天空の主神 ゼウス
種族について・レア種族
この第5世界には様々な種族が存在しているが、その中でも異端なのがレア種族と呼ばれるものである。
レア種族は数が少ないからレアなのではなく、世界に同時に存在せず、1種族に1個体しかいないためが故にそう呼ばれている。神人は隔世遺伝だが、シュガーとシュテルの2人がいるためレア種族ではない。
レア種族には暴人、涅人などがおり、非常に数が少ない。彼らがどうやって存在しており、子孫を作り出せるのは謎に包まれている。
1行で分かる前回のあらすじ
レイとアモルがアース大陸から来た人と交流しました。
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ルキスは白い雲に乗っていた。上を見上げると青い空が広がっている。そこには石でできた立派な椅子に座っている白髪の男性がいた。その姿は白髭を蓄えており、トーガを着ていた。
「ゼウスじゃん」
「ルキスか。今日はスペシャルゲストを呼んでおいたぞ」
そこはリトスの中であった。ルキスはミラと違い、暗闇の空間でなく、それよりさらに奥へと行くことがレイと同じようにできていた。
「それでゲストって?」
「こいつだ」
「やあ、ルキス」
そこに現れたのは赤い髪を持ち、狐の獣人であるシュガーだった。ここはルキスのリトスの中であり、ルキスはゼウスと自分以外は来ることができないと思っていたため、驚きを隠せなかった。
「どうして、シュガーがここに?」
「それは俺が知りたい。寝ていたら、ゼウスが訪ねてきたんだ。ここまで案内されたんだ」
「リトスとは神の魂の一部で出来ている。ルキスのリトスは私の魂で出来ており、シュガーのリトスは私と由縁がある神の魂で出来ていた。その関係性を利用して、シュガーを呼んだのだ」
ゼウスがシュガーを呼んだ仕組みを説明するとルキスがあることを思いついた。
「そうだ。ゼウスが行けて、シュガーが来れるならさ、声だけを送って会話をすることはできるんじゃないかな」
「似たような魔術があるから、それは可能だと思う」
「起きたら、リトスを介して会話するから、よろしくね」
「分かった」
「お前たちも英雄の使命が終わったら、私の世界に来るといい」
ゼウスがいる世界がどういうところなのか気になり、ルキスは聞いてみた。
「ゼウスがいる世界って、どんな世界なの?」
「この世界の最も違うのがレベルという概念があることだな」
「レベル?」
「簡単に言えば、その者の強さを表す」
「なら、ボクとシュガーのレベルって分かる?」
「大体で良ければ、分かる。ルキスのレベルは34だな。シュガーのレベルは11だ」
「俺のレベルがルキスより低いだと……」
シュガーはルキスのレベルと比較し低いことを気にするが、ゼウスがそれをフォローする。
「シュガーとルキスだとシュガーの方が強いが、レベルは低い。その理由は神力の素質があるため、レベルが上がりにくい。その分、レベルが1つ上がるときの上昇値がとてつもなく高い」
「その理屈だとシュテルもレベルが低そうだな」
ゼウスからシュガーが説明を受けているとルキスは彼に呼び出されたことについて尋ねた。
「ところでゼウスはシュガーを呼べるかの実験のためだけにボクたちをここに呼んだの?」
「それだけではない。神装を渡そうと思っていてな」
「どんな神装なの!?」
「私が愛用している盾で娘に貸したことがあるものだ。英雄よ、受け取れ。アイギスを」
ゼウスが神力を収束されると英雄ルキスの目の前には雲が連想されそうなほどの白で出来た盾が現れた。
「これが新しい神装……。ありがとう、ゼウス」
「喜んでもらえて何よりだ」
新しい神装を手に入れたルキス。神装を手に入れたことで同じ英雄であるシュガーがどんな神装を持っているのかが気になり、彼に聞いてみた。
「シュガーはどんな神装を持っているの?」
「銀色の機械人形に原初の女性、黄金の侍女だ。どの神装も独自の意思を持っている」
「機械の人形といえば、こんなのを見つけたんだ」
「これは……」
ルキスはルナと共に旅している途中で手に入れた宝の地図をシュガーに見せた。
「この地図は本物だな」
「どうしてわかるの?」
「この地図はギオンと姉さんと共に作ったからだ」
シュガーの口から明かされる衝撃の真実。
「それって、本当なの!?」
「ルキスとリアなら行ったと思うが、イディナが封印した洞窟も五大英雄が作成した。あそこにいたゴーレムは俺が趣味で作ったものだ」
「それなら信憑性があるね」
「ただ、この地図を作ったのはかなり前だから、残っているからは分からんな」
「それなら早く行ってみるね」
「今日はこれぐらいにしよう」
「そうだね。本来なら寝てるはずだからね、ボクら。それじゃあ、朝にリトスを介して話しかけるからね」
「分かった」
ルキスとシュガーは別れの言葉を口にし、その場から霧のように消えていった。
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ジルニトラはある夢を見ていた。その夢には彼女の姿はなく、シュガーの姿はあった。その場にはシュガーを含めた3人の男性に同じ数の女性がいた。ジルは知らないことだったが、女性の中には楔人のルプスがいた。
彼らの前には1人の女神がいた。
「私は神のウルズ。よくぞここまでたどり着きました。貴方達の願いを叶えましょう」
ウルズにそう言われ、冒険者たちは各々の願いを口にした。
「分かりました。その願いを叶えましょう」
願いが叶えられ、それぞれが望んだものを手に入れた。しかし、表情は決して希望に満ち溢れていなかった。
「この世は正と負で出来ていると私は考えています。金持ちがいれば、貧乏があり、正義があれば、悪があるように。これらのことはコインの表と裏のように出来ている。それが積み重ねあい、やがて0となる」
「何が言いたい?」
「この世は0になるようにすることでバランスを保っている。だから、幸せになるヒトもいれば、不幸なヒトもいる。貴方達には願いを叶え、正を与えました。それと同時に0にするために負を与えます。個人の願いを叶えたので個人で0にしてもらいましょう」
ウルズがそう言い切ると6人の冒険者たちはその場から消えていった。
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シュガーは目が覚めるとリトスからルキスの声が聞こえてきた。
「届いてる?」
「聞こえている」
「実験は成功だね。なにかあればこれで連絡するからね」
「分かった」
やがて、ルキスの声は聞こえなくなった。
「ジルを起こして、向かうか」
ジルを起こし、2人はある場所に向かった。
ルークスのある教会に人が8人集まっていた。獣人であるシュガーとスノウ、竜人であるジルとエレア、人のテルム、カシス、シオンに森人のセルバが集まっていた。
彼らは人生ゲームをしていた。
「あたいもHPが0になったね。ゲームオーバーだね」
エレアがHP0になったことにより、ゲームオーバーになってしまった。生き残っているのはシュガー、スノウ、シオン、セルバの4人だった。
ゲームは続いていった。サイコロを振り、マスを進めていくことで1人1人死に絶えていった。
ついにセルバとスノウが最後のマスにたどり着き、ラスボスと戦っていた。
「スノウちゃんと協力したことでついにラスボスのドラゴンを倒すことができました」
「やったね、セル君」
「後はどちらが1位かを決めるだけだ」
「師匠、どうやって決めるんですか?」
「武器など合計資産額で決める」
2人は合計金額を計算する。最終的に勝ったのはスノウだった。
「やりましたよ、師匠!」
「おめでとう、スノウ。みんなには感想を聞きたい」
シュガーがそう言うと各々感想を口にした。
「なんで、HPの概念があるんだい?」
「そっちの方が面白いと思った」
「発想そのものはいいとは思うけど、バランスが取れてないね。テルムなんて、1回サイコロ振っただけで死亡しているし」
「バランスか……」
「けど、いい暇つぶしになったよ」
エレアの感想は少し辛口であった。
セルバはシュガーの腰に差している刀について聞いてきた。
「シュガーさんの腰に差している柄が赤い刀。前は差していませんでしたよね?」
「これは神刀 焔という神の遺産だ。触ってみるか?」
「いいんですか?」
「エレア、セルが怪我しないように見といてくれ」
「あいよ」
シュガーは焔を腰から外し、セルに渡した。その後、カシスに話しかける。
「カシス、話がある」
「なに?」
「今、エルと共にギルドを設立しようとしている。お前も入ってくれないか?」
「ギルドねー。考えてはおいとく」
「今はそれで十分だ」
スノウはあることを疑問に思い、シュガーに尋ねた。
「師匠が誘うということはカシスさんって、そんなにすごい魔術師なんですか?」
「霊薬を作らせることでカシスに右に出る者はいないほどすごい腕前の持ち主だ」
「あなたがシュガーの弟子のスノウね。私の名前はカシス・コレール・サロス・エレキシル」
「そして、カシスは魔術師連盟を設立した1人サロスの名前を受け継ぎ、コレールの称号を持つ連盟の指導者だ」
「フラースさんと同じチクスに属するんですね」
「フラースか……」
カシスは遠い目になるが、シュガーにこれからの予定を聞いた。
「シュガーはこれからどうするの?」
「トリミニエオスに行き、アルトを勧誘する」
「あの子は入ってくれるでしょうね」
「そうだな」
「師匠、トリミニエオスって、どこにあるんですか?」
「チクスと同様、トリミニエオスもほとんど見つからない場所にあるからな。行ってからのお楽しみだ」
シュガーたちは友との交流を楽しんでいく。
明日を迎えるとシュガーたちはトリミニエオスへと向かって行った。




