最後の戦いへと挑む英雄
煌く閃光の雷霆
人の英雄ルキスが使用するエインヘリヤル。
能力は自分自身を雷そのものに変えることである。
雷そのものになっているため、雷の速さで動くことは可能であり、斬られたとして雷であるため、痛みは残るものの怪我を元に戻すことができる。
さらに実体を失くすことで攻撃そのものを通過させることも可能であるが、その通過率はけっして高くないため、容易に使える技ではない。
前回のあらすじ
ついにウェルスを倒したレイ。
アモルを追いかけていたシュガーだったが、その途中でトラヴァと交戦する。
彼に逃げられると後10分で基地が爆発するという放送が流れた。
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基地が爆発するという放送が流れる10分前。
アスラとアシエが戦っていた。エインヘリヤルを発動したアシエはアスラを追い詰めていた。しかし、そんな状況でも諦めるほど潔い人物ではなかった。
(1発だ、1発で決める)
アスラはそう決め、相手の隙を伺っていた。その間、防御に徹する。
そして、その隙を訪れると残っている4枚の羽の内、1枚消費し、相手の腹へと拳を叩きこむ。
「おらぁ!」
「うぐぅ!」
不意打ち気味の攻撃にも関わらず、アシエは飛ばされず踏み耐え続ける。
それを見たアスラは残り3枚すべての羽を消費し、推進力へと変え、拳の威力をさらに高めた。
結果、拳は鋼の体に風穴を開け、アシエは倒れた。
「これでやったか」
アスラはルキスを助けるためにそちらを向いた。すると腹から銀色の腕が生えた、正しくは腕が貫いていた。
その腕が引き抜かれると風穴ができ、アスラが倒れる。力を振り絞り、後ろを見るとそこには腹に風穴が空いたにも関わらず、立っていたアシエの姿があった。
「不思議だろう。冥土の土産に教えてやる。俺のエインヘリヤルは種族の力を最大限に引き出し、それを獣の形にすること。この姿は俺のバトルフォームだ。手足などのあらゆるところまで鋼にしているため、コアを壊さない限りは倒れることはない」
鋼人の金属化はあくまでも皮膚などの外部しか変えられない。そのため、腕や足などを損傷すれば、生やすことはできない。
アシエのエインヘリヤルは外部だけでなく、内部のあらゆるところまで鋼に変えている。さらにコアをつけることでそれを壊さない限りはいくら傷つこうが、回復し立ち上がることができる。
腹の風穴は鋼で埋まっていき、傷を塞ぎ回復した。手の先で剣を生成する。
「これで終わりだ!」
「うおおおおおお!」
アスラが拳を床に叩きつけた。床の金属は水色の粒子となり、彼の腹が腕や足と同じように黒い装甲となる。
立ち上がり、アシエと対峙する。
「まさか、傷を治すとはな……」
「お前にできるなら、俺にもできるんだよ!」
足を踏みつけ、水色の粒子を作り出し、アスラの体に纏う。
「まだだ、もっとだ! もっと!」
アスラがそう叫ぶと踏みつけたところだけではなく、床や壁、天井の金属が水色の粒子になっていく。その範囲はズロンが乗っている人竜型の機械、アシエの金属化した体でも例外ではなかった。
「これが人の領域か……いや、これはもう……」
それを見ていたリアマはそう呟いた。
「隙あり」
ズロンの隙をつき、ルキスは粒子へと変えられ、脆くなった部分の機械に剣を突き刺した。
水色の粒子がアスラ全体を覆う。それは一瞬で消え、アスラ自身が再構築されていく。彼の姿は体の至るところまでが黒い装甲で覆われており、それに加えて、肘や踵に背中にまでブースターが付けられていた。
その姿は黒い獣を思わせた。
「これで終わりだ!」
「そうはさせん!」
右腕の肘ブースターで加速させた黒い獣の拳と強固に強化された鋼の獣の拳がぶつかり合う。
「うおおおおおお!」
「うおおおおおお!」
その拳をぶつかり合いは衝撃で壁にひびを入れる。
アスラは肘ブースターではなく、背中のブースターも稼働させ、さらに拳の威力を上げていく。
その拳はついにアシエの拳にヒビを入れた。
「なん……だと……?」
アシエが驚くと同時にアスラの拳は相手の拳を殴り砕く。そこでは終わらず、腕までも砕いていき、胸まで届き貫いた。
その手には鋼の球が握られていた。
「これがコアか!」
コアが握り砕かれた。するとアシエの体はどんどん崩れていった。
「後は頼んだぞ、俺たちにできなかったことを成し遂げてくれ」
「さっきも言ったろ。お前にできるなら、俺にもできるんだよ。任せとけ!」
かつての英雄はものを言わない鋼へと変わっていた。
「ありえん! アシエがやられるなど!」
「君の相手はボクだよ」
ルキスの手には鉄球ではなく、剣が握られていた。
「お前の攻撃など、この機械の前では無意味だ」
「それはどうかな」
ルキスは体を雷にして、移動した。そこは彼が先ほど剣を突き刺した場所であった。そこに右腕をくっ付けた。
「雷も効かないし、剣では傷がつけられない。なら、この技だ。この技は腕に負担がかかったけど、雷化している腕なら怪我の心配がない。思いっきり、放てる」
ルキスの右肩に鉄球が1発、掌には3発入れてあった。雷化している体だからできる技であった。
肩の鉄球は磁力によって、掌へと向かう。その速さは今までとは比較にならなかった。
そして、球が発射される。
「ガウスキャノンⅡ!」
放たれた鉄球は機械を貫き、その衝撃で機械をボロボロにしていった。
右腕は形が保ってなかったが、雷化しているため、負担がなく、すぐに元の腕に戻った。
「これで終わりだね」
「終わらんよ」
機械の外に放り出されたズロンだったが、彼の手にはスイッチがあり、それを押した。するとある放送が流れた。
「あと、10分で爆発します。残っているものは至急避難を」
「これで終わりだ」
ズロンは機械の所へと向かい、ボタンを押すとボール状の機械になっていく。
「さらばだ、英雄たち。また、会う日まで」
機械は天井をぶち抜き、どこかへと飛んで行った。
床には銀色のピースが残されていた。それをルキスは拾う。
「ピースは手に入ったけど……」
「ここで終わりか……」
「諦めるな! 絶対に何か手段はある!」
アスラの言葉にルキスはある考えに至った。
「確かにアスラの言う通りだ」
「ルキスには何か良い手があるのか」
「さっきのズロンという人は地上で会ったことがあるんだ。ここから来たと仮定すれば、なにかしらの移動手段があるはずだよ」
ルキスがそう言い切ると彼のリトスが光った。
「もしもし、シュガー?」
「時間がない、単刀直入に言う。今すぐ、俺のところまで来てくれ」
「何があるの?」
「転移装置を見つけた。これで脱出する。途中でレイを拾ってくれ」
「分かったよ」
リトスが光るのを辞めた。
「ほら! 僕の言う通りじゃん!」
「分かった。早く移動するぞ」
リアマはルキスの首に手を回した。
「ミラ、ルリは俺に捕まれ」
「分かりました」
「落とすなよ」
ルキスは雷となり、雷速移動していき、アスラは肩と踵のブースターから闘気を放出させ、飛んで行く。
レイとシュガーが向かった道は1本道だったため、迷うことはなかった。
ルキスはレイを目に捉えた。
「レイ、手を出して」
「こう?」
差し出されたレイの手をルキスは掴み、引っ張る形にはなったが、彼を捕まえることができた。
そのまま、ルキスとアスラたちは奥の部屋へと飛んで行く。
そこには機械を弄っているシュガーの姿があった。
「来たか、今終わったところだ」
「早く乗ろう」
英雄たちは転移装置の上に立った。
「これ、大丈夫だよね?」
「シュガーが弄ったからな、大丈夫だろう」
「祈れ」
レイとリアマの言葉をシュガーは無慈悲な言葉で切り捨てた。
転移装置は動き、英雄たちはその場から消え、誰もいない基地は爆発し、月に新しいクレーターはできた。
…………
……
レイたちが移動した先は壁や床、天井までが石で出来た部屋だった。
「なんだか、見覚えがある気がする」
「周りを感知しよう」
レイがそう呟き、シュガーは感知を始めた。
「周りに力をあまり感じないな、おそらく地下だろう。それに英雄の力を感じる」
「とりあえず、外に出てみよう」
外に出てみると石で出来た家や水路などがあったが、ボロボロに崩れている家があったため、そこを調べるために近づくとレイとルキスには見覚えがある緑色に輝く大型の機人があった。
「ルキス、これって……」
「これ、ベータだよ。ということはデネブラエだ、ここ」
「どういうことだ?」
レイとルキスの反応に疑問を感じたリアマが訪ねた。彼らはここがどういう場所なのかを説明していった。
「つまり、ここは相手の本拠地みたいなものか」
「そうだと思う」
「とりあえず、七芒星が書かれてある扉のところまで行こう」
ルキスの提案により、そこまで向かうことにした。
たどり着いた彼らの内、シュガーとリアマは扉を調べて、ルキスはレイにあることを言った。
「そういえば、レイって地図を見た?」
「見ていない」
レイが地図を広げるとマークはこの場所にされてあった。
「この場所だね。月のピースが最後だったんだ」
「この扉の先にアモルの天力と竜力を感じる」
シュガーが扉の先を感知し、それを口にした。
「この扉を開けないといけないのか」
「それにしても開けていないのにどうやって入ったんだろう?」
「この扉には英雄の力を感じる。俺たちと同じように使命を受けた英雄がいたが、倒せず封印したのだろう。その時に英雄の力で封印した。それが何かしらの要因で弱まったと考えられる。敵の中に空間を操る者がいたから、その能力で侵入したのだろう」
弱まった要因と聞いて、レイ、ルキス、ミラ、ルリは何となく察しがついてしまった。
「ピースから強力な力をもらったことがあるんだけど……」
「そのピースとやらがこの扉の封印と連動していたに違いない」
「このピースは多分使命を受けた英雄たちのリトスだよ。それを封印の媒介に使っていたんだ」
「つまり、僕たちはまんまと敵の掌で踊らされていたってこと?」
邪竜人たちはこの扉の封印している英雄たちの力を弱めるためにあえて現英雄にピースを渡した。ピースからどんどん力を引き出した結果、扉の封印を弱ってしまった。
レイはそう考えた。
「確かに敵の策略に乗せられたかもしれない。しかし、相手にも誤算がある」
「誤算って?」
「私たちがその邪竜人にも勝てるぐらい強くなったということだ」
落ち込みそうになった英雄たちをリアマは励ました。
「なら、やることは1つ。扉を開け、大元を倒して、英雄の使命を果たす」
「これが俺たちの最後の戦いになるだろう」
英雄たちは扉を開け、最後の戦いへと挑む。




