エインヘリヤル 理想郷・英雄12柱の集い ‐エリュシオン・オリュンポス・ロクス・アモエヌス‐
我が身に刻む英雄の証
異世界人の英雄レイが使うエインヘリヤル。
能力は心剣を体全体で取り込むことでエインヘリヤルの領域まで上げることである。
エネルゲイア・アニムスでは神装の領域だったが、さらに強化することができた。
これにより、様々なエインヘリヤルを使えるようになったのと同義であるため、対応範囲がほかの英雄と比べ、段違いである。
エインヘリヤルの領域まで上げた心剣の能力は引き出した英雄の能力に似ていることが多い。
さらにフィデスと神装を使えるエインヘリヤルであるレクエイム・へロス・エレサイムと違い、エインヘリヤルであるため威力不足に悩まされることがほぼないと言ってもいい。
欠点としては心剣を取り出す英雄に依存しているため、エインヘリヤルである英雄の心剣ではなければ、この領域まで引き上げることが難しいことである。
前回のあらすじ
ついにすべてのピースを集めた英雄たち。
しかし、それは扉の封印を解くための敵の策略だった。
アモルを助けるために、使命を果たすためにも英雄たちは最後の戦いへと挑む。
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英雄たちは長い1本道を歩いていた。
その最中、ルキスがあることを言い出した。
「みんな、この戦いが終わったら、どうする?」
「英雄の力をさらに高めるつもりだ」
「私は国を治めるつもりだが、武者修行もしたい」
「俺はアース大陸でも行くとするか」
シュガー、リアマ、アスラの順で言っていく。
「あたしは旅にでも出ます。この冒険で様々なものがあると知ったので」
「私は流れに任せる」
「僕は自分のいた世界に一度戻る。そして、またこの世界に来る」
ルリ、ミラ、レイの順で言っていった。
レイがルキスに聞いた。
「ルキスは何がしたいの?」
「ボクは冒険者の学園を建てたい。それ以外に詳しいことは決めていない」
「そもそも、こんなことを話し始めたんだ」
「厳しい戦いになるだろうから、明るい未来を希望にしようとして」
リアマに追及されたルキスはそんなことを言った。
英雄たちが進んでいくと広い部屋に着いた。そこには紫髪をした邪竜人トラヴァがいた。
「まさか、本当に来るとは……夢にも思いませんでしたよ」
「ここは俺がやる。お前たちは先へと進め」
シュガーがレイたちにそう言った。シュガーの案にレイは困惑した。
「確実に倒すなら、全員でやったほうが……」
「やつらが何をするか分からない以上、封印が解かれる前に行き、万全の状態で封印を解くべきだ。それにこいつは瞬間移動が使える。俺以外では足止めができない」
「なら、私も残ってやる。レイ、ルキス、アスラはまだ回復に専念するべきだからな」
ミラがそう言いだした。
「大丈夫だって、レイ。シュガーの強さは知っているだろう。それに私も残る」
「分かった。先へと進むね」
「行かせると思う……」
トラヴァが言い終わる前に一瞬で後ろに回っていたシュガーは彼を壁へと殴り飛ばした。その瞳は黒く染まっていた。
「今のうちに行け」
「絶対に追いかけてきてね」
「もちろんだ」
シュガーとミラを残した英雄たちは先へと進んでいく。
「シュガーと一緒か。最初の冒険の時を思い出すな」
「あの時とは違う。サポートを頼む」
「任せとけ」
「さすがは五大英雄の1人だ」
トラヴァがガレキをどけながら、立ち上がった。
「今の魔術は瞬間移動ではない」
「ほう、気づいたのか」
「空間を重ねるのではなく、空間そのものを入れ替える空間転移だ。これは究極魔法の領域で瞬間移動と比べ、予備動作がほぼない。だが、気軽に使える術ではないな」
「なら、本気で相手をしよう」
シュガーのリトスからヘタイロスである吸血人のエリザが出てきた。
エリザの肩に手を置く。
「行くぞ、エリザ」
「はい、シュガー様」
エリザが銀色の粒子になるとシュガーに取り込まれていく。全身のいたるところから血しぶきが噴き出し、彼の体が血の塊となる。
塊にひびが入ると卵のように割れるとシュガーが出てきた。その姿は銀色の髪に瞳はオッドアイで左は黒で右は緑に染まっていた。それはシリウスと戦った姿であった。
「シュガー、その姿は何だ?」
「吸血人になった俺だ。もっともこの姿は妖怪と言った方が正しく、吸血鬼と呼ばれる妖怪だ」
シュガーは掌から氷で剣を作り出し、その手に持ち、トラヴァへと戦いに挑む。
****
先に行っているレイたちは奥へと進んでいく。
レイはシュガーとミラを心配していた。
「シュガーとミラ、大丈夫かな?」
「心配しても仕方ないだろう。任せた以上、心配するのはあの2人に失礼だ」
「けどさー」
「シュガーは神と戦って、生き残っている。大丈夫だ」
階段を降り、地下へと進んでいく。
次の扉を見つけ、次の部屋へと入る。
「なにこれ!?」
レイがその光景に驚きを隠せなかった。
そこには都市が広がっており、水路もあった。そこには橋がかけられており、人が住んでいた痕跡もあった。
「この都市は1000年前以上なのかな?」
「ルナさんの仮説だとそれ以上前に機械文明もあったというし、何があっても不思議ではないよ」
「確かにね」
ルキスとレイが話し合っていると大きな影ができた。不思議に思い、上に向くとそこには黒いドラゴンがいた。
「ドラゴンだと! 殴りてぇ!」
「相手は邪竜人というし、ドラゴンがいても不思議じゃないけど、これは!」
ドラゴンの踏み潰しから英雄たちは慌てて避ける。
先へと進む扉側にはレイ、ルキス、リアマがいた。
「アスラ、ルリ!」
「お前たちは先へ進め。ここは俺とルリがやる」
「分かった」
レイが扉を開くとドラゴンが彼らを襲い掛かろうとした。しかし、その動きは途中で止まった。
「お前の相手は俺だ!」
フィデスを使い、全身を黒い装甲に再構築したアスラの姿があった。彼がドラゴンの尻尾を掴んでいたため、動きが止まっていたのであった。
「うおおおおおお!」
尻尾を掴んだまま、グルグルと回り、ドラゴンを振り回していく。そして、壁へと放り投げた。
「ぐわああああ!」
ドラゴンは咆哮を叫びながら、体を起こすと周りにはシャボン玉があり、不用心にもそれに触れた。
割れた液体が体にかかると痛がる様子を見せた。
「ルリ、何をしたんだ?」
「あのシャボン玉は体内で作った毒液を元に作りました」
「そうか、やるぞ!」
「はい!」
花人の英雄と戦人の英雄はドラゴンの退治へと活き込んだ。
仲間が少しずつ減っていくことは心を削られるようであったが、それでも英雄は前へと進んでいく。
****
トラヴァは竜化し、人竜になっていた。その爪でシュガーの氷で作った武器を砕いていく。しかし、壊された端からどんどん作っていく。その作った武器の種類は剣、刀、矢、斧、爪など多数に渡った。
エリザと融合したシュガーは妖怪の血を覚醒し、氷の変換に目覚める。状況に応じて、氷であらゆる武器を作成できるのが強みだった。
「そろそろいいか」
「瞬間移動か」
トラヴァはある程度シュガーたちを引き寄せた後、瞬間移動しようとしたが。
「なぜ、移動できない?」
「瞬間移動は使用する際に空間を弄る必要がある。俺はお前が弄った空間を弄り、移動できないようにした。瞬間移動は瞬間移動の使用者同士では使用することができない」
「なら、別の方法だ」
トラヴァの爪がシュガーを目掛けて、襲い掛かる。彼は氷の刀身でずらそうとしたが、トラヴァの爪は刀身をえぐり取る。それを見たシュガーは体を慌ててずらし、何とか避けるが、服がえぐり取られた。
「これは……」
「これが俺の最強奥義 次元爪だ。爪が触れたところを異空間に送ることで実現できた技だ。この技の前にはあらゆる防御は無意味となり、防御不可能の技」
「それなら、爪に触れない私がやるだけだ」
ミラは人差し指の鎖を伸ばしていき、その先には氷の刃を生成していた。それはトラヴァの体を貫いた。
「やったか?」
「無駄だ。次元爪の応用で相手が触れたところを異空間に送ることで相手の攻撃を一切聞かない。攻防一体の最強奥義だ」
トラヴァの次元爪は瞬間移動を利用した技であり、その攻撃はどんな硬い皮膚でも意味が成さない最強の攻撃であり、防御は相手の攻撃を貫通させることでどんな攻撃でも避けることができる最強の防御であった。
ミラはその技に驚きを隠せず、シュガーに対策を聞いた。
「どうする? シュガー」
「どんな技にも弱点はある。だから、俺がこいつと戦うと言った。ミラ、俺のそばを離れるな」
「何をする気だ?」
「まずはその技を破る前にお前を逃さないようにしよう」
シュガーは力を高めていく。ミラにはその力があり、何するかが分かった。
「エインヘリヤルか」
「英雄のエインヘリヤルは神魂を利用している。そして、俺は神力を持っている。このエインヘリヤルは俺自身の神魂を利用したものだ」
永遠の安息を英雄たちに与え、絶えざる光で照らそう。
正しい人は永遠に記憶され、悪い知らせにも恐れはしない。
全ての死せる信者の霊魂をことごとく罪の鎖より切り離そう。
彼らが聖寵の助けによって刑罰の宣告をまぬがれよう。
永遠の光明の幸福を楽しむにいたらんことを。
「英霊 理想郷・英雄12柱の集い」
世界そのものが変化していく。シュガーの回りから花畑になっていき、奥には左右に岩柱があり、真ん中には道があり、道の奥には白い城があった。
彼の隣には白ポプラの木が茂っており、そのそばには湖があった。
シュガーの横には彼を含めた男性6人、ミラを除いた女性6人、合計12人がいた。
彼らは全員違う種族であり、英雄であった。その中にはアリスやリリィの姿も確認できた。
「ここにいる英雄たちは歴戦の猛者たちだ。お前の次元爪という技は俺が破る」
獣人の英雄は未知なる技を破ろうとしていた。




