エインヘリヤル 煌く閃光の雷霆 -アストロフェギャ・ケラウノス-
英雄の選ばれ方
英雄は例外があるが、基本ウルズという神によって選ばれる。
選ばれるパターンはいくつかに分かれる。
・使命を帯びて選ばれるパターン。
これはある時期に一気に選ばれることが多い。
・気まぐれに選ばれるパターン。
大抵の英雄はこれに当たる。
・何かしらの方法で個人の力でなるパターン。
この方法はシュガーのようにレアタイプに詳しくないと不可能である。
・英雄が残したリトスに奇跡的に適合するパターン
リトスはその英雄のために作られたものだが、それを拾い、適合し英雄の力を持つことになる。
・使命ではなく、面白そうな動きをしてくれそうなので、神の好みで選ばれるパターン。
前任者である英雄たちの中で面白い働きを期待して、選ばれる。
・欠員したための補充パターン
使命で選ばれた英雄が死に、数が少ないと判断された場合、補充される。
これ以外の方法でも道標のように英雄の力を得ることがある。
前回のあらすじ
ついに財宝のある洞窟の奥へとたどり着いたルキス達。
そこに白骨がおり、エインヘリヤルを発動し、返り討ちにしようとする。
その時、アモルがどこかへ逃げてしまった。レイとルリはアモルを追いかけ、ルキスとミラは白骨の英雄を相手にすることになる。
****
アモルを追いかけていたレイとルリはいつの間にか外に出ていた。どうやら、彼女はレイたちとは別の入り口から来ていたようであった。
しばらく、追いかけていたレイたちだったが、アモルが男性と合流した姿を捉えた。その男性はウェルスだった。
「追いかけられているようだな。始末するか」
「それだけはしないでください!」
「冗談だ。人質は生きてこそ、価値がある」
ウェルスはアモルの前に立ち、レイと対峙することになる。
レイには力の差が分かり、彼はリトスを2つの神装に分け、マスクを装着する。すると白いマントが背に現れ、右手で黒い剣を握る。
そして、エインヘリヤルを発動させた。
「……強い」
我が内に眠りし思いよ。
今こそ力を解き放ってくれ。
さあ呼び覚ましてくれ、引き起こしてくれ。
戦いを招く恐ろしい心剣を。
あらゆる勇敢な英雄の魂よ、僕に誓ってほしい。
共に勝利を掴むことを。
「英霊 胸に眠りし心剣の理解」
黒い剣をアストライアへと変え、右腕が黄金に染まっていく。
レイのエインヘリヤルであるエネルゲイア・アニムスの能力は心剣の力を引きずり出し、神装レベルまで上げることだった。
それに対し、ウェルスは右腕を鱗の着いた竜の腕へと変え、レイが振り下ろした剣に対応した。交差した後、レイは距離を取った。
「絶風弊絶」
フィデスを発動させ、風に剣に纏わせていく。
「絶風刃!」
ウェルスに風の刃を放つ。彼はさきほど同じように片手で受け止めようとした。しかし、受け止めきれず、もう片方の手を出すが、風の刃に飲み込まれていった。
「アモルが後ろにいたから、避けきれなかったね。少し卑怯な……」
レイはウェルスがアモルを攫おうとしていると考え、あえて大技を放った。
もし、英雄が必要なら、アモルより弱そうなルリやミラを攫えばいい。なのに、それをしなかったのはアモル自身が必要だと考えた。
結果、彼の考え通り、アモルをかばう形になり、ウェルスに攻撃を直撃させることができた。
しかし、予想外だったのは絶風刃を受けてもほぼ無傷のウェルスの姿があったことである。
「さすがだ」
彼はレイをほめると拳を当てるために近づき、レイは剣でずらす。使っていない左手の人差し指をレイに向け、竜力を収束させ、それを放った。
「ゲブリュル」
竜の砲撃がレイに直撃し、吹き飛ばされた。強制的にエインヘリヤルの状態が解かれた。
今度はルリの前に立ち、腹を拳で殴り、気絶させた。
「これでいいだろう。さあ、行くぞ」
「……分かりました」
アモルは2人が生きていることを見届けてからその場に離れた。
「アモル……。君は絶対に救い出す……」
レイは気絶しながらも無意識にそう言っていた。
****
レイたちがウェルスたちを追いかけているとき、ルキスとミラはイストと戦っていた。
彼のエインヘリヤルは世界そのものを変えており、空には灰色の雲が支配していた。風も強く吹いており、彼らは海そのものの上に立っていた。
イストの手にはひも付きのトライデントが握られていた。
海は荒れ狂っており、波が暴れていた。そのせいでルキスとミラはまともに立つことさえもできていなかった。
「そこだ!」
波が高い時はそれが盾となり、目くらましにもなる。イストはそれを理解しており、波を貫くほどの勢いでトライデントをルキスたちに投げた。
ルキスは神装 雷霆を避けるときだけ発動させ、ミラを抱えながら雷速移動で避けていた。
「ルキス、どうする?」
「このままじゃあ、ジリ貧だね」
ルキスの回避にも限界が来ることは火を見るより明らかであった。
「何か、手はないのか?」
「……先にピースを取ろう。あれはルリのフィデスを目覚めさせた。あれが英雄の力を引き出すなら、エインヘリヤルも目覚めさせるはず」
「そうか、ルキス頼んだぞ」
「ミラが取りに行ってよ」
「えっ」
ルキスはミラに鉄球を持たせるとフィデスであるガウスを発動させた。鉄球を反発させることでミラを海の中へと押し込んだ。
「フゴフゴ!」
海の中は洗濯機のように回っており、彼女は身動き取れなかった。
さすがのイストでも荒れ狂う海での居場所の把握は難しく、狙い投げができなかった。
「我慢してね、ミラ」
ルキスは丁寧に磁力の引力と斥力を操り、イストの真下を通過させ、彼の後ろにある船の真下を通過させてから、ミラを上にあげた。
「ゲホッゲホッ」
海から上がった彼女は咳き込むが、苦難はまだ終わっていなかった。空中に浮かんだあと、磁力で引っ張り、船の真上に来ると磁力を解いた。
ミラは磁力がなくなったことでボロボロの甲盤へと叩きつけられ、床を貫いた。その下は偶然にも財宝部屋だった。
「ルキスのやつ、覚えとけよ!」
黄金に輝く財宝の中からピースを見つける作業が始まった。
「これでもないこれでもない」
該当しない財宝は手荒に投げていく。ほとんどものが金で出来ていたが、その場には似合わない紫色の球を見つけた。
「たぶん、これだな」
ミラはそれを抱え、甲盤へと走り、見つけたことを叫んだ。
「ルキス! 見つけたぞ!」
「分かった!」
ルキスはガウスを発動させ、ミラを磁力で引っ張った。彼女の体はボロボロの柵を粉砕し、ルキスのところまで飛んで行った。
「ありがとう、ミラ」
ルキスがピースに触れると紫の光が溢れ出て、ルキスとミラの体を包んでいく。
「ゼウス、今こそ約束を果たすよ」
火照る宇宙の至高の走路に音立てて進む轟き。
上天の閃光の至極の輝きを煌めかせろ。
浄福至極の者たちの御座を神的な雷光で揺るがせ。
与えたまえ、瑕疵なき健康と神的な平和と富の瑕疵なき栄光を。
「英霊 煌く閃光の雷霆」
ルキスの体からはケラウノスよりはるかに強い雷を身から出していた。
パッとルキスの姿が消えたかと思えば、イストの後ろに移動していた。彼のトライデントが投げられるが、ルキスは避ける体勢に取ることなく、避けた。
その槍はルキスの体を貫いたが、すり抜けた。彼の体に穴は開いたが、ビリビリという音を響かせながら、閉じられていく。
「この体にも慣れないとね」
ルキスがイストの体に触れると強力な雷が流れた。それは彼が悲鳴を上げる暇もないほどの威力であり、流し終わったときには世界は崩れていた。
「これがボクのエインヘリヤルか。気に入ったよ」
彼がそう言った瞬間、洞窟そのものが揺れた。
「何だろう? これ。ミラ、ボクに捕まって」
「俺も連れていけ」
雷を受けて倒れていたイストが復活し、ルキスにそう言った。
「邪魔しないなら、いいよ」
「俺の宝もやるよ、負けたからな。ただ、この洞窟が壊れるとお前たちにやることができなくなる」
イストは左肩に、ミラは右肩に手を乗せた。
ルキスは体を雷化させ、雷速移動で空中を移動し、洞窟の外へと向かって行く。
彼のエインヘリヤルである煌く閃光の雷霆はルキス自身の体を雷そのものへと変える能力だった。神装で雷速移動するときは雷で道を作る必要があったが、自身が雷となり、移動することで克服された。
外に出るとそこにはルキスが乗っていた海賊船のほかに船が1隻あり、その船が大砲で砲撃していた。
「撃て! 撃て!」
その船にはズロンがおり、部下たちにそう指示していた。
「おーい、ルキス」
ルキスの姿を見たレイがルリと共にやって来た。彼はエインヘリヤルの状態であり、右腕が青く染まっており、肩と肘、手の甲には青い花が咲いていた。握られていたのはルリの心剣であるブラッサムだった。
「アモルはどうにかできた?」
「いや……」
「それじゃあ、後で事情を聞かせてね。力になるよ」
「分かった。それでどうする?」
「ちょっと、2人をレイに任せた」
ルキスはイストとミラをレイに渡すと彼は体を雷となり、甲盤へと落ちた。レイは3人を抱えることになり、耐え切れずに甲盤へと落ちていくが、風を操り、上へと吹かせることで着地時の衝撃を和らげた。
「お前たちか。この前の私とは一味違うぞ」
ズロンは騎乗タイプの機械に乗っており、前回とは違い、ちゃんと動かしていた。
「ある人を倒すために作っている実験技を受けてもらうよ」
レイはフィデスであるアネモイで風を操り、刀身と右腕に纏わせていく。青い花から青いエキスを出され、風と1つになっていく。
それをズロンに対し、放った。
「絶華散刃!」
レイが技を放つと剣は刀身を失っていた。
その風には青い刃が混ざっており、機械を切り裂いていく。
「じゃあ、これでとどめだ!」
ルキスは掌に雷を集めていた。それは彼が放つことできる魔術ライトニングとは比較にならないほどの威力だった。
それを追いうちにズロンに放つ。
「ぎゃあああああ!」
ズロンの体を痺れさせ、機械が爆発し、彼はどこかへと吹っ飛んでいた。
「ズロン様がまたやられたよ。探しに行かないと」
部下はそう言い、レイたちの方を向いた。
「すいません。この島にはもう手を出さないので見逃していただけないでしょうか?」
「そちらが手を出さなければ、見逃すけど……」
「ありがとうございます」
レイは部下たちを見逃し、船から降り、浜辺へと移動した。部下が乗る船は約束通り、島から離れていき、上司を探しに行った。
それを見届けた後、レイはルキスとミラにアモルの身に起こったことを伝えた。
「アモルが……。ピースを集めることが近道かもしれない」
「どういうこと?」
「アモルがピースという情報をその人から受け取っていたと仮定した場合、なぜ詳しいかが気になる。何かしらの計画があり、それにアモルとピースが必要かもしれない」
「ピースは英雄が集めるべきものって、言ってなかった?」
「確かに言っていたけど、今の情報だけだと分からないなー。もしかしたら、ボクたちが集めるのも計画の内かもね」
「それでも、僕は集めるよ。利用されていたとしても、アモルを助けるために」
「ボクも同じ意見だよ、レイ。要するにその化け物が蘇ったとしてもボクたち英雄が倒せばいいんだよ」
ルキスはレイにピースを渡すと彼は地図を取り出した。この島のマークは消え、今までにないケースで浮かんでいた。
地図には2つのマークが浮かんでいた。1つはイグニスに、もう1つはデネブラエに浮かんでいた。
「マークが2つ浮かんでいるよ、ルキス」
「地図的にイグニスだね。そこにはアスラとリアマがいるから、この2人が何かしらの行動をやっているかも」
「二手に別れようか」
「とりあえず、それがいいね」
アモルは攫われてしまったが、ピースを集めることで救えると信じ、前へと進んでいく。




