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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
異世界での冒険
8/86

商売大国ソルム

神によって、今回、英雄は7人選ばれた。種族としては異世界人、人間、獣人、天人、戦人、竜人が選ばれた。彼らの種族の特徴を説明する。


異世界人

文字通り、異世界から来た人である。この世界では昔話で語り継がれている存在である。異世界から来たといっても様々な種族が住むこの世界ではどれかの種族に当てはまることが多い。


人間

寿命は100年程度であり、魔力と闘気の適性が高い。ほかの種族と比べ、独自の力を持たないが、その代わりにほかの種族が持つ独自の力を持って生まれることが多く、可能性が高い種族である。


獣人

獣の特徴を持つ種族で独自の力は持たないが、獣の運動能力や鼻の良さなどを持っている。寿命は120年程度で優れたものであれば、獣化ができる。魔力の適性が少なく、魔術師は多くない。変身する魔術が大苦手である。


天人

寿命は200年程度で老いることがない種族で金髪が多い。また、偉そうな態度をとることが多い。独自の力は天力であり、天力を使い、武器など具現化したり、天術を使い戦う。魔力の適性がほとんどなく、魔力を持っているものは天力を失っている。後天的に魔力を得る方法がある。


戦人

寿命は100年程度で若者である期間が長く、80歳を超えると老い始める。独自の力は闘気であり、ほかの種族より身体能力が高い。闘気は他の種族でも使えるものが多いが、この種族は闘気を増幅させる技術を持つ。また、戦いが好きなため、数が少ない。


竜人

竜の特徴を持った種族で寿命は150年程度であり、魔力適性がない。独自の力は竜力であり、自分を強化したり、歌や踊りなど周りを強化する。イグニス以外ではあまり見かけることがなく、戦人と同じく、戦い好きである。めったにいないが竜化することができ、竜の姿になることができる。



前回のあらすじ

レイたちはソルムで行われるゲームに参加するため、ソルムに向かう。そこで新たな人物や出来事があり、レイたちの物語が再び始まろうとしていた。


****


 レイたちはソルムに向かう準備をしていた。シュガーの提案により、商会ギルドの馬車に護衛として乗せてもらい、ソルムに向かうことにした。もう少しで出るところでレイとミラはシュガーとレイに疑問に思ったことを質問した。


「なんで、馬車の護衛として、乗るんだ?」

「そのほうが楽で金がかからないからだ。今回の場合はソルムで大会が行われるなら、商会は何かしらの店を出すためにソルムに向かおうとする。それに護衛として、乗せてもらう。金は出ないが、飯は出る。持たれ持ちつつというやつだ。商会ギルドに知り合いは作っていた方がいい。そうしたら、護衛として乗せてもらえて、様々な国に行きやすくなる」


 小さい商会は商会で専門の護衛を雇えないことが多い。そのため、冒険者などを募集し、護衛として雇う。護衛してもらっている間は食事を提供するが、賃金は発生しない。その代わり、冒険者はその国まで送ってもらえるという仕組みだった。これはギルドに所属していない冒険者などがよく利用している。

 ちなみに傭兵専門のギルドにお願いして、護衛を付けることもある。この場合はギルドに依頼しているため、賃金が発生するが、護衛の腕は保証されている。


「リアマの槍って、どこにしまっているの?」

「私の槍はリトスの中に収納している。リトスにそういう機能を見つけた。教えていなかったか」


 リアマはそう言いながら、懐中時計型のリトスの中から槍を取り出した。


「そんな便利な機能があるなら、教えてよ」

「それはすまなかった。収納以外にも便利な機能があるかもしれない。シュガーと相談して、探していくつもりだ」


 リトスには収納機能があり、そこにリアマは槍を入れていた。話をしていたら、馬車が出発する時間が来た。レイたちはそれぞれ護衛する馬車に乗り込んでいった。


****


 3台の馬車はルークスから出発し、道に沿って一列にして走らせていた。一番前の馬車にレイ、アモル、シュガー、リアマが乗っており、真ん中の馬車にはアスラ、ルキス、ミラが乗っていた。最後尾の馬車には4名の護衛が乗っていた。

 レイは口を開き、アモルの家族のことについて、聞き始めた。


「そういえば、アモルの家には親御さんがいなかったけど、どうしているの?」

「私は将来自立できるようにと親と別居しているんです。今の家は親が買ってくれた物なんです」

「子供のためとはいえ、家を一軒買ってくれる家なんだね」

「リベラの家はルークスの貴族だ。立派な跡継ぎにする必要があるからな。そして、自由の地域リベルダースはアモルのご先祖様が作った地域だ」

「そうです。私のご先祖様は皆が自由に生きていけるようにするためにリベルダースを作りました。私は先祖の名に恥じない人物になることが目標です」


 自由の地域リベルダースは七つの国に束縛されない地域である。小さい国がいくつか集まってできた地域である。どの国に対しても中立の立場をとっており、税金は他の国と比べて、安い。

 アモルはシュガーとリアマの家族について、聞いた。


「シュガーの家族はどうしているんですか?」

「小さいころに離れてそれきりだ。そして、別の家に拾われて、その家に世話になっている」

「苦労したんですね」

「まあな。しかし、拾ってくれた家がいい家だった。今でも、世話になるときがある。今はイグニスに住んでいる」

「イグニスと言えば、リアマの家族はどうなさっているんですか?」

「アモルは察しがついているだろうが、私はイグニスの王家の生まれだ。現王である父、母、妹がいる」

「妹さんがいるんですか。どんな人なんですか?」

「おい」


 シュガーはアモルに声をかけて、止めようとした。しかし、止めるのが遅かった。


「私の妹はアルティと言ってな、かわいい。まず一番に思うことがアルティがかわいいことだ。何がかわいいって言えば、私とは違い、表情豊かで笑顔がまぶしい。そして、民のために歌うのだ。もちろん、歌がうまくきれいだ。誰かのために悩める優しさを持っている。そして、母から受け継いだ金色の髪がきれいで瞳の色は私と同じ緑色だ。私と比べて、体が小さいから、守ってあげたいという気持ちが生まれる。勘違いしてほしくないのだが、体が小さくなくても、私のかわいい妹だ。命を懸けても守る。しかし、そんなことをして、私が傷ついたら、アルティが悲しんでしまうから、私は強くなるぞ。アルティのかわいさを世界中に広げたい」

「それなら、妹さんのためにも頑張らないといけませんね」


 そんな話をしているとシュガーが馬車の運転手に声をかけた。


「馬車を止めてくれ」

「なんでだ」

「何者かが近づいてきている。おそらく、魔物だ」


 シュガーがそう言うと運転手は慌てて、馬車を止めた。シュガーは馬車に降り、レイとリアマ、アモルに声をかけた。


「レイとリアは俺と一緒に戦い、レイはアモルからアニムスを取り出してくれ。そして、アモルは馬車を守ってくれ」

「分かった」

「ああ、最後に1つ、レイ。今回はフィデスなしで戦ってくれ」

「ああ、分かった」


 レイは少し不安に思った。レイ自身が戦うのはこれで2回目だった。最初の1回目は初めて、フィデスでフォルテに変身した時である。あの時は何もできず、フィデスになければやられていただろう。この戦いはやられないと決めた。

 そう思っていたら、フォルテが話しかけてきた。


「がんばれよ、相棒。まあ、いざとなったら俺が出る」

「そのようなことにならないようにするよ」

「なら、今回は相棒の実力を拝見させてもらうぜ」


 シュガーの予想通り、魔物は3匹、やってきた。これに対し、レイたちは1人1匹ずつ相手にすることにした。

 シュガーとリアマは手に持っている武器で魔物を一瞬で片付けた。そして、2人はレイの方に体を向けた。しかし、加勢する様子はなかった。あくまで、レイ1人でやらして、危なくなったら、助けるつもりだった。その証拠にシュガーの左右の手の平には火の玉があった。遠くからでも助けられるようにするためであった。

 レイは魔術で風の弾を作り、魔物に当てた。しかし、魔物は傷つきながら、レイに近づいて、右前足を振り上げ、レイに対し振り下げた。レイは左に避けて、黄金の剣を魔物の体に対し、振り下ろした。結果、魔物の体は上半身と下半身に分かれて、動かなくなった。フォルテがそれを見て、感想を言った。


「良し」

「俺なら、首筋を狙って、息の根を止められたな」


 シュガーは魔物の死体を馬車が進むために邪魔にならないように端に寄せて、魔術で燃やした。アモルがレイに駆け寄って、話しかけてきた。


「やりましたね。それにしても、前とは違い、今回は倒せましたね」

「前と違って、体が思い通りに動かせたんだ」

「おそらく、フィデスを使い、フォルテを呼んだことでフォルテに引かれて、身体能力が上がったのだろう」


 それと同時にシュガーは不思議に思った。

 フィデスはリトスの中にたまっている力を消費して、発動される。シュガーが把握している中ではフィデスは主に2つに分けられた。1つは発動して、大技を使用するタイプ。もう1つは発動し、維持するタイプである。

 前者はレイの未来召喚(フトールム・フォルテ)という大技を使い、後者はミラの七力理解(セブンスタンド)を発動し、7つの種族を使えるように状態を維持する。

 ミラのタイプのフィデスは自由に使い分けられるために力の消費を抑えやすいのが特徴である。しかし、レイのタイプのフィデスは発動し、それが無駄になったとしても、力が消費されてしまう。そのため、連発するのが難しかった。

 しかし、レイのフィデスである未来召喚は何度も使用されている。レイにしかない何かがあり、連発を可能にしている、それか何かしらのリスクがあるとシュガーは考えていた。


 シュガーたちは馬車に乗り、移動を再開した。そして、夜を迎え、周りが見まわせる広場で休むことになった。夜の間は各馬車が1人ずつ出し、3人ずつで交代しながら、夜襲に備えることにした。しかし、この方法だと2人になるときがあるので、そこにはシュガーが入ることで補うことになった。

 夜襲もなく、無事に次の朝を迎え、馬車に乗り、移動を始めた。


****


 シュガーがいきなり変なことをレイに聞いた。


「レイ、アモルから抜いたアニムスの黄金の剣に名前はあるのか」

「ないけど、それがどうかしたのか」

「みんなで名前を付けよう。誰から抜いたのかわかりやすくするために。あと、暇潰しのために」

「確かにいつまでも、黄金の剣だと味気ないですし、いい案ですね」

「なら、10分後に発表だ。俺、アモル、リアマ、レイの順番でな」


 そして、10分経った。シュガーが言った順番に自分が考えた名前を発表した。


「クリュサオル」

「アストライア」

「勝利を呼ぶ黄金の剣‐ズィークルーフェン・ゴルト・シュヴェアート‐」

「カリバーン」

「名付けた由来を聞こう。特にリアのが聞きたい」


 シュガーがそう言い、それぞれの名前の由来を聞いた。


「俺のクリュサオルは昔いたと言われた怪物の名前が由来だ。嘘か本当かは分からないが、クリュサオルは生まれた時から黄金の剣を持っており、その剣を振り回したと言われている。クリュサオルという名前が付けられることもある。実際に知り合いにいるしな」

「私のアストライアは昔、光の神ルークスに仕えていたと言われている人の名前です。アストライアには星のごとく輝く者という意味があり、正義に準ずる人だと言われています」

「私の勝利を呼ぶ黄金の剣‐ズィークルーフェン・ゴルト・シュヴェアート‐は特にない。印象が残るようにした」

「俺のカリバーンは俺の世界で伝えられている物語で出てくる剣の名前だよ」

「さあ、どれがいい?」


 レイはどの剣の名前がいいか考えた。そして、答えを決めた。


「アモルから抜いたアニムスだから、アモルがつけてくれた名前で呼ぶよ。この黄金の剣は今からアストライアだ」


 アモルから抜いたアニムスである黄金の剣の名前はアストライアに決まった。そして、さっきの戦いで疑問に思ったことを聞いた。


「みんな、鎧を着てないよね。なにか理由があるの?」

「それは鎧を着ていると火の魔術などでやられやすくなるからな。戦闘中に鎧を脱ぐ暇はない。それに鎧を着なくとも、魔力などで使えば、代用できて、自由に解くこともできるからな」


 シュガーがそう解説するとリアマが付け加えた。


「しかし、魔力などとは違い、鎧だと誰でも簡単に防御を高めることは事実だ。鎧が使われるときは特殊な鉱石を使い、作成した鎧を着ることで対策ができる。これなら、弱点をなくしつつ防御を高めることができる。まあ、そうしてきたなら、武器で叩きのめすだけだがな」

「ならさ、俺にもできるかな?」

「もちろん、できる。基本的な身体強化はマナを使わないから、練度の違いはあれ、誰でも修得はできる。身体強化や武器の強化は力を強化したい場所に集め、外側に放出し維持するイメージで行う。鎧の代わりにするときは守りたいところを重点的に強化することで行う。攻撃するときは武器に集め、攻撃する。それと同時に魔術を使うことは大変だし、魔力の消費も激しくなる。練習あるのみだな」


 レイはさっそく魔力を腕に集めるイメージをして、腕に集めてみた。その状態を維持し、シュガーに聞いた。


「腕に集めてみたよ」

「そんな感じであとは外側に纏うだけだな。それをさらに高めることで鎧の代わりにし、ダメージを減らす。常に行うのが理想だが、それだと魔力の消費が激しいため、戦うことが難しい。だから、それを咄嗟に行えるようにし、必要な時に行えるようにするのが理想だ」


 そう言いながら、シュガーは右手に魔力を集め、鎧の状態にした。レイはシュガーが実践していることに気付いた。


「あ、本当だ。シュガーが魔力を纏っているのが分かる」

「私には分からんな」

「私も分かりません」

「力を感知するには訓練が必要だ。そして、感知できるのは基本的には自分が持っている力のみだ。俺は瞬間移動を有効に使用するために自分が持っていない力でも感知できるように訓練している」

「俺にも瞬間移動できるようになる?」

「才能がないと無理だ。例え、才能があったとしても5~10年ぐらいの修行が必要になる」


 こんな話をし、魔物の襲撃もなく、夜を迎えた。前日の夜と同じローテーションで護衛をした。そして、太陽が昇り、世界に朝日が差した。


****


 馬車の運転手はレイたちに話しかけてきた。


「護衛ありがとうな。魔物の襲撃がなければ、今日の昼頃に着くぜ」

「そうですか。教えていただきありがとうございます」


 ソルムに着く時間帯を教えてもらい、アモルはシュガーにソルムについてからの予定を尋ねた。


「シュガー、ソルムに着いてから、どのように行動するんでしょうか」

「宿屋だな。泊まるところを確保せねばいかん」

「あなたの家はないんですか?」

「出身がソルムで今住んでいるのは主にイグニスだな。ゲームまで、残り1週間あるから、宿屋を確保した後は自由行動だな」


 魔物の襲撃はなく、予定通り、昼にソルムに着いた。レイたちは宿屋を見つけ、部屋を確保した。部屋の割り当てはアモル、リアマ、ミラの3人、アスラ、レイの2人、シュガー、ルキスの2人だった。

 シュガーは用があると言い、ルキスは珍しいものがないか探すと言い、2人は出かけた。アモルはレイに提案した。


「レイ、ソルムに来ましたし、何か武器を購入しませんか?」

「どうしたの、アモル。俺にはアニムスがあるし、フィデスもあるよ」

「どちらも使えない状況が来るかもしれません。シュガーみたいに念を入れましょう」

「あれは念を入れ過ぎていると思うよ」


 シュガーは腰に2本の刀を差し、右太ももにホルスターを付け、銃を収納している。さらに左太ももにも短刀を収納していた。銃がなくとも、シュガーは魔術で対応できる。レイはシュガーの武装は警戒し過ぎだと思っていた。

 しかし、アモルの言っていることはもっともだと思い、武器を探しに行くことにした。


****


 ソルムの町中はいつも以上に露店がたくさんあふれていた。食べ物や小物などが売られていた。


「レイは何の武器はいいですか?」

「携帯性を考えて、剣がいいかなって思っている」

「なら、適当な店に行って、剣を買いましょう」


 剣、刀を持っているのはアモル、シュガー、ルキスの人だった。彼らが剣を使っているのは持ち運びのしやすさなどを考慮した結果だった。リアマの槍みたいにリトスに収納する方法もあった。

 しかし、今回、レイは異能力アニムスとリトスを用いるフィデスが使えない場合を想定していた。このことから、持ち運びがしやすさとアニムスで使用することが多い剣がいいと考えた。

 そして、アモルとレイは指輪、腕輪共に剣が売られている露店を見つけ、レイが気に入るものを探した。


「どれにしましょう」

「魔力が通りやすい剣がいいな。うまくいくかは分からないけど、考えがあるんだ」

「なら、これですね」


 店主は樽に入れていた剣を取り、レイに渡した。

 レイは手にした剣に魔力を流した。初めてやることだったので、少ししか流せなかったが、レイは 自分のアイデアができると思った。


「この剣に決めた」

「この剣は6000リラになります」

「ほかの剣と比べて、高いんですね」

「この剣は魔力が通りやすくするために特殊な鉱石が使われているので、高いんですよ」


 この世界のお金はリラであり、Liraから取って単位はLである。リラは硬貨と紙幣が存在している。

 アモルは店主にお金を支払い、剣を買った。


「いつか、まとめて返すよ」

「期待して、待っていますよ、レイ」


 剣を買ったレイとアモルは他の露店の商品を見て回り、宿に戻った。


****


 ルキスは珍しいものを見るために露店を見回って、歩いていた。そしたら、ある場所で人だかりができていた。何があったのだろうかと思うと同時に面白いことが起きていそうと思い、近づいて、見ることにした。

 そこには2人の男がいた。帽子をかぶった男が立っており、もう1人の男は座り込んでいた。周りの人に事情を尋ねた。


「何があったんですか?」

「あの帽子をかぶった男が肩をぶつけてしまったんだ。そしたら、もう1人が謝罪を要求して、謝ったんだが、なんか納得がいかなかったらしいんだよ」


 事情を聞き終わったら、当事者の口が開いた。


「もっと、丁寧に謝りやがれ」

「おたくに謝っただろ。すまんと。これ以上、何すればいいんだ?」

「誠意が足りないんだ。殺すぞ」

「なら、決闘するか」


 男はそう言いながら、両手に1つずつ、球を持った。男の肩にはホルダーがかけられており、合計6つの球が収納されていた。


「なんだ、それは?」

「殺すと言うほどだ。さぞかし、誇りを傷つけてしまったんだろう。なら、誇りを取り戻すなら、決闘だろ。おたくは何の武器を使っても構わない。その腰につけてあるのは飾りじゃあないんだろ」


 文句を言った男の腰には銃があった。しかし、男は躊躇っていた。

 その様子を見て、球を握っていた男は冷静に言い放った。


「別にやらないなら、それでいいけどな。ただし、銃を持ったら、遠慮なく反撃する」


 2人はしばらく睨み合っていた。球を握った男は相手に決闘する意思がないと判断したのか、背を向けて歩き出した。男は背を向けたなら、反撃ができないと思い、銃を握って、相手に向けた。

 背を向けた男は相手が銃に握った時点で右手の球を回転させ、左の脇下から投げた。放たれた球は相手の左手に当たり、手を砕いた。相手は悲鳴を上げながら、銃を落とし、球は地面に落ち、右手に戻り、その瞬間、歓声が上がった。


「不意打ちとはな。ますます誇りを傷つけるだけだろうが」


 ルキスは帽子をかぶった男に近づき、男が放った球のことについて、聞いた。


「今のって、どんなことしたの?魔術?闘気?」

「何かを尋ねるときは名前を名乗るものだ、お嬢さん」

「ボクは人のルキス・ペリペティア。冒険者をやっています」

「俺の名は人のキルト・クイス。今のは技術だ。俺の一族に伝わっているな」

「本当に技術だけなの?」

「投球するのに使うのは技術だけだ。球の方は特注で作った魔具だけどな」

「ボク、いろんなことが知りたいんだよね。教えてもらえない?」

「さっきも言った通り、この技術が俺の一族が伝えているものだ。簡単に部外者に教えないし、簡単に身に着けられる技術ではない。俺はこの国で行われるゲームに参加するために来たんだ。じゃあな」


 キルトはルキスに別れの挨拶をすると背を向けて、歩いて行った。

 ルキスは魔術などを使わずにあの投球ができるキルトがすごいと思った。彼がどのような人物なのかが知りたくなった。


****


 リアマとミラは宿の部屋でゆっくりしていた。扉が叩いた音が聞こえ、ミラが対応した。


「どちら様―?」

「俺だ」

「俺じゃあ分からない」

「シュガーだ」

「入っていいぞ」


 ミラの確認が取れた後、扉を開けて、シュガーが入ってきた。シュガーは宿屋の中にいたが、武器は身に着けており、その手には脇差しが握られていた。


「何か用か?」

「リアマに用があって、来た」

「私にか。何の用事だ」

「この刀を渡しに来た」


 シュガーはリアマの手を取り、短刀を握らせた。


「何のために渡す?」

「室内などで槍が使えないときに使うためだ。リアには竜力があるから、平気かもしれないけど、万が一のために持っていてほしいんだ」

「分かった」


 リアマはシュガーの言葉を了承し、脇差しを受け取った。そうするとミラがシュガーに尋ねた。


「私にもあるのか?」

「ないな」

「ないのかよ」

「代わりと言ってなんだが、この指輪を貸そうか?」


 左手の人差し指から指輪を抜き、ミラに見せた。その指輪は隕石でできている物だった。


「この指輪にはどんな効果があるんだ?」

「この指輪はある魔術師からもらった物だ。その魔術師曰く、指輪の元となった鉱石は未知なる力を引き出す物らしい。その人と俺はつけていても目覚めなかったが」

「それなら、私がつけても意味がないだろ」

「でも、ミラはフィデスの七力理解(セブンスタンド)で色々な力が目覚めているし、未知な力が目覚める可能性はあるだろう。指輪をつけることでまだ引き出せていない力を引き出せるかもしれない」

「なら、つけてみるか」

「絶対に無くすなよ。お前だから、貸すんだからな」


 シュガーはミラに念を押して、注意し、ミラは気になっていたことを聞いてみた。


「分かった。あと、1つ聞きたいことがあるんだけど」

「なんだ?」

「シュガーは獣人だから、尻尾があるだよな?」

「それはあるだろ」


 シュガーは赤いコートの裾を持ち上げて、赤い尻尾を見せた。


「尻尾を触らせて」

「いやだ」

「なんでだよ。減るもんじゃないだろ」

「減るもんじゃないからといって、胸を触らせてくれる人はいないだろ。それと同じだ」

「私たちの中で触った奴はいるか?」

「リアとルキスだな。触ったのは。ルキスは俺が寝ているときに触ってきたな」

「ルキスに触らせているじゃん」

「隙を突かれたんだ。お前が異能力に目覚めて、見せてくれるなら触らせてやる。異能力には興味があるからな」

「言ったな。リアマが証人だぞ」

「私は好きな時に触れるからな」


 ミラはシュガーの尻尾、というより獣人の尻尾を触るためにミラは異能力を身に着けられるようにしようと強く誓った。


****


 レイとアモルは宿に戻ってきた。レイは自分の部屋に行こうとして、扉を開けた時にアモルが声をかけてきた。


「レイ、部屋にアスラはいますか?」

「いや、いないみたいけど」


 レイはアモルがなんでそんなことを聞いてきたのが分からなかった。アモルはレイを押し、部屋に入れ、扉を閉めた。


「いきなり、何? アモル」

「レイに渡したいものがあるんです」

「渡したいもの?」

「これです」


 アモルの手には銀の指輪があった。これを二人だけのときに渡したかったため、部屋にアスラがいないのかを確認したのであった。


「これを俺に? 銀って、高いじゃないの?」

「この指輪はレイが持っている剣より、少しだけ高いだけです。遠慮なくもらってください。私がレイにあげたいのですから」

「俺って、貰ってばかりだよな。剣といい、指輪といい」

「レイは異世界の英雄でこの世界を守ってくれる人です。世界を守るために、一緒に努力していきましょう」


 その言葉を聞いて、レイはこの世界のことをますます守りたいと思った。それと同時に自分が守る世界がどんな世界なのかが知りたくなった。


「アモル、指輪ありがとう。一生大切にするよ」

「それはよかったです。指輪の内側には私の名前が掘ってあります。元の世界に帰っても、それを見てこちらの世界で過ごした日々を思い出してください」

「なんで、銀の指輪を選んだの?」

「銀は魔を払うと信じられているからです。あと、シルバだからです」


 アモルはレイ・シルバのシルバと銀を掛けたみたいである。


 レイたちはこうして、ゲームが始まるまでお互いの絆を深め合った。そして、ゲームの開催日を迎え、物語が始まる。


感想、アドバイスよろしくお願いします。

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