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我慢と受け入れ

 それは丈の中学時代にまで遡る。


 中学1年の丈は新しい中学生活に浮き足立っていた。周りは他の小学校から来た人もいて新しい人との出会いで気分が高揚した。


 ある日、丈は女の子に告白された。隣のクラスの運動部に所属する子で丈も人知れずその子の事を気にしていたのだ。”付き合って”と言われたが丈は付き合うということがわからない。


 当然自問自答する。なにに付き合うのか?この子に。この子はかわいいそれは確かだ。悪い噂も聞かないそれも確かだ。出会って数ヵ月、まぁまぁまぁ期間は置いておいたとして付き合うってことがそもそも意味わからない。勉強に?デートに?考えを一つにする?全く女というのはほんとに大人すぎて男の先を行くものだ。


 結局、自問自答してまぁいい人じゃないか、なにを迷う必要がある?こうしてとりあえず”付き合う”ことがどういうことかわからないままその子と付き合った。


 隣のクラスなので会うことは滅多になかった。休み時間中にすれ違うことはあった。でもそもそも付き合うということがどういうことかわからないのでそれっきりだった。


 意識はするが話しかけようにも相手はいつも”他の女子の誰か”といて。休み時間はすぐ終わるし、昼休みには友達と運動がしたくてその子のことは後回しになっていた。相手の気持ちを全く考えていなかった。


 それでも”付き合っている”という既成事実は続いた。付き合うってことはそれ恋人なんじゃね?と思うようになったのはこの頃だったか…相手の気持ちを考える…当時は自分ファーストなので相手の気持ちを考える必要性もそこまで深く考えなかった。


 そもそも丈はまともにあの子と会話したことがない。あの子が何を好きなのかわからない。あの子が家族とどんな会話をしてるだとかどんなことで笑うかとか、そういったことはわからないでも”付き合っている”期間だけは経過していく…それは丈にとても負担だった。


 自分がなにをしているのかわからない…これはある種、丈にとって自分を知るきっかけになった。自分とは何か、相手を知るということはどういうことなのか…


 わからないことの真っ只中にいる自分。わからないのにそれをしている自分。”付き合う”をしてるのだからそれをうまくそれをしなきゃいけないような気持ちになるのだ。丈にとって恋愛はスポーツと同じだった。縄跳びや水泳やサッカーや野球やバスケットと同じ。


 ただ違うとすれば声かけがものすごく重要。自分だけのスタンドプレーではだめ…これ大事。自分は選ばれたと思うけど実はそうじゃない、なんというか選ばれたことに浮き足だって周囲との協調を乱すようでは付き合うことがうまくいかない。この”特別”扱いにも苦労した。


 相手も同じように焦っていたのだろうと思う。女の子が自分から告白してきてくれたのにこっちがその子の意図することを全く理解してくれないのだから。相手は何を思っているのか?相手は今の状況を良しとしてるのか?深刻なのは考えても分からないことを相手に確かめに行くことをしなかったからなんだが丈はその事にまだ気付かなかった。

 

 だから丈は相手の気持ちになって考えてみることをよくした。彼女は中学入学を機にこっちに引っ越してきたのだそうだ。慣れない土地に住むのは大変だっただろう。

 欲しいものがあったとしてどこに何が売ってるかをパッと想像できるのが地元の強みだ。丈はもしかしたらそういうところで彼女の役に立てるかもしれないと思ったのだ。


 しかし丈が彼女のことを知らなかったように彼女も丈のことを知らなかっただろうなと思う。なにせ二人でどこに行ったとか二人で休日遊んだとかそういうことはない。デートとか恥ずかしくてどちらからも言い出せるわけなんてなかった。


 まぁ運動部で同じ部活だったので練習試合がたまたま同じ会場とかはあった。それを休日デートとらえようと思えば思えなくもないかもしれない…がいや無理があるだろう。


 などと中学時代の”初めてのお付き合い”を振り返り、丈は結論を出そうと考える。付き合うとは?受け入れるとは?許すとは?


 ”付き合う”ってことには期限がついたらいけないような気がする。”別れる”って結論を出すことはつまりそれだけは許せないから”見限る”って事とだと思うから。どこまでなら許せるかを決める…これって友達と何が違うんだろう?


 こんな人だと思わなかった…という理由で別れることになる付き合いをするなら”付き合う”前にもっと見ておいた方がいいと思うと言うべきか…。


 いやなんか違う…自分は何があってもこの人を”見限らないと決めた人とじゃないと付き合うべきではない”お、重い…


 なぜならそうでないなら人間はものと同じで飽きたら捨てる、思ってたのと違うで捨てれるから。

恋は盲目っていうのはその通りだと思う。結婚するまでは盲目なのだきっと…


 添い遂げる覚悟がないなら結婚はもちろん付き合うこともしない方がいい…。別れる=見限るくらいなら付き合わない方がいい。で、そのために必要になるスキルが”我慢と受け入れるの違いを理解する”って事だと丈は思う…暫定の結論で。

 

 というかそれが無ければ絶対に結婚なんてできないと思う…。なぜなら結婚する前に我慢できなくて別れるから。付き合うなら受け入れることが必須のスキルだと思うのだ。むしろそれができるようになってからの結婚適齢期とも言えると思ってる。


 我慢は受け入れられない主張なり、生活なり、癖なり、金銭面での不満なりとにかく相手の悪いところが許せない心の状態。受け入れるというのははただただあるがままの”その人”を受け入れること。選択があるとしたらどっちでもいい、どっちもよいという心の状態。


 そんなことを考えている丈は童t…「な…な…童貞ちゃうわ!」なんだかなぁ…であった

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