長い年月も経っていることだし、チャクラの個数以上に細かいことまで調べられる物が開発されてたとしても、おかしくはないな。

 まあ何にせよ、最上級の魔法適性を持つ俺たちなら、全員良い結果が出る事だろう。


 そう思っていたのだが……実際のところは、そうはならなかった。


「魔法の才能は……ほぼ無し、か。これは、次の段階の試験に入る前から厳しそうだな」


 試験官は厳しい表情を浮かべ、そう言ったのだ。

 サリファさんが触れた水晶はといえば、弱弱しく光っていただけだった。



 ……おかしい。

 あれが「魔法の才能」を測るものなら、なんでそうなるんだ?


 そう疑問に思っている間に、今度はもう一人の少女の番が来たのだが……不思議なことに、その子の時も、「才能無し」判定が出てしまった。


 ……何なんだろう、この違和感。


「次。試験番号003番、レイン」


 疑問が解消されないまま、俺は呼ばれたので水晶玉のところへ歩いて行った。

 そして水晶に触れた時……全ての謎が解けた。



 ……これ、チャクラの個数を測定する魔道具じゃないぞ。


 なんとこの魔道具、「現在のチャクラの回転速度が何らかの魔法に適しているか、あるいは回転速度をどのくらい柔軟に調整できるか」を測定するものだったのだ。


 確かに、それなら全て合点がいく。

「チャクラサーチ」で調べてみた感触では、二人の少女はチャクラの個数こそ7だったものの……一切トレーニングをした痕跡はなく、自然状態の回転速度から動かすのは不可能な状態だったのだ。

 そんな状態でこの魔道具に触れれば、良い反応が出ないのは当然だ。



 で……これのどこが、魔法の『才能』を測定する魔道具なんだ?


 そんな新たな疑問が浮かんだ時のことだった。

 俺は、非常にまずいことが起きかけているのに気がついた。


 この魔道具、測定上限の耐久値低すぎな——あっ。


 手遅れだった。


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