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ルキスの故郷グラッド

種族について・昌人

結晶人を先祖に持つ種族。

手の甲にガルと呼ばれる器官があり、その器官に様々な力を溜めることができ、それを利用し戦う。複数の力を同時に溜めることもできるが、一度に溜められる量も決まっており、力のコントロールも困難になる。


力の補充の仕方は魔力なら魔石から補充することができるが、魔力以外の力は他人を頼る必要がある。そのため、人との繋がりを大切にする。

しかし、ガルは魔具の材料に最適なため、ほかの種族から狙われやすく、そのことから数が少ない。


ガルは割れることがあるが、他の種族でいう骨折に当たるためめちゃくちゃ痛い。その際に溜めていた力も同時に漏れる。



前回のあらすじ

レイたちはグラッドに向かうべき、一旦都市ソルムで休むことにする。宿屋を探していた時、何でも屋しゅーてぃんぐ☆すたーのメンバーに会い、華人の英雄ルリと合流する。

一方、勧誘を終えたシュガーは自分の屋敷があるイグニスへと戻った。


****


 レイたちは都市ソルムを出発し、グラッドへと向かっていた。

 出発する前にルキスにこう聞かれた。


「魔物が出る道とあまり出ない道の2つがあるけど、どちらがいい?」

「魔物が出ない道がいいな」

「分かった」


 ルキスの問いにレイはそう答えたが、のちに後悔することになる。

 レイたちは今竜の背と呼ばれる道を歩いていた。その道は山のてっぺんにあり、幅は片足ほどで両側には下が見えないほど深い底が待っていた。足元は土ではなく、石が重ねってできていた。


「先輩、待ってください」

「ルリ、話しかけないで。落ちるから」


 ルリとレイはその道に悪戦苦闘していた。


「ほらほら、速くー」


 それに控え、ルキスは慣れていることもあり、一番先に行っていた。アモルは天人で身体能力が高いためか、レイたちほど苦戦していなかった。


「魔物が出ない道って、こういうことだったのか。そもそも出る隙がない。仕方ない、フィデスを使おう」


 レイはフィデスを使うために集中力を高めていく。


絶風弊絶(アネモイ) 絶風翔」


 レイがフィデスを使用すると自然界に存在する風を自分の回りに纏っていき、風を利用し、体を浮かせることで空へと飛んだ。


「ルリ、手を繋いで」

「分かりました」


 ルリのところまで行き、彼女と手を繋いだ2人は空を飛ぶことで速く移動できるようになり、ルキスの先へと行った。


「レイ、ボクも混ぜてよ」

「ごめん。今の実力だと自分を含めて、2人までが限界なんだ」

「そっか。じゃあ、これを受け取って」


 そう言って、ルキスがレイに向かって投げた物を受け止めた。それは鉄球だった。


「アモルも。磁力(ガウス)


 アモルにも鉄球を渡すと彼もフィデスを発動させた。するとルキスはレイが持っている鉄球に引っ張られていく。同時にアモルもルキスに引っ張られていく。

 結果として、レイの左手にはルリが繋がれて、右手にはルキス、アモルがぶら下がる形になった。


「レイ、頑張ってね。ボクとアモルは磁力で繋がれているから落ちる心配はないよ」

「少し重いけど、なんとか飛び続けるよ」


 レイは少し右に傾きながらも飛び続けて、ルキスの故郷へと向かった。

 そして、ようやくグラッドにたどり着いた。


「本当にほとんどが女の子だ」


 レイが村を見た第一印象がそれだった。このグラッドという村には若い女性がたくさん歩いており、男性は年を取った人しかおらず、若者はいなかった。


「ボクがこの村に出て、気づいたのがこの村に住む人たちは年の割に若い人が多いことかな」

「それは地下にある神の遺産のおかげね。その神力が水に影響して、それがこの村人の体内に入っているからね」

「そうなんだ、説明ありがとう。ところで君はだれかな?」


 この村の人が若い理由を説明したのは赤い髪と眼をしたレイより身長が少し高い大人で女性の竜人だった。赤い服にロングスカートを着て、背中には大剣を背負っており、赤い竜の尻尾が見えていた。

 彼女の隣には薄暗いグレーの髪に青い瞳を持つ女の子に見える村人がいた。

 ルキスから名前を聞かれた竜人は名乗り始めた。


「私は聖女のエレクトラ。種族は竜人よ」

「聖女?」

「君たちは英雄でしょう。それと同じ存在よ」

「つまり、勇者と同じみたいなものですか?」

「そうよ」

「聖女って、どんなものなのですか?」

「機密事項です」


 エレクトラから聖女について軽く説明されたレイはもっと詳しく聞こうとしたが、はぐらかされてしまった。


「こんな辺鄙なところに何の用があるのかな? ルキス」

「久しぶりー、シリカ。実はこの近くに財宝の鍵があるという情報を掴んでね」

「本当にあるのー?」

「たぶんね。みんなに紹介するね、ボクの友達シリカだよ」

「みんな、よろしくね」


 レイたちは自己紹介していき、それが終わるとレイはシリカにあることを聞いた。


「シリカって、女の恰好をしているけど、どちらなのかな?」

「ボクは男だけど、それのどこに問題があるのかな? レイ君って、彼女いる?」

「いないけど」

「もし、良かったら、ボクなんてどう?」

「男同士だよね!?」

「確かに男同士は結婚できないね。けど、男と男の娘なら結婚できるよ」

「いや、その理屈はおかしい」

「元は男でも女の子の恰好をすれば、男の娘になって女の子と一緒だよ」

「助けて、ルキス」


 シリカの言い分に圧倒されるレイはルキスに助けを求めた。


「これが文化の違いって奴だよ、レイ」

「……もしかして、ルキスもシリカと同じ?」


 レイはルキスもシリカと同じ考えを持っているのではないかという疑念が胸に浮かび上がり、彼に聞いてみた。


「それはちがうよ」

「よかった」

「ボクは気に入った人であれば、性別は気にしないから」

「もっとひどくなっているのは気のせいかな?」

「それは気のせいだよ」

「そっか」


 こうして、レイはグラッドの歓迎を受けた。

 話は本題に戻り、レイはルキスに宝の地図に浮かび上がった星のマークに心当たりがないかを聞いた。


「ここら辺で財宝の鍵だよね。この村の人たちは商売をやっている人以外はめったに外に出ないよ」

「出ないというより出れないだよね。もしかして、あそこじゃない? ルキス」

「どこなの? シリカ」

「ボクたちが良く遊んでいた林の近くの洞窟。あそこには行ったことがないから、何があってもおかしくないよね」

「まあ、調べてないしね。どうする? レイ」

「ほかに手掛かりもないし、じっくりと行こう。ルキス、案内お願い」

「任せておいて」


 レイたちはルキスの案内を元にグラッドの回りを探すことにした。


****


 シュガーのほかにもイグニスへと向かっている馬車があった。その馬車は大型の4輪で中には約10名ほどの宝玉人の女性が乗っており、御者台には女性と男性の2人がいた。


「シータ、まだかかりそうか」

「まだまだよ」


 女性の名前はシータ。種族は宝玉人で青髪に緑眼で額には青く輝いている宝玉があった。彼女は白を基調とした服を着ており、馬車の手綱を引いていた。

 男性の名前はマリク。種族は吸血人で金髪に赤い瞳を持ち、黒いマントを羽織っていた。

 2人はシュガーと共にアース大陸を冒険した仲間だった。この大陸には船でやって来た後、ルークスで聞き込みしたところ、ある魔術師からシュガーがイグニスにいることを知った。


「それにしても私たち宝玉人がこの大陸に移住することはシュガーに相談すれば、どうにかなるかな?」

「どうにでもなるだろう。シュガーはどっかの貴族に拾われたと言っていたから、その当てを使えばな」

「それなら安心ね」


 宝玉人の額にある宝玉は魔具の材料として非常に価値があった。しかし、宝玉が取られてしまうと宝玉人は死んでしまうのであった。常にほかの種族に宝玉を狙われることが日常茶飯事でそれは彼女たちにとって、命を狙われていることと同然だった。

 シュガーと一緒にアース大陸で冒険している時、彼からヴァン大陸に宝玉人がいないと聞いていた。そのため、行動力ある宝玉人は命を狙われる危険性が低いこの大陸に移住するべき、やって来た。


「マリクさんがいるなら頼もしいです」

「いやー、それほどでもあるね」


 マリクが彼女たちと行動しているのはシュガーに会うためでもあったが、護衛のためでもあった。

 宝玉人は常に命を狙われ続けたため、他の種族を信用していない。しかし、シータの知り合いであったため、彼は信用されていた。シュガーが宝玉人に初めて会った時、火炙りにされそうだったが、そこから何とか時間をかけて信用されるようになった。


「さすがは魔王を倒したことはありますね」

「その話はやめてくれ」


 後ろから話しかけられたマリクはその話を遮断した。

 魔王を倒した彼らと魔王を倒した英雄が交わるのはそう遠い出来事ではなかった。

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