新たな始まり
レアタイプについて
レアタイプとは神に選ばれた者のことを指す。
これには英雄、勇者、覇王、救世主、聖女などがある。基本的にはヒトから選ばれるが、ごく一部は神の手で作られているタイプもある。
また選ばれ方もいくつかあり、神によって選ばれる、先代のレアタイプから引き継ぐ、死亡した場合転生し生まれ変わりその者がレアタイプになるなどの方法がある。
レアタイプは個人で複数選ばれることはなく、常に1つの力だけである。何かしらの方法でレアタイプを辞めるもしくは期限が切れた者は再び選ばれる可能性はある。
これに対する知識を持つ者はシュガーぐらいしかおらず、長年生きたことで何となく察しているサフィールなどだけであり、非常に数が少ない。
前回のあらすじ
500年の時を超え、ついにアリスを助けることにできた五大英雄。彼らの物語はようやく終わりを告げた。
古びた物語は終わり、新たな物語が始まろうとしていた。
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またしてもシュテルの屋敷に前英雄が集まっていた。そこには前はいなかったアリスとピラトの姿があった。アリスの横にはミカエルが、セレネの横にはティアが、シュガーの横にはジルとサタンがいた。
そこのことにシュガーは感動で体を震わせていた。
「長年の夢だった。こうして、再び集まることが」
「散々話しただろうが。俺としてはシュガーの変わりように驚きを隠せねーよ」
「500年もあれば、人が変わるには十分な時間だ」
「今回はなんで集まったんだ?」
「これから起こるかもしれないことを話したい」
ピラトに聞かれ、シュガーは本題に入った。
「今回のことで神2人を失った。このことから、人魔戦争の再来があるかもしれない」
「人魔戦争?」
「アリスを封印したときにこの世界から4人の神が失った。その影響下は分からないが、魔物の動きが活発になり、ある存在が生まれた。それが魔王獣だ。それは魔物、魔獣を引き連れ、人々を襲い始めた。それが引き金となり、人と魔の戦争が始まった」
「私たち、英雄が中心になり、新たな勇者と共に魔王獣と立ちむかいました」
シュガーの説明にセレネが補足した。
「再び、魔物の動きが活発になり、魔王獣がまた生まれるかもしれない。各自、気を付けてくれ」
「現英雄は……どうしているの?」
「今はバラバラに散っている。俺たちは魔王を倒すという目的があったから、一緒に行動していたが、現英雄は集まるべきに集まっている」
「リトスの光に導かれているのね」
「そうだ、姉さん。話合いはこれで終わるが、次に会う時も無事に会おう」
英雄は互いに無事を祈り、解散した。
シュガーは自分の部屋を戻り、旅立ちの準備をしていた。その部屋にはセレネ、ミーティア、アリス、ミカエル、イディナがおり、広い部屋でも狭く感じられた。
アリスがシュガーにこれからのことを聞いた。
「シュガーはこれからどうするの?」
「以前からやりたいことがあった。それをやるために知り合いと会いに行く。アリスはどうする?」
「私は……どうしよう?」
「とりあえず、私のところに来ますか?」
「うん、お願い。セレネ」
アリスが迷っているとセレネが提案し、彼女はそれに乗った。次はイディナが口を開いた。
「我はティアと共に行くことに決めたぞ」
「僕と共にシューティング☆スターを盛り上げるんだよ☆」
「そうか、それはよかった。ここで別れることになるが、また会おう」
英雄は仲間と別れ、それぞれの道を歩き出した。
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シュガーはジルと弟子であるスノウと共に都市ルークスに向かっていた。彼はアリスを救うという長年の目的をついに果たし、次の目標を作っていた。
彼らの前に1人の男が立ちはだかった。
「会いたかった、シュガー」
「懐かしい顔だな、救世主。わざわざ、ここまで追いかけてくるとは」
「380年前の恨みをここで晴らさせてもらう」
「許してくれといっても許してくれないだろう。言わないほうがいいだろう。その方が殺しやすい。もちろん、大人しく殺される気はさらさらないが」
英雄は神刀 焔を抜くと救世主も剣を抜く。
「あの世に行け! シュガー!」
ここで英雄と救世主がぶつかり合う。
…………
……
立っていたのはシュガーであった。救世主は刀で心臓を貫かれ、絶命していた。
「救世主、お前は強かった。だが、今の俺には英雄の力がある。安らかに眠るがいい、お前の意思は俺が継ごう」
「師匠、この人は誰だったんですか?」
「名前は知らないが、奴にとっては因縁の相手だった。こいつが来たということはアース大陸から来た船があるな。懐かしいやつに会えそうだ」
都市ルークスへと再び歩き始めた。
目的地へと着くとある屋敷へと向かった。その屋敷は周りにある家よりも一回りも二回りも大きかった。シュガーは扉の前に立ち、ノッカーを手に持ち、扉に付いている金属板に当て、音を鳴らした。すると中からメイドが現れた。
「シュガー様ですね。リミュエール様がお待ちです」
部屋へ案内されるとそこには美麗な金色の髪をし、真っ赤なドレスを着たリミュエール・ブランコ・アークが座っていた。
「久しぶりだな、シュガー。お主の隣にいる竜人は誰だ?」
「竜人はジルニトラと言って、俺の相棒だ」
「世に美しい華は数多あれど、これほど稀有な金色の華は稀少。与えられし称号はブランコ。その名はリュミエール・ブランコ・アーク。ジルニトラよ、よろしく頼む。エルと呼んでくれ」
「竜人のジルニトラよ。よろしく、エル」
互いに自己紹介するエルとジル。エルはジルが魔力を持っていることに気付いた。
「シュガーよ。ジルニトラも竜人ながら魔力を持っているが、メンバーに入れるのか?」
「それは未定だ。魔術はこれから指導する」
「シュガーとエルは何を企んでいるの?」
「魔術ギルド トゥーレを設立する」
「そう、余らはある目的に進むためにな」
ギルドを設立するということを聞いて、ジルはその目的を聞く。
「その目的って?」
「それは秘密だ」
「ケチねー。教えてくれたっていいじゃない」
「時期が来たら、教えよう」
「ほかのメンバーに目星はついているのか?」
「ああ、アルトを加えた異世界を研究するメンバー3人に噂で聞いた骸人の男だ。俺が勧誘する」
「頼むぞ、シュガー」
「任せてくれ、ギルドマスター」
シュガーとエルは新たな目的のためにギルドを設立しようとしていた。
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これはアリスとシュガーが再会する2日ぐらい前の出来事。
光の国ルークスにある港町に大きな船が止められており、人が多く集まっていた。船そのものは貿易のために来ることがあったため、珍しくはなかった。人が集まったのは船がアース大陸というほかの大陸から来たからであった。
船には多数の人が乗っており、その中にはこの大陸では見られない種族の姿もあった。
紫色の髪をした少女がいた。少女の恰好は目立つピンク色の上着を着ており、右目を隠すように眼帯をしていた。肩には小さい狼が静かに乗っていた。
「ここがシュガーとエクレールが育った大陸か」
物珍しいそうに、そして懐かしそうに言った。
「それしてもほかの奴らはどこに行ったんだ?」
彼女は仲間と共に来ていたはずだったが、見回しても仲間の姿は見えなかった。
「まあいいさ。ウチはシュガーたちを探しながら、ギルドを設立するぞ。混沌の輪をな」
ヴァン大陸から来た人の中でほかの大陸でギルドを設立しようとするのは彼女ぐらいであった。
「あと、シュガーの姉にも会いたいし、英雄っていうのにも会いたい。やりたいことはたくさんあるぞ。まずは情報を集めるためにも都市ルークスに向かうか」
アース大陸から来た少女は未知の大陸へと踏み出した。




