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8人の英雄、月に進出

種族について・歪人

空間を操ることができる種族。

空間を歪ませることで瞬間移動、異空間の作成、上位になると集団での瞬間移動、最上位になると異世界の移動などをすることができる。


普段は自分で作成した異空間で暮らしており、めったに見かけることができない。

彼らの性格は今、楽しければいいという者が大半で人の言うことは基本聞かない。話が通じるとは思わないほうがいい。


歪人が過去に起こした事件では魔物や魔獣などをまとめて、町のど真ん中に移動させ、恐怖のどん底に落としたことがあり、危険な種族でもある。

シュガーの瞬間移動は歪人の能力を魔術で再現したものである。



前回のあらすじ

ケイオス・リングに見事に勝利した英雄たちは6つ目のピースを手に入れた。

しかし、次の目的地は月であった。


****


 ドッジボールが終わって、3日。

ケイオス・リングのメンバーと別れて、レイたちは近くの町で休んでいた。そこにはイディナの姿もあった。


「月にどうやって、行こう?」


 レイはそう呟いた。

 彼らがこれから向かうべき場所は月であった。

ほとんどの人が行ったことがない場所である。レイが唯一知っていることといえば、昔月人という種族が住んでいた可能性があるということだけだった。

 そんな中、ルキスはある提案した。


「シュガーのタロスなら行けないかな?」

「問題は宇宙空間に耐えられるかだね」


 宇宙環境にはタロスが耐えられるかの問題もあったが、そもそも宇宙には酸素がない。解決するべく、問題は山のようにあった。


「でも、肝心のシュガーがいないね」

「こういうときはリトスの光に導かれてきた」


 レイがそういうとルキスのリトスであるピンクのブローチが光った。


「これはシュガーからの連絡だ」


 ルキスは今まで異世界に行ったシュガーと連絡を何度も取ろうと試していたが、繋がることはなかった。

 しかし、それが繋がった。彼にはその意味が分かった。


「シュガー、どこにいるの?」

「ルークスにいる。ルキス、そちらの場所を教えてくれ。明日にでもそちらに向かう」

「こっちはね……」


 彼はシュガーに場所を伝えると同時に次向かうべき場所を話した次の日。

 シュガーはやって来て、隣にはミラが一緒にいた。しかし、その姿はかなり変わっていた。

 髪は黄金に染まり、瞳の色は両方違っていた。左は黒であり、右は白であった。そして、どことなく神秘的な感覚を感じさせる。

 レイにはこの感覚に見覚えがあった。それと同時に魔獣に似た気配をルリには感じ取っていた。


「この感覚……神力?」

「鋭くなったな、レイ。今の俺はヘタトロイと融合して、神力を高めている。月に行くための準備としてな」


 シュガーのリトスである赤い指輪から銀色の液体が流れだす。その間にルリは前から気になっていた気配について、聞いた。


「シュガーさん。前から気になっていたんですが、魔獣のような気配って何ですか?」

「ルリは本当にすごいな。この世にはない力すらも感じ取るとは。これも自然から生まれた種族が成せることなのか」


 彼は本当に驚嘆した顔を見せていた。


「この世にはない?」

「詳しい説明は省くが、俺は少し生まれが特殊で妖怪と獣人から生まれた。妖怪には妖力という力があり、偶然にもその力を生まれ持った。ルリが感じているのはその力だろう。こちらでいう魔物や魔獣に当たる存在だからな」

「ということはシュガーさんは異世界出身なんですね」

「そうだな」


 そのことを英雄たちが聞いても驚いた様子は無く、むしろ納得した様子であった。


「なるほど。それで帰ったのか」

「時間あるときにシュガーの世界について聞きたいね」


 ミラとルキスはそう納得していた。

銀色の液体は人の形になっていき、巨人になっていく。背には銀に輝く2対の翼が広がっていた。


「乗ってくれ」


 タロスの右腕から胴へと向かい、歩いていく。歩きながら、レイはシュガーに月までの生き方を聞く。


「それにしても、シュガー。どうやって、月に行くの?」

「前に行ったことがあるが、今回はこのタロスとイディナのエインヘリヤルを使用する」

「僕たち、それに耐えられるの?」

「神力結界を使い、タロスとみんなに纏わせ、保護する。これなら宇宙空間でも大丈夫だ。ただし、戦闘などは行えないと考えてくれ」

「それは僕たちに任せてよ」


 2人がそんな会話を交わしているとイディナが準備をしていた。


「こちらも準備するか」


 海よ!

 強大な怪物よ!

 お前は緑の大蛇のように世界のまわりにとぐろを巻く!

 物思う目にはお前は荘厳に見えよう。

 お前が怒り狂い、不運な船の周りに巻き付き、頑丈な船体を粉々にする時!

 その時は海よ、お前は本当に恐ろしいのだ。

 暗闇の中、大波の白い泡が飛び散る。

 そして、砕ける波の不機嫌な襲来は我の耳には希望を弔う鐘のように聞こえる。


英霊(エインヘリヤル) 打壊し電磁加速砲パラケルスス・マスドライバー


 イディナの右腕に装着されている手甲は手の甲と肘を超え伸びている2本のレールに変化していく。前回より、大きく具現化されており、ミョルニルは薄く平べった弾となっていた。その形には理由があった。


「乗れ、シュガー」

「ああ」


 タロスが軽く浮かぶとイディナに負担がかからないようにミョルニルに乗った。


「始めてくれ」

「分かった」


 2本のレールに電気が流されていく。するとミョルニルはどんどん加速していき、ミョルニルに乗ったタロスは月に目掛けて、発射された。


「うおおおお!」


 シュガーを除いたメンバーはその加速と重力の反作用により、タロスの背へと叩きつけられていた。

 タロスは雲を通り抜けてもさらに上へと飛んで行く。


「さらに加速だ。爆発しろ、バースト」


 シュガーが神力を込めた魔術でタロスの足元を爆発させる。ミョルニルは砕け、さらに加速すると足にヒビが入った。

 周りの景色は青から黒へと変わっていた。

 英雄たちはついに宇宙へと進出した。


「あれが星か」

「青いな」


 ルキスとリアマは自分たちが住んでいた星を見ると呑気に感想を口にした。


「みんな、良いニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい?」


 シュガーが皆にそう呼びかけた。


「なら、良いニュースから」

「あと、20分ほどで月に到着する」

「悪いニュースは?」

「タロスが足元から崩壊している」


 彼の言葉を聞いて、驚きを隠せず、リアマがさらに追及した。


「神力結界はどうした?」

「さきほどの爆発の魔術には威力を強化するために神力を混ぜておいた。その影響だ」

「月まで持つのか?」

「祈れ」


 慈悲なき言葉が英雄たちを襲う。


…………

……


 あれから、約20分後。

 英雄たちは宇宙のゴミになることなく、月へとたどり着いた。ただし、彼らが乗っているタロスはもはや足だけはなく、腰から下が崩壊していた。


「シュガー、早くしろ! 早く!」

「分かっている」


 ミラがシュガーを煽って、焦られる。するとルリがこの星には似合わない物を見つけた。


「シュガーさん、ミラちゃん。あんなところに建物があります」

「あっ、ほんとだ」

「周りには結界が貼ってあるようだ」


 その建物は樹や石などではなく、金属で出来ており、人工的な感覚を放っていた。

3人がその建物を目に入れるとアスラのリトスである水色のネックレスが光り出す。


「何だぁ? この光は?」

「その光はピースに対して、反応しているんだ」


 レイは今までの冒険を思い出しながら、そう判断した。


「シュガー、突っ込んで」

「分かった。だが、おそらく敵がいるだろう。みんな、気をつけろ」


 タロスを結界の中へと入り込ませて、右拳を振り上げ、建物へと貫通させた。

 英雄たちは胴から右腕を走り、建物へと侵入する。建物の中も外側と同じように金属出来ていた。

 そして、タロスはボロボロに崩れていった。


「これで後戻りはできないな」

「やるしかないね」

「侵入者が現れました、撃退準備を」


 レイが決心していると館内に声が流れる。


「一筋縄では行かなそうだね」

「アモルの天力を感じる」

「えっ……」


 シュガーの一言がレイに突き刺さった。


「みんな、僕はアモルのほうに行くから、ピースの方を任せた」

「俺もついていこう。案内は必要だろう」

「案内よろしく、シュガー」

「ピースのことを任せられたから、レイとシュガーにアモルを任せた」


 レイにリアマはそう返す。

 英雄たちは二手に別れ、基地の攻略を始める。

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