英雄12柱の集い
運命の一本道
英雄ズヴェズダが使うエインヘリヤル。
能力は望んだ結果を引き寄せるである。
ズヴェズダが設定した条件を満たさない限り、エインヘリヤルを発動した時点まで時間を戻す。それ以外の条件なら、相手や自分が死んでも時を戻し、なかったことにする。
結果、条件を満たさない限り、無限ループが起きる。
前回のあらすじ
封印されし扉を開け、先を進み続ける英雄。
トラヴァ、ブラックドラゴンが立ちはだかるが、シュガー、ミラ、アスラ、ルリの4人の英雄が足止めをすることになった。
トラヴァの最強奥義 次元爪に対抗して、シュガーはエインヘリヤルを発動させた。
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永遠の安息を英雄たちに与え、絶えざる光で照らそう。
正しい人は永遠に記憶され、悪い知らせにも恐れはしない。
全ての死せる信者の霊魂をことごとく罪の鎖より切り離そう。
彼らが聖寵の助けによって刑罰の宣告をまぬがれよう。
永遠の光明の幸福を楽しむにいたらんことを。
「英霊 理想郷・英雄12柱の集い」
色とりどりの花が咲き誇る花畑ができ、芳香が流れだす。
空は青く染まっており、太陽までもがあった。その日差しはそれを苦手としている吸血人になっているシュガーにも心地よいと感じさせてくれる。
12人の英雄が並んでいた。その英雄たちは全員違う種族である。
「ミラ、英雄の第3段階がエインヘリヤルと呼ばれているか知っているか?」
「知るかそんなこと」
「リトスは神魂で出来ている。エインヘリヤルはその神魂を取り込むことで到達することができる。リトスそのものは残り、それが次の段階へと進む鍵とはなるが、今は関係ない」
リトスは神の魂で出来ており、エインヘリヤルに到達するとリトスは抜け殻となるが、まだ役目が終わったわけでない。
「抜け殻となったリトスに神の代わりに英雄の情報が刻まれていく。エインヘリヤルを使用することでそのリトスは英雄そのものになっていく。それは死してもなお残り続ける死せる英雄 となる」
「ふーん、そうなんだ」
「なるほど」
ミラはさほど興味なさそうに、トラヴァは感心したような感想を言った。
「俺のエインヘリヤルはいくつかの条件はあるが、英雄を使役し、リトスから蘇生することができる。この11人の英雄たちは歴戦の英雄だ。ソフィア」
「シュガーがジョルジュとニコラウスに戦ってほしいって」
「了解しました」
「分かった」
シュガーがソフィアの名前を呼ぶと彼女は彼が指示したかったことをジョルジュとニコラウスに指示した。
ソフィアと呼ばれた女性は緑髪であり、種族は智人であった。目に入るのが後頭部から生えている房状の触手であった。この器官はリードと呼ばれる力を使うために必要であり、その力は読み取る能力であり、これにより心を読むことが可能であった。
ジョルジュと呼ばれた男性の額には金色に輝く宝玉があり、金色の髪をしている紳士であった。彼は女性しかいないはずの宝玉人であった。
ニコラウスは一見青髪の男性であった。
「さて、やりますか」
「ああ」
ジョルジュは詠唱し、魔術を放つ準備を始め、ニコラウスの左腕が青く燃えだした。
ニコラウスの種族は秘人と呼ばれる種族であった。その種族は世にも珍しい体内でマナを生成できる種族であり、そのマナは炎のようになって現れる。その炎には一般的な炎の性質は持ち合わせていない。
彼は左腕を前に出すと青い炎が手の形になり伸びていき、トラヴァへと襲い掛かる。
「この程度か」
彼は攻撃を気にせず、前へと出ていく。攻撃を通過させながら、ニコラウスへと近づき、次元爪で反撃しようとした。
ニコラウスは新たに青い炎で3本の手を作り、1本は掌で受け止めるために、2本は念のためにだった。
「やっぱりか」
青い炎は竜の爪にかき消されていく。ニコラウスも腹へと進んでいくと残り2本の手で腕をつかみ、動きを止めた。すかさず、背中から2本の手を作り出し、両手を組んでハンマーのように振り下ろした。それと同時にジョルジュの漆黒の破壊光線が放たれる。
轟音は鳴り響くことはなく、漆黒からトラヴァは現れ、距離を取った。
「攻撃と防御は同時に行えないようだな」
「なら、カウンターのタイミングを狙えばいいが、それをやらせてくれるとは思えない」
「あれがドラゴルスか」
戦いを元に分析しているジョルジュとニコラウスを傍目にシュガーは読心し、トラヴァを解析していた。
彼は足を前に踏み出した。
「俺が行く」
シュガーは空間転移を使い、トラヴァへと後ろへと移動し、太陽を背に氷で作った爪を振るう。
彼も振り向き、爪で対応する。
「これで終わりだ」
トラヴァは次元爪でシュガーを手ごと切り裂こうとした瞬間、氷は砕けていたが、シュガーの手で止まった。
「なん……だと……」
「これが次元爪か」
「なぜ、使える!?」
「ジョルジュとニコラウスと戦っている際に解析したからだ。そして、この左目に宿っている陰の力が可能にしている」
「陰?」
トラヴァは不思議そうな声を上げた。
「陰とは様々な性質を持っている。その中に空間の性質があり、陰と魔力を混ぜることで更なる上の空間魔術を可能にした」
「ふん!」
陰の力は神人の能力であり、これは英雄のフィデスと同様、個人によって目覚める力が違う。シュガーはこの力によって、複数の瞬間移動や異世界移動、空間転移などを可能にしていた。
陰を使う際には目が黒くなり、発動までに時間が掛かり、隙ができる。その隙を少しでもなくすために左目にその力を常に集めていた。
トラヴァは数の不利もあり、瞬間移動で逃げようとした。シュガーが次元爪を使っているということは空間を固定していないことである。そのことから逃げられると考えていた彼だったが……。
「移動ができない……」
「この世界は俺が創り出したもの。拒まれた者は入ることすら願わない。良かったな、トラヴァ。お前は選ばれたのだ。そして、これで終わりだ」
荒々しい地獄の怒りよ
この大いなる苦しみで離れて行ってしまう。
愛も慈悲も慰めも。
私からこの心を盗んだ者に、裏切った者に思い知らせよう。
私の怒りから呼び覚まされた復讐を、残酷さを。
「英霊 無念に彷徨う吸血幽霊」
シュガーが詠唱し、エインヘリヤルを発動しようとするとトラヴァは途轍もない力を察しし、逃げようとした。しかし、彼はシュガーの影を踏んでいた。
しかし、彼の体は鈍く、重かった。それは一歩動くさえ困難を極めた。詠唱が終わるころには動くことは完全にできなくなっていた。
「どう……いう……こと……だ……」
「しゃべれるとは驚きだ。本来なら、息をすることさえもできないはずなのに」
「無念に彷徨う吸血幽霊。このエインヘリヤルは発動した者の影を触れることで初めて効果が発揮する。その効果は影を触れた者の動きを止めること。私のエインヘリヤルだ」
「そう、ジョルジョのエインヘリヤル。このエリュシオンに住む12柱のエインヘリヤルを俺は使用することができる」
シュガーのエインヘリヤルの能力である英雄の使役は一端にすぎない。12柱の英雄の力も行使することができる。その力は様々な形で応用することができた。
レクエイム・へロス・ルークスと比べ、範囲そのものは狭くなっているが、フィデスだけではなく、エインヘリヤルまでも使用を可能にしていた。
「では、さらばだ」
次元爪でトラヴァの左胸を貫いた。彼の体は粉のように崩れ去っていき、残されたのは紫色に光る球だった。
「これで勝ったな」
「だが、次元爪でほとんど魔力を使ってしまった。自分の足で行くしかない」
シュガーとミラは仲間の元へと急ぐ。
****
レイとルキス、リアマは地下へと進んでいた。またもや扉を見つけるとリアマが蹴り破る。
部屋の中心には金髪の女性がおり、耳が尖っていた。
「ドラゴンの次はまた邪竜人かな?」
「こんなところに一般人がいるはずがないよ」
「私の名前は邪竜人のぺブラ」
ルキスとレイが話していると相手が名乗った。
「先に扉がある」
「なら、ここで誰かが足止めが必要だね」
「私が行こう」
リアマが前に出た。
「少しでも戦力を残すべきだ。お前たちは先へ行け」
「分かった」
「それにもしも、真のエインヘリヤルを使うことがあれば、お前たちまで巻き込むことになる」
ルキスとレイは先へと行こうとするが、当然ぺブラは邪魔をしようとした。その間にリアマが入り、彼女の爪を槍で受け止めた。
「私は竜人のリアマ・フォン・イグニス」
英雄2人は扉を開け、先へと進んでいく。
竜同士の戦いが始まる。




