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エインヘリヤル 承継する英雄の眩耀

種族について・結晶人

全身が結晶に似た鉱石で出来ている種族。

この種族は自然発生するため、数は少ないが、全滅してもまた発生する。発生方法は土に埋められている鉱石が突然変異し、その鉱石が人型になり、ある程度の大きさになると地面から出てくる。

呼吸を必要としていないが、体が鉱石なため、体重が重い。そのため、水に沈むが、呼吸をする必要がないので水の中を歩ける。



前回のあらすじ

英雄たちは夢幻人のシュラーフがシュテルで引き起こしていた事件を解決した。

その過程でシュラーフはシュテルの使徒となる。

レイは雲の上にある国の情報を得るために五大英雄の1人、狂武人のアイランを探し、シュガーは魔術師トゥーレのメンバーを勧誘するために道を歩んでいく。


****


 事件の後、英雄たちはシュテルの屋敷へと移動していた。

部屋の一室にシュガーとアルキュオネ、シュテルとシュラーフが集まっていた。シュガーの姉であるシュテルの手には金の指輪と赤いブローチがついたスカーフがあった。


「はい、これ」

「これは……」

「私に預けていた物よ。アリスも救い出せたし、返すわね」


 その2つはシュガーがアリスを救い出すと決めた時にシュテルに預けていたグランツ家である証だった。

 受け取ると彼はスカーフを首に巻き、指輪を左中指へとはめる。その指はかつてラヴァとの契約していた証であった赤い宝石の指輪の場所だった。


「これからはどうするの?」

「新しい目的があるから、達成するために必要なことをしようと思っている。実現できるかはまだ分からないが」

「そう。それがひと段落着いたら、帰ってきなさい。イグニスではシャルロットでもあなたもグランツ家の一員なんだから、何の遠慮はいらないわ。久しぶりにゆっくり話したいわ」

「シャルロット……グランツ……表と裏。そうか」


 シュガーは何か思いついたような声を出した。


「何かあったの?」

「姉さんのおかげで更なる先へと進めそうだ」

「それはよかった」


 シュテルと話し終えたシュガーはアルキュオネと共に立ち上がり、扉を向かおうとした瞬間……。


「……待って」


 シュラーフが待ったをかけた。


「……アルキュオネ」

「なーに? シュラーフちゃん」

「……あなたと友達になりたい。……けど、どうすればいいの?」

「簡単だよ。名前を呼べばいいんだよ。手本を見せるね」


 アルキュオネはシュラーフの手を握ると目を合わせた。


「シュラーフちゃん、お友達になろう」

「……うん」

「ほら、名前を呼んで」

「……アルキュオネ」

「うん!」


 互いに微笑み合う。


「今度はシュガーちゃんにやってみよう」


 アルキュオネはシュラーフの背中を押し、シュガーの前へとやった。彼女は彼の手を握る。


「……シュガー、友達になって」

「ああ、もちろんだ。シュラーフ」

「……シュガーって、シュテル様とどんな関係?」

「シュテルは俺の姉に当たる方だ。では、また来る」


 2人は扉に手を掛け、部屋の外に出るとそこにはルプスがいた。


「ルプスか」

「もう行くのか?」

「ああ、俺の屋敷が火の国イグニスのフレアというところにある。ぜひ来てくれ」

「分かった」

「ところでマリクとメロディには会ったが、ほかの2人も来ているのか?」

「来ているはずだ」

「そうか、ではな」


 シュガーはサタン、アルキュオネ、メロディと共に屋敷から出て、目的の場所へと向かった。


****


 シュガーと話し終えたシュテルはシュラーフにレイたちを呼びに行かせ、部屋まで案内させた。


「レイ、用って何かしら?」

「ある事情があって、雲の上にある国に行きたいんです。それをシュガーに話したら、シュテルさんに相談したらいいと聞いて来たんです」

「雲の上……オーブラコという国ね。行き方は2つあるけど、楽な方はアイランの神装が必要ね」

「シュテルさんならアイランさんの場所が分かると」

「ちょっと待ってね」


 シュテルがそう言うと目を閉じ、約5分経つと目を開けた。


「1週間以内にアイランはこの町を訪ねてくるわ。そのチャンスを見逃さないことね。昼頃にどこかで食事を取っているようね」

「なんで、そんなことが分かるんですか?」

「私は予言ができる神装 神託の詩デルポイを持っているからよ」

「もっと具体的に分からないのですか?」

「予言って言ってもそんなに万能性があるものじゃないし、便利な神装ではないの。この神装は予言が詩の形で来るから読み解く必要があるし、力もかなり使ってしまう。詩で来るから解釈の次第でいくらでも変わるの」


 シュテルの神装はいくつかあったが、どれも燃費が悪い。その分、強力であるが、その燃費の悪さから同時併用は無理であった。


「まあ、頑張りなさい」

「はい。ところでその必要になる神装って、どういう神装なんでしょうか?」

「乗り物タイプの神装で金色の雲ね。名前は確かキン斗雲だったわ」


 レイたちはシュテルの予言に従い、シュテルの町でアイランを待つことにした。


****


 レイたちがアイランを待っている間、シュガーは骸人を探していた。

 サタンがシュガーにアルキュオネのことを聞いた。


「ねえ、シュガー」

「何だ? サタン」

「アルキュオネちゃんって、どんな子?」

「彼女はレアタイプの1つ、聖女に選ばれた森人だ。森人と言っても姿を変えることができる」

「なんで?」


 サタンの当然の疑問にシュガーは答える。


「聖女の役目は種族に関することでそれの応用だ。アルキュオネはテスラを倒すための計画で万が一の時の保険として、この大陸に連れてきた」

「種族関係で問題が起こることでも想定していたの?」

「聖女には特異能力があり、アルキュオネの力は癒し。風を司る癒しの聖女だ」

「なるほど、シュガーは何かしらの怪我を想定したのね」

「そうだ。レアタイプはアルキュオネだけではなく、メロディもレアタイプだ」

「えっ、どんなレアタイプなの?」

「それは……目的の人に会えたようだ」


 メロディのレアタイプについて話そうとしたシュガーだったが、目的の人に見つけ、中断した。

 その男は死人のごとく青白い肌をし、黒い髪と瞳をしていた。


「骸人のデッドボディだな?」

「そうだが」

「ギルド トゥーレに勧誘しに来た。その種族と魔力を活かそう」


 骸人は森人みたいに普通に生まれることはなく、最初は聖女によって生み出された。生まれてからは骸人が死んだ時、一定期間を経て、蘇るようになっている。その際、記憶は消え、肉体は再利用される。


「ギルドの目的を聞かないことには返事のしようがないな」

「トゥーレの目的は詳しく話せないが、今までにないことをやろうとしている。人類が未だ成し遂げたことがないことを。それを目標としている」

「面白そうだが、それを成す力があんたにあるかが分からないな」

「それなら戦うか? 今までにない力を見せよう」

「それが手っ取り早いな」


 シュガーとデッドボディの間にはある程度の距離を取った。


「メロディは手を出すな。サタンはこっちに来てくれ」


 サタンはシュガーのそばに来ると肩に手を置かれる。


「2対1か?」

「俺は英雄に選ばれている。サタンは俺の相棒だ。それに戦うのは俺1人だ」


 サタンの体は黒い粒子となり、シュガーの体に取り込まれると漆黒の闇に包まれていった。

 闇から出てきた彼は魔人に近づいていた。獣耳は無くなり、髪は腰まで伸び、漆黒に染まっている。残っている面影は赤い瞳と獣の尻尾であった。

 しかし、シュガーが抜けたというのに闇は残っていた。彼はそれに手を入れ、引き出すとそこには闇には似合わぬ黄金の槍が握られていた。


「この融合にも名前を付けないとな」


 最初に攻撃を仕掛けたのはシュガーだった。槍の一突きがデッドボディに襲い掛かる。それを手で払い、距離を詰めた。彼の長い爪がシュガーの左腕に服を裂け、傷を作る。


「毒か。消毒するか」


 彼の魔術によって、左腕は炎に包まれ毒を消し去っていく。そのまま、腕を前へと出し、炎を操り、デッドボディを攻撃する。

 彼は息を大きく吸い込み、炎に向けて冷気の息を吐く。炎と冷気がぶつかり合い、互いに相殺する。目の前が晴れるとそこにシュガーの姿はなかった。


「どこだ!?」

「後ろだ」


 瞬間移動で後ろに回り、槍ではなく、拳でデッドボディを殴る。


「お前の体は死体であるがゆえに硬いな。そのおかげで斬撃に強いようだ。なら、拳で攻撃するまでだ」

「今の移動はマーキングがない移動。ということは魔術ではなく、魔法か」

「そうだ。特別サービスだ。英雄の本領を見せてやる」


 黎明の子、明けの明星よ。

 あなたは電光のように天から落ち、地に倒されてしまった。

 あなたは天にのぼり、王座を高く神の星の上におき、天の御座に座そうとした。

 しかし、栄華と琴の音は陰府に落ち、墓に眠りて宵の明星となり、鎖につながれる。


英霊(エインヘリヤル) 承継する英雄の眩耀レクエイム・へロス・ルークス


 シュガーの髪が漆黒から槍と同じ黄金へと変わっていく。


「これがカテーナの先であるエインヘリヤルか。……。なるほど、さっそく力を使おう。強き風よ、絶風弊絶(アネモイ)


 彼は左手の平に竜巻を作り、それを圧縮し、デッドボディに向けて投げる。結果、彼はその攻撃では傷ついておらず、地面に大穴を開いていた。


「これで十分だろう。魔法に英雄の力、十分に見せたはずだ。もう一度聞こう。トゥーレに入ってくれないか? 永い時を生きると新鮮味は薄れ、既知感が募るばかりだ。だが、世界にはまだまだ未知があるはずだ。それを成そう」

「あんたの力は十分に分かった。入らせてくれ。あと、まだあんたの名前を聞かせてもらっていない」

「それは失礼した。俺は獣人のシュガー・ロッホ・グランツ・シャルロット。骸人のデッドボディ、お前を歓迎するぞ」


 シュガーはデッドボディをトゥーレに加入させることに成功し、彼と熱い握手を交わした。

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