英雄レイVS邪竜人ウェルス
種族について・妖怪
人の思い、無念や嘆きなどから生まれた種族。
第5世界では生まれることはなく、シュガーの故郷である第4世界で生まれている。
その役割は魔物や魔獣と同じようにヒトと敵対することである。
彼らが持っている独自の力は妖力であり、様々な性質へと変化していき、存在するには欠かせない力でもある。
人の思いより生まれた存在を妖といい、知能などをつけることで妖怪へと成長する。
妖怪の生命力は半端なく、五体バラバラではまず死なず、首を斬り落としても死なないことがあり、肉体をミンチにしようが、1週間後には元通りである。
そのため、彼らには特別な術や武器などを使用し、退治する必要がある。かなりの実力があれば、死ぬまで殺し続けることで倒すことは可能である。
人の思いから生まれたため、それが浄化されると成仏する。
1行で分かる前回のあらすじ
英雄たちは月に進出しました。
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二手に別れたレイとシュガーはアモルの天力がする方向へと向かって、走っていた。
通路を抜け、扉を開くと大きな部屋にたどり着いた。そこにはレイにとって、因縁の相手ウェルスがいた。
「本当に来るとは」
「アモルがいると聞いた時から、君がいるとは思って──」
レイが話しているとシュガーが走り出し、刀を抜き、ウェルスに斬りかかった。彼は右腕を竜化させ、青黒い鱗で受け止めた。
「仲間が話している最中だが……」
「先手必勝だ」
シュガーは左手を刀から離し、その左拳でウェルスへと殴り掛かる。同じ左手の平で受け止られるとシュガーが足払いで態勢を崩そうするが、ジャンプし回避される。そのまま、体へと蹴りを入れられ、互いに距離ができた。
「なかなかやるな」
「さすがは五大英雄の1人」
再び、シュガーが距離を詰めようとした瞬間。
「シュガー、待って!」
レイに制止させられた。
「シュガーは無駄な力を使っている余裕はないはず。ここは僕に任せて。大丈夫、絶対に勝つから」
「そこまで言うなら、俺はアモルを追いかけよう。力の反応から動いているようだから、逃げられる」
「それを俺がさせると思うか?」
「邪魔はさせない」
我が内に眠りし思いよ。
今こそ力を解き放ってくれ。
さあ呼び覚ましてくれ、引き起こしてくれ。
戦いを招く恐ろしい心剣を。
あらゆる勇敢な英雄の魂よ、僕に誓ってほしい。
共に勝利を掴むことを。
「英霊 胸に眠りし心剣の理解」
レイはリトスである銀の鍵を取り出し、黒い剣と白いマスクへと変える。白いマスクを着けると背には白いマントが出現し、黒い剣は黄金に染まっていく。
それと同時に剣を持っている右腕も黄金に染まっていき、心剣と融合した。
「エインヘリヤルか……」
ウェルスは人差し指をレイの方へと向けると竜力を集中させ、放った。
「ゲブリュル」
「天撃!」
レイも剣に天力を溜め、放ち、対抗しようとする。青い竜の咆哮にぶつけたが、それは威力を多少弱まっただけであった。
しかし、それがレイの狙いだった。
「絶風弊絶 絶風陣!」
彼はフィデスで風を操り、自分を中心にして、回転させ、盾のように展開した。竜の咆哮は竜巻に追突する。風は破れず、それどころか風と1つになっていた。
レイのフィデスであるアネモイは自然界に存在する風を操り、それに加えて、周囲に存在するエネルギーを吸収することができる。天撃をぶつけることは相手の攻撃を吸収できるレベルにまで落とすことが目的であった。
レイは青に染まった風を剣に纏わせ、ウェルスに接近する。
「絶風竜刃!」
竜の風を纏う斬撃がウェルスに襲い掛かり、彼を吹き飛ばした。
「今のうちにシュガーは奥に行って」
「分かった」
シュガーは走り出し、奥の部屋へと向かった。
「楽しめそうだ」
ウェルスは立ち上がり、レイと対峙する。
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ルキスたちは道なりに進んでいた。阻む扉が途中であったが、アスラとリアマによって、破壊されていき、先へと進んでいく。
すると大きな部屋に出て、そこにはズロンがいた。彼は人竜の形をした機械に乗っていた。
「よくぞ、来た」
「また、君か……」
ルキスが呆れたように言い、アスラと共に前に出ると後ろにいたリアマ、ルリ、ミラの前に透明なバリアが張られ、隔離されてしまった。
「しまった!」
「お前たち、英雄たちは厄介だからな。分離させてもらう」
「お前、1人ぐらいなら、楽勝だ」
「俺だけではない」
ズロンは懐から銀色に輝くピースを取り出した。それは輝きだし、銀色の光が人の形を取っていくと本物の男性へと具現化された。
「こいつは鋼人のアシエ。1000年前の英雄だ」
「どういうこと?」
「お前たちが集めているピースは1000年前に英雄の使命を果たせなかった者たちが悪あがきとして封印した鍵だ。次の英雄たちに対処してもらうために封印を解いた者の言うことを聞くようにしている魔物がいるらしいが、利用するのは我々だ」
「なるほど、ピースの正体がなんとなく分かってきたよ」
「とりあえず、倒せばいいんだろう!」
アスラは床を力いっぱい踏みつけ、金属を水色の粒子へと変える。それは手足に纏わり、黒い手甲へと再構築されていく。背には闘気で出来た透明感がある水色の羽が6枚展開された。
「ボクも最初から全力で行くよ」
火照る宇宙の至高の走路に音立てて進む轟き。
上天の閃光の至極の輝きを煌めかせろ。
浄福至極の者たちの御座を神的な雷光で揺るがせ。
与えたまえ、瑕疵なき健康と神的な平和と富の瑕疵なき栄光を。
「英霊 煌く閃光の雷霆」
ルキスの体は雷そのものへと変化させ、強烈な雷を発していた。彼は鉄球ではなく、剣を抜いた。これは素早く動き続けるため、剣で戦った方が良いと判断したためであった。
「しかし、これはチャンスだ」
「どういうことだ?」
リアマが口に出した言葉がいまいち理解できずにミラは聞き返した。
「あの男は私たちがピースを持っていると勘違いしているだが、実際に持っているのはレイだ」
「そうか。私たちがやられたとしても最悪の事態は避けられるということか」
「その通りだ。もっともあの2人が負けるとは思えないが」
リアマには1つだけ不安に感じていたことがあった。彼女には1000年前の英雄である鋼人のアシエの力を感じ取れていた。
(奴の力はまず間違いなく、エインヘリヤルに達している)
2人の英雄は1000年前の英雄へと挑む。
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レイとウェルスの戦いはレイが若干押していた。
アストライアと融合したレイは天力を操れるようになっていた。使い始めたばかりか、まだ具現化は出来ていなかった。それでも、相手を追い詰めていた。
相手の遠距離技には天撃を放つことで弱め、フィデスで生み出した風で吸収し、接近戦では風に天力を吸収させることで対応していく。
「前より、能力を使いこなしているな」
「それはどうも」
レイは風を纏った剣で攻撃し、2人の間には距離ができた。
「なら、邪竜人としての本当の姿を見せよう」
「本当の姿……?」
ウェルスは竜力を高めていくと同時に皮膚が青黒い鱗へと変わっていく。そして、頭には2対の竜角に竜眼へと成っていく。
彼は人の形をした青い竜へと竜化していた。
「俺たち、邪竜人は人に紛れ込むために他の種族に装えるようにされてある。竜の姿こそが本当の姿だ」
戦いは仕切り直し、英雄と竜の戦いが行われる。
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