エインヘリヤル 天体の歪みによる停滞 ‐シュテルネンリヒト・ファウスト‐
理想郷・英雄12柱の集い
獣人の英雄シュガーが使用するエインヘリヤル。
能力はエリュシオンという理想郷を作り出すことと英雄の使役である。リトスに刻まれた英雄の情報をもとに召喚される。
英雄は自分を含めた12人まで使役できず、12人とも違う種族でなければならず、男性6人女性6人で構成されている必要がある。使役という形で繋がっているため、フィデスとエインヘリヤルを使いこなすことが可能である。
使役できるのは12人までだが、エリュシオンで新たな英雄を召喚し、育てることはできる。
この12人は倒されることで世代交代が起き、新たに補充される。それゆえ、12という数は変わらず、時間が経てば経つほど洗練されていく。
ほかのエインヘリヤルと違い、常にリトスの内部に展開されており、英雄たちはそこで過ごしている。エリュシオンには使役された英雄、ヘタイロス、使徒が過ごしている。彼らのほかにも精霊なども過ごしており、もはや1つの世界と言っても過言ではない。
ただし、リトスから使役された英雄は肉体を持たないがゆえに現世へと出現することができず、エリュシオンから出ることはできない。そのため、戦う時はシュガーが展開する必要がある。
前回のあらすじ
ついにトラヴァを破ったシュガー。
先へと進んでいくレイたちだったが、邪竜人のぺブラが立ちはだかる。
彼女とはリアマが戦うことになり、レイたちは先へと進んでいく。
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無駄だ。
世界中逃げ隠れしても、姿を偽っても貴様は逃れられない。
延焼する憎悪と復讐への渇望が貴様の居場所を教えてくれる。
私たちを引き離すことは決してできぬ。
我が恥辱は貴様の血だけが洗い流すことができるのだ。
私の誇りを汚した恥辱を撒き散らしてやる。
お前の運命は決まっている、死だ。
「英霊 暁天から降り注ぐ天体」
キンキンキン。
金属と爪が打ち合う音が鳴り響いていた。しかし、ぺドラの姿は見えなかった。
リアマは第4段階まで竜化していた。その姿は竜眼に2対の竜角だけではなく、手足の皮膚が赤い鱗に変わっていた。それに加えて、背中には赤い翼が生えていた。その姿は竜に限りなく近づいていた。
ぺブラも竜化し、金の鱗を持つ人竜へと変わっていた。
リアマはまだ人の面影があるが、ぺブラは完全に竜であった。
ぺドラのドラゴルスは加速であり、その速さはリアマが一方的に防戦を迫られるほどだった。
「くっ!」
彼女の速さに対応するためにリアマはエインヘリヤルを発動し、自分自身の重力を軽くしていた。
なんとか、致命傷を裂けるが、それにも限界が来た。
「これでお終いね」
ぺドラは前から攻撃することで態勢を崩し、爪で追撃するために前に出すとリアマは槍で防ごうとした。しかし、それはフェイントであり、後ろに回り込まれた。
攻撃されようとした瞬間、リアマはフィデスを発動させた。
「時間よ、止まれ」
時間が止まり、動く者は誰もいなかった。リアマは距離を取った。
時間よ、止まれの効果である時止めはある程度の範囲にしか効果はない。それでも、耐性がない者には絶大な効力であった。このフィデスはエインヘリヤル級であり、使うにはとつてもない力を使うため、気軽に発動できるものではなかった。
この能力にも弱点がないわけではなかった。この時止めはフィデスであるため、英雄の格が上の英雄には効きづらいことである。それでも、上位エインヘリヤル級でなければ、動くことは難しい能力であった。
「今なら、レイとルキスも離れているだろう。光栄に思え、ぺドラ。お前には真のエインヘリヤルを見せてやる」
現実、理想、乙女の愛、女神の愛。
現実は苦しみであり、理想は夢であった。
この不毛な無限の上に。
実りを生み出す者に。
私はこの命を捧げたいのだ。
「英霊 天体の歪みによる停滞」
時は動き出し、世界は黒く染まっていく。暗い空には輝く星々があり、地面は白い土であった。
リアマには何も降りかからない。しかし、彼女以外には問答無用で振りかかる。その正体は人であれば、常日頃から体で受け止めているものであった。
今はぺドラを襲うものになっていた。
「なに、これは!」
まさに彼女は実感していた。
リアマは槍を持ち、ぺドラを襲う。彼女は爪で対応していくが、加速を使っているにも関わらず、対等の速度で戦っていた。
それどころか、時間が少しずつ過ぎていくと速さではリアマの方が勝っていた。
「この体の重さは何!?」
「それが私の真のエインヘリヤルだ」
リアマのエインヘリヤル 天体の歪みによる停滞はリアマにかけている重力とは反対の重力を世界全体、無差別にかける能力であった。リアマの重力を軽くすればするほど、世界にかかる重力は強くなっていく。
それゆえに仲間がいる状況では使えなかった。シュテルネンリヒト・メテオールはこのエインヘリヤルを限定的に使用しているだけにすぎない・
ただし、重力をかけるだけの能力ではない。
(なに、リアマの速さは? どんどん速くなっていく)
重力は強ければ強いほど空間は歪み、時間が遅くなる。逆に重力が弱ければ弱いほど、時間は早くなる。そのため、無重力では重力ある地上と比べ、早く時間が進む。
ぺドラの1秒はリアマの5秒ほどであり、1秒行動している間に5秒動ける。それが速さの正体であった。
このエインヘリヤルはフィデスであるファウストを使いやすくした能力である。
やがて、手数の多さではリアマが圧倒していた。
「そろそろ、決着をつけるぞ」
(勝ち目はある)
ぺドラは防戦になっているが、そう確信していた。彼女が受けた傷は多数あったが、どれも軽く、致命傷には至っていない。
能力を把握し、リアマの弱点を見抜いていた。
(こちらに重力をかかる能力でリアマにはおそらく反対の重力がかかっている。その差が速さにつながっている。こちらにかけるほど、あの子の重力は軽くなっていく)
ぺドラの推理は間違ってはいなかった。彼女に重力をかけるということはリアマに反対の重力がかかる。すなわち、リアマ自身は軽くなるということであり、攻撃の威力が下がることにつながった。
(こっちは重くなっているが、その分一撃が重くなっている。それにかける)
リアマとぺドラの戦いは続き、互いに譲らなかった。ぺドラは攻撃そのものをよけきれなかったものの当たってからずらすという方法で斬り傷を軽くする。
やがて、大きな影ができ、ぺドラは上を見上げた。そこには巨大な隕石がゆっくりと降ってきていた。
「なんだ、これは!? めちゃくちゃすぎる!」
当然、彼女は逃げようとするが、リアマはそれをさせなかった。
「逃がさん」
彼女はさらに重力を強め、動くのを困難にする。逆に自分自身は軽くなっていたため、ジャンプすることでその場から離れた。その跳躍は普段ではできないほど高く跳んでいた。
「うわああああ!」
隕石はぺドラを目掛けて、落ちていき、跡形もなく潰れてしまった。
****
レイとルキスは先へと進んでいき、扉を開けた。
その部屋には棺があり、それの前にボスと老人、アモルがいた。レイはその老人に見覚えがあった。
「あっ、あの人は……」
「レイ、知っている人なの?」
「僕とアモルに地図をくれた人だよ」
「ということは邪竜人か」
2人が確認していると老人の口が開いた。
「少し遅かったですな」
「もう、封印は解いた」
棺の蓋は開き、そこから黒い煙のようなものが出現し、アモルに包んでいく。
「アモル!」
「レイ……」
彼女の服は黒く染まっており、眼も黒く染まっていた。
「ようやく、復活ができた」
封印されていた化け物はアモルを通じて、復活してしまった。




