混沌の輪 -ケイオス・リング-
英雄について・ヘタイロス②
神魂を取り込んだヘタトロイは人化するが、その際に性格が大幅に変わることもあるし、まったく変わらないこともある。時には性別さえも変わることがある。
変わった例としては7つの存在が統一されたミーティア。
変わらない例としては天人の種族となったことしか変化がないミカエル。
英雄とヘタトロイの間にはフィデスの時と同様、契約が結ばれている。そのため、声と呼ばれる音思念でテレパシーすることができるし、個人差はあるものの互いに離れていてもどこにいるかが分かる。
だが、強く結ばれているものの行動の制限はされていないため、やろうと思えば主である英雄を殺すことは可能である。
ヘタトロイとの融合は生み出した英雄としかできず、共有することはできない。例外としてはサタンである。サタンはアリスのフィデスであり、シュガーが契約者であり、リトスではないルークスの神魂が使われている。そのため、彼女はシュガーだけでなく、アリスとも融合ができる。
5秒で分かる前回のあらすじ
賢者から話を聞いたレイ。
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レイから異世界の話を聞いたソニアは高揚に満ちた笑みを浮かべていた。
「いいね、やはり。知らないことを聞き、疑問を覚えるというのは」
「いいえ、これぐらいなら」
「レイ、何を望む?」
ソニアは取引を行うために彼に要望を聞いた。レイには聞きたいことがいくつかあったが、アモルを助けるためのことを聞いた。
「次のピースの場所を教えてください」
「次のピースは正確ではないが、デネブラエにある。まずはルプスとジャンヌを連れ、リアマ、アスラ、ルキス、ルリ、イディナの5人と合流するんだ。この時にミラは必要ない。そして、ある場所に行くんだ」
「そこに行けば、何かが起こるんですか?」
「そうすれば、招待してくれる。歪人のクルンがね」
「歪人?」
レイは賢者の口から出た聞いたことがない種族名を聞き、疑問の声を上げた。
「歪人は空間を操ることに長けている種族。とりあえず、地図を描くからそこに行けばいい」
ソニアはさらっと地図を描き、レイに渡される。
「ありがとうございます、ソニアさん」
「どういたしまして。次、来る機会があれば、特にレイのお土産を楽しみにしているよ」
レイたちは賢者の塔を後にした。
ジャンヌとルプス、フランの3人を連れたレイはリアマたちと合流する。彼女たちに事情を説明しながら、地図に描かれたある場所へと向かっていた。
「……そうか、それが英雄の使命か。引っ掛かるな」
「何が?」
話しを聞いたリアマはそう言い、レイはそれについて尋ねる。
「その敵は体を失い、封印されているんだろう?」
「そう言っていたけど」
「その2つのことから、その敵を倒すものがいたことは違いない。元々、封印されているなら体を失うという表現は使わない。なぜ、今まで復活しなかった? 律儀に私たちを待っていたのか」
「僕もそう思うけど、原因はルークスじゃない?」
疑問に抱いたリアマにレイが返した答えが光の神ルークスだった。
「ルークスだと?」
「ルークスが平和な世界を作ろうとしている時に復活したら、狙われるよね」
「確かに。それに加えて、五大英雄も敵になるだろうし、最悪手を組むだろう。それをシュガーならやりかねない」
「とりあえず、ルークスの脅威は去ったはずだし、今は目の前のことに集中しよう」
「そうだな」
2人が話しているとある場所に着く。しかし、そこにはあるのは草原が広がっているだけで町すらも存在していなかった。
「本当にここで合っているのか?」
「たぶん、間違っていないと思うけど、目印が少ないからなー」
レイとリアマが会話を交わしていると地面にひびが入る。それは大きく開くが、地面が裂けたわけではなかった。レイを含む8人はその穴へと落ちていくと閉じられていった。
たどり着いた先には2人の少女と女性がいた。
「マーテルにクルンか」
「英雄たちだけじゃなくて、ルプスとジャンヌもいたんだ」
その2人はルプスたちの知り合いだった。
クルンと呼ばれた少女は歪人であり紫色の髪をしており、二股に分かれた左が紫、右がオレンジになっているジェスターハットに服は帽子とは逆の配色になり、オレンジのスカートを履いていた。その姿は道化師を感じさせる。
マーテルと呼ばれた女性は星人であり、金色の髪をしていた。クルンと比べ、服は普通であったが、異形なのは右手だった。その右手は血のように赤く染まっており、何かしらの力を感じさせた。
クルンの手には紫色のピースがあった。
「クルンさん、それをください」
「いやに決まっているじゃん」
それを見たレイは彼女にお願いしたが、拒否された。
「レイの黄色い上着でも無理なのか」
「服の趣味は合いそうなのにな」
「そこ、うるさい」
その様子を見ていたルキスとリアマは雑談をするが、レイに注意されてしまう。
「こんなに欲しがっているのに簡単にあげたら、面白くないじゃん。せっかくの英雄を面白可笑しくできそうなのに」
「何をしたらいいんですか? なんでもします」
「んっ、今なんでもすると言ったよね?」
「できる限りなら……」
「それなら、英雄の力を見せてもらおうかな」
「戦えということですか?」
レイはリトスを握り、神装を取り出す準備をするが……。
「戦いはちょっとねー。そうだ、ドッジボールをしよう、そうしよう」
クルンの言葉にあっけ取られているとルールの説明を始めた。
「6VS6でやろうか。力は相手を傷つけない限りは使っていいというルールで」
「人数が足りないですよね?」
「僕の能力ならすぐ集められるよ。ルプス、マリクやシュガーの場所を知らない?」
「マリクたちならイグニスという国にいると聞いたが」
「そっか」
ベルはルプスから聞き出すと地図を広げるとイグニスの場所を確認し始める。彼女は集中力を高めていく。
「よし、マリクを捉えた」
空にヒビが入ると空間の入り口が出来上がり、そこからマリク、シータ、ドルチェが降って来た。
落ちてきた彼らにベルは説明していく。
「シュガーの仲間がどれほどか、見てやるか」
「じゃあ、作戦会議してからね。必要な物があれば、持ってくるから言ってね」
こうして、ケイオス・リングとピースをもらうべく、ドッジボールをすることになった。
英雄チームはレイ、アスラ、リアマ、ルキス、ルリ、イディナが出場することになる。
「すいません、イディナさん。巻き込んでしまって」
「別に構わん。それより、心剣という珍しい能力を持っていると噂になっているが、それが本当なら我から抜いてくれないか」
「それぐらいなら構いませんが……」
「レイ君、私も抜いて」
レイの左手はフラースの胸に、右手はイディナの胸にかざす。フラースからは銀色の薙刀が、イディナからは金色の篭手が姿を現した。
「もはや、心剣ではないな」
「心の武器ですから」
イディナの疑問をレイは一言で返す。金色の篭手は雷を纏っており、打撃で使う物であると一目で分かった。
フラースの心剣である銀色の薙刀は一見何もないように見えたが、心剣の担い手であるレイには使い方が分かった。
「こうだ」
彼が弄ると薙刀は剣へと変わった。
「フランさんの心剣が千変の武器だ」
「それにしてもレイは同時に心剣が出せたんだね」
「それは本人から抜いているからだよ。いつもは神装で再現しているからね。……そういえば」
その様子を見ていたルキスの疑問に答えるレイ。それは彼の中にある疑問を抱かせることになった。
彼はフランの心剣を右手で握る。
「英霊!」
レイはエインヘリヤルを発動させ、心剣を取り込もうとしたが、何も起こらなかった。
「発動していないよ、レイ」
「英雄の力だし、英雄の心剣しか無理なんだよ」
「ボクたち、8人の中で抜いていないのは誰?」
「アスラだね」
「アスラ、カモン!」
ルキスに呼ばれたアスラはこちらにやって来た。
「なんだ?」
「心剣を抜きたいけどいい?」
「構わねーよ」
レイの右手はアスラの胸にかざされると彼の心剣が出現する。それはナックルダスターにナイフがついた心剣だった。
「アスラらしい心剣だね」
英雄たちはゲームに向けて、準備を始める。
対するケイオス・リングチームはクルン、マリク、シータ、ジャンヌ、ルプス、マーテルの6人が出ることになった。ついでに連れてこられたドルチェは審判をすることになった。




