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勇者の期限切れ

英雄について・選ばれている数

レイを含む現英雄たちに五大英雄を見ると英雄を選ばれるときは一斉になり、彼ら以外いないように見える。

しかし、彼ら以外にも英雄に選ばれている。知られていないのはそこまでは活躍していないため、有名になっていないか、時が経ったことで忘れられているなどの理由である。

むしろ、一気に選ばれているケースの方が珍しい。あとはウルズの気分次第。



前回のあらすじ

ラーパから計画の内容を聞いたレイたちは平行世界から来た英雄たちを保護するために分かれて、探すことにした。

そのころ、アリスは覇王のアルティに、シュガーは英雄のプロキオンにエインヘリヤルを発動し、勝負に決着をつけようとしていた。


****


 ある場所で3人の人物がいた。彼らもシュガーが原因でこの世界に来た者であった。しかし、アルティたちと違う点は平行世界ではなく、異世界から来たということであった。

 彼らの1人は大型の黒い犬を2足歩行したような姿であった。その姿は獣人が獣化し、人獣形態になった姿と似て、アース大陸では怪獣人と呼ばれている種族とも似ていた。

 名を黒餅(くろべい)と言い、妖怪と呼ばれている種族でこの世界には存在しない種族であった。


「ここは儂たちがいた世界とは違うようだ」

「そうみたいですな」


 黒餅の言葉に反応したのは羅刹(らせつ)という男であった。その男の額には2本の角が生えている鬼と呼ばれる妖怪の一種であった。彼の腰には金棒を携帯していた。

 最後の1人は女性であり、紅葉(もみじ)という名の鬼であった。腰には打刀と脇差の2本の刀を差していた。2人の鬼の髪は黒髪であり、そんな中生えている角は目立っていた。

彼女は眼を閉じて、回りの気配を探っていた。


「この気配は……まさか……」


 懐かしく、信じられない気配を見つけた。その気配は500年以上の前に亡くなったはずであり、その主の死体は10年にも及ぶ探索でも見つかっていなかった。


「行きますよ! 黒餅、羅刹」


 星熊は気配を感じた方向に走り出し、2人もそれについていく。その反応を黒餅が彼女に聞いた。


「紅葉、何を感じた?」

火産霊(ほむすび)様の気配をわずかだが感じた」

「火産霊様が! やはり、生きておられたか」

「俺は会ったことがねえんですが、先代火神の第1神候補ですよね?」

「そうだ。火産霊様は突如行方不明になられた。懸命に捜索したが、死体すらも見つからなかった。今の儂らみたいにほかの世界に移動したなら、説明がつく」


 黒餅たちが向かう先にはアリスとアルティが戦っていた。アリスがエインヘリヤルを発動させるとアルティは竜力を高め、翡翠の鱗を持った竜へとなった。

 しかし、竜の鱗も焦熱地獄の豪熱と業火によって、今や黒く焦げていた。


「ぐあああああ!」


 苦痛の悲鳴を叫びながら、アリスは炎を操り、串状にしていく。この地獄の炎は見境なく、ただ燃やし続ける。

 アリスのエインヘリヤル 贖いの焦熱地獄 ローゲ・エゴ・サクリファイスは焦熱地獄を具現化し、業火を操る乗る力であった。その世界は焦熱に支配されているため、常に焼かれ焦がれ、息をすることさえ苦痛を伴う。地獄の業火は主さえも焼き焦がしていく。

 ただし、アリスはその業火で死ぬことはない。いや、正確に言えば、死ぬことができない。死ねば、贖うことができなくなるから。彼女が死ぬとすれば、罪を贖い終わった時である。

 贖いの焦熱地獄 ローゲ・エゴ・サクリファイスはアリスの罪の意識から作られた能力である。


「大鉢特摩処」


 炎の串を幾つも作り出し、翡翠の竜を貫いていく。竜は激痛の悲鳴を上げ、地響きを鳴らしながら、横に倒れた。そして、竜は人の姿へと戻っていく。瀕死ではあったが、死んでいなかった。


「世界を……戻さないと……」


 空間にひびが入り、世界が崩壊していく。

 太陽の日が差し込むとアリスの体は回復していき、彼女のところにセレネとデッドボディが駆け寄って来た。


「大丈夫ですか?」

「なんとかね。後は互いを回復させてから、話を聞いてもらうだけ」


 そんなことを話していると黒餅たちがやって来た。


「紅葉。どの方も火産霊様ではないぞ」

「そこの黒髪の女性からですが、わずかに力を感じます。なにかしらのつながりがあると考えられます」

「あなたたちは誰ですか?」


 突然、現れた集団にセレネは尋ねた。


「儂は黒餅と申す。こことは違う世界から来た。貴公からかつての主であった火産霊様の気配を感じ、ここまで足を運んだ。その御方に心当たりはないであろうか?」

「その世界は獣の特徴を持った種族が住んでいませんか?」

「左様。火産霊様も狐の特徴を持った赤髪の御方である日姿を眩ませてしまった」

「その主とやらは500年以上前に行方不明になったのでは?」

「心当たりがあるのか!?」

「おそらくは……。今から、彼に会いに行くので一緒に行きますか?」

「かたじけない。この黒餅、羅刹、星熊が貴公たちを守り通すことをここに誓おう」


 セレネたちは黒餅らを連れ、彼らの言う主のところまで行くことにした。


****


 アルトとミラは森に迷い込んでいた。


「こんなところに森なんてなかったはずですが……」

「昼なのになんで月が出ているんだよ? それに魔術も使えないし」


 2人が話し合っているとある方向から轟音が鳴り響いた。


「なんでしょう、この音は?」

「仲間が戦っているかもしれないし、行ってみるか」


 ミラたちが音の方向へと向かうとそこではシュガーとプロキオンが戦っていた。


「環境破壊は楽しいな」


 シュガーはそんなことを言いながら、槍で金属樹を破壊していく。


「貫け! グングニル」


 彼から投擲されたグングニルはプロキオンへと貫こうとする。

 安息されし英雄の楽園レクエイム・へロス・エレサイムは特殊なエインヘリヤルであった。エインヘリヤルは英雄の中に取り込んだ神魂を使うことで発動することができる。そのため、シュガーはヘタトロイと融合し、エインヘリヤルを発動していた。

 サタンと融合した場合は承継する英雄の眩耀レクエイム・へロス・ルークスであらゆるフィデスを使用することができ、ジルニトラと融合した場合は承継する神々の象徴レクエイム・へロス・へーパイトスであらゆる神装を具現化することができる。

 シュガーはサタンとジルニトラの2人と同時に融合することで新たなエインヘリヤルである安息されし英雄の楽園レクエイム・へロス・エレサイムを生み出した。その能力はあらゆるフィデスと神装を使うことができることである。

 その能力で黄金の槍をグングニルへと具現化していた。


「次はその能力か」


 プロキオンは金属樹の蔓を前に出し、槍にぶつけていく。狙いは変わらないが、その勢いは確実に弱まっていく。

 向かってくる槍に対し、彼はわざと蔓を絡ませた肩に掠らせる。


「命中したな。絶対命中はなくなった」

「戻れ、グングニル」


 シュガーがそう言うと手元に槍が戻る。彼のエインヘリヤルには制限があり、その能力を理解していないと真の効果は発揮できなかった。


「次の一撃で終わらせる」


 黄金の槍は赤く染まっていき、炎がにじみ出す。


殺戮者(アラドヴァル)


 にじみ出す炎はどんどんあふれ出し、金属樹を燃やしていく。その炎は静まっていき、槍に収束していく。

 投げる体勢に入る。


「滅べ」


 赤き槍はプロキオンに投げられた。彼は先ほどグングニルを防いだように蔓を前にだした。蔓と槍が接触した瞬間、大爆発を起こした。その衝撃波は地響きを鳴らし、大陸そのものを揺らす。樹木は吹き飛ばされ、妖精たちは滅び、世界は崩壊していく。

 そんな中、プロキオンは目の前にシュガーの姿を目で捉えた。


(この距離なら、対応できる。瞬間移動をされても平気だ)


 そう思い、彼は天装を取り出そうした瞬間、首筋に刀を置かれた。気配も感じさせず、後ろに立っていたのはシュガーだった。


「いつの間に……移動した気配すらなかったぞ」

「俺が開発したもう1つの究極魔法だ」

「……負けを認めよう」


 負けを認めさせたプロキオンにシュガーは事情の説明を始めた。


「なるほど、そういうことか。で、シュガー。気づいているか?」

「安心しろ。俺の仲間だ、出てこい」


 茂っている草葉に向かって言うとそこに隠れていたミラとアルトが出てきた。


「シュガーさんだったんですね。獣耳がないから、別人だと思いました」

「ちょうどいい、お前に相談したいことがあるんだ」


 ミラはフィデスが使えないことを伝える。


「フィデスが使えないのか。それは一時的なことかもしれないし、何かが要因で変わろうとしているかもしれない。なにか、覚えはないか?」

「ないわけではない」


 彼女の頭に過ったのは天蓋のことだった。自分の出生を聞き、それについて割り切っているものの原因と聞かれたら、あれしかいなかった。


「それをどうにかするしかないな。そんなことより、勇者だ。あれをどうにかしなければならない」

「勇者って、アスカのことか?」

「違う。別の勇者……」


 シュガーが言い終わる前に状況は一変した。彼らの前にその勇者が現れた。


「全員、逃げろ! 俺が足止めをする!」


 彼はそう言い、黄金の槍を持ち直した瞬間、勇者の剣が振り下ろされる。結果、槍は真っ二つになり、肩に深い傷を残し、地に伏せることになった。

 今にも気を失いそうな中、斬り傷に見覚えがあることに気付いた。頭に浮かんだ名前をくちにした。


「シアか……」

「なぜ、その名前を?」


 勇者はシュガーが呟いた名前に反応した。


「俺の名前はシュガーだ」

「シュガーだったのか。獣耳がないから、気づかなかった」

「その前に1回会っているはずだが?」

「あのときは来たばかり慌てていたから」

「そういうことにしておこう」


 シュガーは立ち上がりながら、そう言った。シアから受けた傷を回復しながら、事情を説明した。


「そういうことね。まあ、勇者の力がある限りはどんな敵でも大丈夫よ」

「そうか。ところで今は何歳だ?」

「20歳の誕生日会をしていたから、20歳よ」

「勇者の力には期限があることは知っているか?」

「えっ」


 シアの背にある勇者の剣は輝きだした。その光は収まることがなく、粒子となり、形を失っていった。


「これでシアは勇者ではなくなったな」

「これから、どうしよう?」

「俺が責任もって、元の世界に戻すことを約束しよう」

「そう言って、守ったことがなかったよね」

「そちらでも守っていなかったのか」


 シュガーはシアを元の世界に戻すために時空の穴へと向かうことにした。

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