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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
五大英雄ともう1人の英雄
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前英雄物語 神化

英雄について・カテーナ

カテーナとはエインヘリヤルとは別の3段階に当たる。

エインヘリヤルは具現化した神魂を英雄自身が取り込むことでなれるが、カテーナはフィデスで生み出したまたは使役している対象に取り込ませる。そうすることで対象は自己確立し、その英雄がいた世界の種族へと人化する。

人化した存在をヘタイロスと言い、英雄の相棒となる。ヘタイロスは英雄の力が分けられた存在であるため、英雄と一体化することで真の力を引き出せる。


カテーナになった英雄は孤独を感じている者が多い。

セレネは霊人のため、家族と呼べるものがいなかったため、家族を欲しがった。

シュガーは異世界から来て、裏切った人と同じ自分を引っ張ってくれる者を欲しがった。

アリスは裏切られ孤独となったため、絶対に裏切らない忠臣を欲しがった。

ある英雄は弱かったため、自分を守ってくれる騎士を欲しがった。



前回のあらすじ

テスラを封印した世界で空を飛ぶ船を見つけたレイたち。乗り込んだ彼らだったが、そこには7人の天使がおり、バラバラにされてしまった。

英雄たちは天使たちと戦い、シュガーはついにアリスと対面した。


****


 森人の勇者アスカは天使サドキエルと戦っていた。サドキエルは大型男性の天使であり、戦いになると雷を纏い、皮膚が破れると硬質化した金色の皮膚ようなものになっていた。


「おらあ!」


 サドキエルはアスカに向けて、拳を放つが、避けられる。彼女の手には2本の剣が握られていた。その剣こそがアスカの勇者としての力だった。剣で天使を易々と斬っていく。


(この勇者、速い。俺の眼では影しか映らない)


 サドキエルとアスカの間で速さではアスカが勝っていた。そのため、アスカの攻撃が当たり、サドキエルの攻撃はすべて当たっていなかった。

 彼女はその速さで次々へサドキエルを斬りつけていく。


(だが、それでいい。お前が俺を攻撃すればするほど、負けていく)

「フハハハハハ!」


 サドキエルは勝利を確信したように笑い声を大きく上げた。


「余裕か知らないけど、欠伸ができるくらい遅いよ」

「ぶっは!」


 サドキエルの体についている切り傷から血が噴き出る。彼女の剣は彼の予想を上回り、斬っていた。


「いつの間に……。だが、それだけ俺を斬ったということはそれだけ俺に触れたということ」

「……っ!」


 アスカの両手に声にならない痛みが貫く。


(これは……?)

「俺に触れたということはそれだけ纏っている雷がお前に流れたということだ。もう、お前の手はボロボロだな!」

「それで……」

「もういいだろ。お前に止めを刺すには十分に溜まった!」

「うがっ!」


 サドキエルがそう叫ぶとアスカの体から鎖が飛び出した。その鎖はアスカの身に溜まった雷で作られたものでサドキエルの右腕と一体化した。彼は鎖を引っ張り、アスカを引き寄せた。


「おらあ!」


 彼の拳がアスカに襲い掛かり、彼女は吹き飛ばされた。鎖を振り回し、彼女の体を空中に持ち上げ、反対側に地面へと叩き潰した。


「速さはお前が上だが、馬力は俺の方が上だ。間合いは俺が支配した。剣術は間合いで決まる。お前が持っている剣はもはや棒切れだ。神へと逆らった罰だ。神罰!」

「うがああわああ!」


 サドキエルはアスカの体内へとつながっている鎖に雷を流し込んでいく。


「どうだ? 中から焼け焦がされていくのは? 死んじまったか?」

「うう……」


 アスカは立ち上がった。


「ほう、根性はあるな。勇者」

「私の名前はアスカ。覚えてといて、キンギラギン」

「死ぬまでは覚えといてやるよ!」


 再び、鎖を振り回し、アスカの体を空中へと持ち上げる。そして……。


「神罰!」

「うがあわあああ!」


 アスカへと雷が流し込まれていく。流し込ましながら、地面へと叩きつけた。


「もう、死んでいいんじゃねーか、これは」


 それでもアスカは立ち上がり、その手には2本の剣が握られていた。それを見たサドキエルは複数の雷の輪を作り、彼女に放つ。雷輪を剣で防ごうとしたアスカだったが……。


「神罰!」

「うがあわあああああ!」


 雷を流し込まれたことで無防備になり、もろに雷輪がアスカを襲い掛かる。倒れている彼女へと近づていくサドキエル。左手で彼女の首を掴み、持ち上げた。


「何回死んだら、気が済むんだ? しかし、これで終わりだ」

「が……ふ……」


 息を吹き戻したアスカの姿があった。それを見た天使は信じられない物を見たとでも言いたげな表情をしていた。


「俺の雷が心臓マッサージでもしていたのか? なら、首を焼き切れば、さすがに死ぬだろ」


 サドキエルはアスカの首を掴み、手に雷を集中させていく。アスカは最後の力を振り絞り、右手で持っている剣を左わき腹から上へと斬り上げることで左腕を斬り落とした。


「うがあああ!」

「これでとどめだ!」


 アスカが持つ剣はサドキエルの心臓を貫いた。最後の悪あがきと言わんばかりにサドキエルは彼女に雷を流し込んだ。


「ううっ、神罰!」

「うがあわあああ!」


 アスカは焼け焦がされ、互いに地面に伏せることになった。


「俺ももう終わりだが、てめーも終わりだ。運よく回復術を持つ奴が来ない限りな。俺の目的はお前の足止めだ。お前はここで死ぬ。俺の勝ちだ、フハハハハハ!」


 サドキエルは勝利を確信し、笑いながら粒子となり消えていった。その場にはアスカだけが残った。彼女の命の灯は消えようとしていた。運よく、人が通りかかった。


「あそこに誰かが倒れているよ」

「あれはアスカだよ。ひどい傷だ! ラファエル、治して」

「わかったよ」


 通りかかったのはルキスとラファエルだった。ラファエルはアスカの傷を治していく。


「いや、ラファエルが移動先を間違って良かったね。これが怪我の功名ってやつだね」


 2人は元々この部屋に来る予定はなかった。しかし、扉の移動先を決定するときにラファエルが間違ったため、この部屋に来ることになったのである。

 こうして、アスカは運よく命を繋げることができた。


****


 その部屋には角人の英雄と巨大な天使がいた。

 角人の名前をイディナ、天使の名前はセラフィエルである。セラフィエルは元々普通の大きさだったが、イディナと戦い始めると彼女の10倍ぐらいの大きさに巨大化し、襲い掛かってきた。

 それに対し、イディナは3つの神装を具現化した。赤い帯をした神装メギンギョルズ、赤い鉄製の篭手ヤールングレイプル、すべてを粉砕すると言われている戦斧ミョルニル。ミョルニルを扱うにはこの2つの神装は必要不可欠だった。


(いつ、ミョルニルを投げるべきか)


 イディナはそう考えていた。ミョルニルは絶大な破壊をもたらすが、消費される力も絶大だった。そのような事情があったため、無暗に投げるわけにはいかなかった。

 天使の拳が天に振り上げた時、戦いの優勢が変わった。大洪水を思わせる水の斬撃に白い壁が引き裂かれ、その斬撃は振り上げた拳を消滅させたことで天使が動揺した。それを見逃すイディナではなかった。


「今だ! 粉砕するものミョルニル


 ミョルニルは天から落ちた雷を受け止め、雷を纏う。それを英雄は力が許す限り、天使に全力で投げた。相手は五体バラバラになり、粒子となり消えていった。

 切り裂かれた空間の穴からはセレネがひょっこりと顔を出していた。


「イディナでしたか」

「先ほどの攻撃はお主の攻撃だったか」

「そうですね。相手も倒し終わったことですし、シュガーを助けに行きましょう」

「そうだな」


 英雄2人は扉からほかの部屋へと移動した。


****


 ミラは天使ガブリエルと戦っていた。5分ほど対面し、それからは距離を取っていた。互いに下から出ている白い石柱を背につけていた。


「また来たか」


 ミラの元には白い塊にバンと書かれているフヨフヨと浮きながらやって来た。


「ウーニャLv2」


 左手の爪の上に生えている氷の爪を渦巻き状に回し、白い塊を狙撃した。するとバンという音を響かせながら、散っていた。


「何体来るんだ!?」


 今度は3個の白い塊がやって来た。ミラは先ほどと同じように返り討ちにする。これで5枚の氷爪を使い切った。


「逃げるしかない」


 ミラのフィデスには時間制限があり、氷の爪もない今、逃げるしかなかった。ガブリエルはそのことを疑問に思っていた。


「音が鳴らない。弾切れかしら。一度に撃てるのは5発までで補充にも時間が掛かることが分かった」


 ガブリエルは能力を使い、ミラの事を攻略していた。彼女の能力は音の具現化。白い塊に擬音を具現化することで再現することができる。ザクなら切れ、バンなら破裂、ボコなら殴る衝撃、メラなら燃える。様々な擬音を現実に再現することができる。

 彼女はバンと書かれていた白い塊をミラの元まで移動させることで対処したときに出る音を目印に何発撃てるのかを把握していた。


「先ほどの鎖では対処せずに逃げた。このことから、再度出せるまでのインターバルがあるのか、時間制限があるから使いたくないのか、この2つどちらか。そして、あの鎖を使う時に眼の色が変わっていたことから、あれはフィデスだと考えられる。このことから、天力を生み出すフィデスかしら」


 ガブリエルは両手の平から白い粘土のようなものをだし、それが丸くなっていく。


「パン、パン」


 彼女がそう呟くと白い塊にパンという文字が浮かび上がった。フヨフヨと浮かびながら、移動していった。それを繰り返していった。


「なんだ? これは!」


 ミラが見たのはいくつものの白い塊が一列に並んでいた風景だった。


「これでとどめを刺そうしているな。あの塊が一列に並んでいるということは自動追跡じゃないってことだ。このままじゃあ、やられる」


 そう思ったミラは危険を承知にフィデスである種族力理解(フォルクスタンド)を発動させた。右手に鎖を具現化させ、翼力を使用し、空に浮かんだ。

 それを見逃すガブリエルではなかった。


「あれは翼力。フィデスは種族の力を使えること」


 パンと書かれた白い塊たちは肩車をし始め、縦に3列に並んだ。すると一番下の白い塊がパンと破裂するとその衝撃を利用し、空へと向かい、ミラへと近づいた。


「バカが! 私は自由に飛べる。だが、こいつらは飛べない」


 2段になっている白い塊たちは下の塊がさらにパンと音を響かせながら、破裂した。その衝撃を利用して、さらにミラに接近した。


「ちょっと! 待った!」

「待てません」


 パンという音を響かせながら、ミラの近くで破裂していった。


「これで終わり」


 そう思ったガブリエルだったが、煙の中から出てきたのは丸い氷だった。氷が割れ、中からミラが出てきた。彼女はフィデスを解いており、左手の指先をガブリエルに向けていた。


「これで終わらせる」

「来なさい」


 ミラは渦巻きではなく、螺旋状に回転させ、2発の氷爪を撃った。しかし、それは完全な螺旋ではなかった。

 それはガブリエルと向かって行った。


「ポヨヨン」


 両手を前に出し、白い塊を放出し、それにはポヨヨンという文字が浮かんでいた。それで氷爪を受け止めた。しばらくは回転していたが、やがて回転は止まった。


「もっと正確に回転させないと」


 森人のテリーからもらった貝殻を見て、螺旋状に回転させていく。すると左手の甲に浮かんでいた模様は消え、爪に浮かび上がった。ミラは自分の能力がさらに成長したことを感じ取った。


「これがウーニャLv3だ」


 完全な螺旋を描いた2枚の氷爪はポヨヨンと書かれた白い塊を貫いた。螺旋は一点に収束させていくことで威力が上がっていた。

 氷爪の1枚は左肩を貫き、もう1枚は当たらずに地面を貫くことになった。それと同時にミラも氷と共に地面へと叩きつけられた。


「残り1枚。もう避けられる。撃つ場所とこの距離なら」

「……」


 緊張した空気が流れる。そして、ミラは左手を上げ、狙いに定め撃った。ガブリエルはあえて、左腕を前に出し、氷爪を受け止めた。


「この方法なら当たることになるけど、確実に致命傷は避けることができる。あなたに策があったとしてもこの爪は使えない。これでもう終わり」


 リスクを承知に攻撃を受け止めたのであった。ミラが何か策をたくらんだとしても攻撃そのものを潰せばいいと考えた。

 ミラに止めを刺すためにガブリエルはゆっくりと近づいていく。白い塊を右手に纏わせ、そこにはパンと書かれていた。


「これであなたの頭をパン!と破裂させてあげる」

「止まれ。お前の負けだ」


 ミラの手には歪であるが、丸い氷球があり、それは螺旋の回転を描いていた。


「それはどうやって?」

「最後の1発を撃つ前に氷を削って作っておいた。この距離なら急所に当てることができる。降参するなら、後ろに下がれ」

「テスラ様の命令は絶対。命を懸けて、遂行する」

「……そうか」


 ガブリエルの拳がミラを襲い掛かる。それを見た彼女は相手の急所へと氷球を撃ち込んだ。ガブリエルは地面へと背をつけることになった。

 ミラは天使に質問した。


「私、テスラの転生体とからしいんだけど、何か知らない?」

「何も知りません。べつにいいじゃない、だれであろうか生まれたなら生きていけば」

「それもそうだな」


 天使は光の粒子となり、消えていった。


****


 アリスとシュガーは刀で斬り合っていたが、互いに致命傷となるものを与えられていなかった。

 シュガーはアリスの右腕を斬り落とそうとするが避けられ、腹に蹴りが入れられるが、彼はそれを利用して、後ろに下がり距離を取った。

 ジルがシュガーに近寄った。


「シュガー、大丈夫?」

「互いに本気を出していないとはいえ、押されているな。やるぞ! ジル」

「オーケー」


 ジルの頭の上にシュガーの手が乗せられる。ジルの体は黄金の粒子となり、シュガーの体に取り込まれると炎に包まれていった。

 炎から出てきた彼は竜に近づいていた。狐の尻尾でなく、赤い竜の尻尾になっていた。そして、頭には獣耳が残っており、2本の赤い竜角が生えていた。眼は金色に変わっており、縦に細長い瞳孔の竜眼だった。

 左手には金色の、右手には赤色の銃が握られていた。


「行くぞ、ジル」


 銃身をアリスに向け、引き金を引いた。銃口から砲撃が放出される。


「これはドラゴンのブレスね。この程度?」


 砲撃は剣で切り捨てられる。左手の銃をアリスに向けた。


「インフィニティ・ブレス」


 シュガーが引き金を引くと銃口から無数の砲撃が連射される。その光景にアリスは動揺を隠せなかった。


「ちょっと! 待った!」

「待たん」


 アリスの制止を無視し、シュガーは砲撃を放ち続ける。彼女は刀で斬り続けていく。しかし、限界があり、いくつかの砲撃を斬った後、砲撃の波に飲み込まれていった。

 砲撃が止み、アリスが次に前を見た時にはシュガーの姿はなかった。


「どこに!?」

「ファイア・ブレス」


 シュガーはアリスの後ろを移動しており、右の銃口を彼女の背中に当て、ゼロ距離で炎のブレスを撃ち放った。彼女は炎のブレスに飲み込まれ、ついに刀を手放した。それを見たシュガーは刀を取りに行くため、そちらに向かった。しかし……。


「神化 平和をもたらし光ルークス


 後ろから莫大な神力を纏い、アリスはシュガーに追いつき、殴り飛ばした。そして、刀を回収した。

 彼女の姿は全体が輝いていた。金髪金眼に背には黄金の翼が生えていた。


「神化か。やはり、ルークスは中にいたか」


 神化という言葉を聞いたことがないジルはシュガーに聞いた。


(シュガー。神化って、何よ?)

(神力を持っているものは神核を持っている。その神核を自分に合う神の遺産レグリアと一時的に融合させることで神に近い力を得ることを神化と言う。アリスはその上を行くために神そのものを神核と融合させることでより強い力を引き出している)

(……勝ち目あるの? ないなら、別の策を考えるべきよ)

(このままでは勝ち目はない。だが、あの刀さえあれば、俺も神化ができる)

(よくわかんないけど、あの刀を取り返すのね)

(そうだ)


 作戦が立て終わり、シュガーとアリスは戦い続けた。


 英雄たちは天使を倒し、残る天使はミカエル1人になった。

 本気を出したアリスにシュガーは立ち向かう。

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