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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
五大英雄ともう1人の英雄
31/86

森人の勇者アスカ

種族・天人について

聖なる力を持つ種族

独自の力は天力であり、天力を使い、武器など具現化したり、天術を使い戦う。天力で具現化したものを天装と呼ぶ。

森人と同様、老いることがなく、金髪青眼が多い。魔力の適性はなく、持って生まれたとしても天力を失っている。しかし、リミュエール・ブランコ・アークは魔力を持ちながら、天力も保持している稀有な天人である。


前回のあらすじ

無事に一晩で消えた町ムストの事件を解決したレイたち。

そのころ、アクアに着いたルキスは勇者とその従者に会うことになる。

一方、シュガーはアモルたちと合流し、シリウスと再び出会い、戦うことになった。


****


 ゴルドラに乗っていたシュガーたちはデネブラエの南部の上空を飛んでいた。いくつかの町はボロボロになっており、人が住んでいなかった。

 魔王の国デネブラエは中央、東西南北の5つに別れていた。それぞれにある中心となる都市で公爵の爵位を持つ一族が管理していた。王族は中央にある都市デネブラエにおり、魔人であったため、魔王の国と呼ばれていた。

 デネブラエの南部は他の地域と違い、ほかの国と隣り合っていなかった。そのため、戦いが起きやすく、弱肉強食の意思が強い。

 シュガーは魔術で目を強化し、セレネを上空から探していた。


「見つからないな」

「セレネは……隠れるのがうまいから……」

「魔力などを消せるから感知できない。だから、物理的に探すしかない」


 セレネは霊人であり、霊力を持っていた。その力を使い、身を隠すことができた。姿を消すことも可能だが、それでもシュガーは必死に目を堪え、探していた。

 その努力は実に結ぶことになった。


「ようやく、見つけた。……近くにいるのはアモルか? そばに仲間もいないし、なぜここにいるんだ?」


 シュガーの目で捕らえたのは黒髪と金髪の2人の女性にツインテールの髪型をした水色の髪を持つ女子だった。

 疑問を持ったシュガーだったが、それを気にせずに地上へと向かって行く。


「なんで、こんなところにドラゴンが……?」


 セレネと話していたアモルは急に辺り一面が暗くなったことで上を見上げた。そこには黄金に輝くドラゴンがいた。ドラゴンの背から1人の男が降りてきた。


「アモル、セレネ。久しぶりだな」

「久しぶりです、シュガー。このドラゴンは?」

「俺のフィデスだ」

「私と同じタイプのフィデスなんですね」


 セレネとシュガーはそのような会話を交わした。

 シュガーたちはその場で話すために石に腰を掛けた。ゴルドラは小さくなり、スノウとティアに弄られていた。


「ようやく、見つけたぞ。それで頼んでいたことはどうなっている?」

「それが……ほとんど成果が出ていません」

「……」

「仕方ないじゃないですか。約1000年前の出来事なんて、調べようがありませんよ。私たちみたいに都合のいいことや悪いことを操作しているわけではありませんし」

「それもそうだな。仕方ないな」

「セレネさんはシュガーを知っているんですか?」


 セレネとシュガーが親しそうに話している様子を見て、アモルは聞いた。


「シュガー、話していいですか?」

「もう、計画も大詰めに入っているし、現英雄たちにもほとんど知られている。もう隠すことはない」

「分かりました。シュガーは私たち前英雄の仲間で五大英雄の1人です」

「……」


 彼女の言葉にアモルは驚きがほとんどなかった。


「驚かないんだな」

「シュガーが神界大戦の時に英雄側にいたと予想をしていました。それなら、五大英雄に何かしらの関係があると思っていました。まさか、五大英雄とは思っていませんでしたが」

「五大英雄の中で有名なのはシュテルとセレネだろう。セレネは英雄物語の作者だからな」

「えっ、あの本に作者の名前は書かれていなかったと記憶していますが」

「表紙の部分を火あぶりすると名前が浮かぶようにしてあるから、書かれていないと勘違いしているのね」

「常識があれば、本を焼かないと思います。誰の提案ですか? シュガーですか?」

「いや、ギオンさんですね。種族は魔人で彼も五大英雄です」

(どんな人なんでしょう?)


 アモルがそう思っているとシュガーたちの前に2人の女性が近寄ってきた。その女性たちは五大英雄の3人にはよく見知った顔だった。


「シリウスにミカエルか」

「計画も大詰めになったし、あなたの身柄を確保しに来たわ」

「俺に勝てると思っているのか。500年前のことを忘れたのか?」

「500年前とはまるで違うということは理会しているくせに。それにミカエルがいる」

「シリウスとは俺がやる。手を出さないでくれ。アイランはミカエルを頼む」

「分かった……」


 アイランは自分のリトスである柄が青いナイフを右手に握られる。


「シュガー、僕は?」

「セレネたちを守ってくれ。アモル」


 シュガーはティアにそう指示した後、アモルに声をかけた。


「何でしょうか?」

「お前はここを離れて、魔人を倒しに行ってくれ」

「ここの地域で暴れている魔人ですね。分かりました」


 ウェントゥスにて、デネブラエの南部で争いが起きている噂を聞いていた。そのため、アモルを含む現英雄たちに解決してもらおうと考えていた。

 500年前から続く因縁の戦いが再び始まった。


****


 一方、ルキス達は独自の国アクアに着き、アスラが育ったカメタという町にいた。その町にはアスラの幼馴染で宿屋を経営しているシャオラの元に泊まっていた。

 独自の国アクアは他の国から離れている島国のため、この国にしかない文化が育った。都市アクアで王族が政治をしているが、ほかの国と違い、至尊と呼ばれる国の象徴が存在している。至尊は水の神アクアの血を引いていると言われていた。

 現在、彼らはリアマが聞こえている声を頼りに道標を探していた。


「この近くだな」

「ようやくだね」

「やっーと、着くのか」

「それにしても、この国は刀が売ってあるんだね」


 探す前に店などで品物を見たが、ルキスの中で印象が残っていたのが刀であった。


「我がイグニスにも刀はあるが、ここまではないな。さすがは刀の発祥地と言われているだけはあるな」

「そうなのか?」

「せめて、自分の国の名産品は知っとけ」


 リアマがアスラに注意していると3人の前に2人の女性が現れた。


「ミストさん、この人たちが英雄?」

「そうですよ、アスカ」


 ミストと呼ばれた女性は金色の髪と瞳を持っており、背中にはバッグを背負っていた。彼女の雰囲気はなんとなくアモルと似ていた。

 アスカと呼ばれる少女は肩にかかるほどの緑髪で金眼だった。彼女の腰には剣があり、それからはリトスに近い力を感じた。

 アスカは英雄たちに自己紹介する。


「こんにちは。私は勇者に選ばれた森人のアスカです。英雄の皆さん、よろしくお願いします」

「勇者?」

「勇者とはあなた方英雄と同じように選ばれたものです。あっ、勇者の従者で天人のミストです」


 ルキスの疑問に答えるミスト。彼はさらに質問を続けた。


「その勇者がボクたちに何しに来たのかな?」

「それがですね、アスカがどうしても英雄に会いたいと言うから来ました。私は止めたんですがね」

「良し、決めた」

「何がです? アスカ」

「私、この人たちについていきます」


 アスカがいきなりこのようなことを言い出した。


「どうする? リアマ」

「別にいいんじゃないか。私たちと同じように選ばれた者だ。興味がある」

「よろしくお願いします」

「まあ、いいか。500年前もこんなことあったし」


 ミストが呟いた最後の言葉は誰にも聞こえないように呟いた。

 勇者アスカを仲間に加えたルキス達は道標を探す作業に戻り、ルキスはアスカの腰にある剣について聞いてみた。


「アスカ、その腰にある剣って、何か勇者に関係あるの? 剣からボクたち英雄が持つリトスに近い力を感じるんだけど」

「この剣はミストさんからもらったんだ。ミストさん曰く、勇者の証だって」

「そうなのか」

「そうなんです。リアマ様」

「リアマ様?」


 アスカはミストの言葉に不思議そうな声を上げた。


「アスカ、この竜人のフルネームはリアマ・フォン・イグニス。修羅の国イグニスを収める王族の方ですよ」

「それは失礼しました。リアマ様」

「私はさん付けで構わない」

「分かりました。リアマさん」

「それにしても、ミスト。私のことは誰から知った?」

「シュガーという獣人ですよ。あれ、心の友なんです。彼は否定しますが」


 そんなことを話していると道標の声がする場所にたどり着いた。しかし、そこには何もなかった。


「なにもねーぞ、リアマ」

「イグニスで道標を見つけた際、周囲の景色は変わっていないのに不思議な力を感じる空間に入っていた。今回もその不思議の力を頼りに探すべきだろう」


 リアマの言う通り、細心の注意を払い、回りを探索した。


「何もないぞ」

「何もないよ」

「もう少し頑張ってください」


 アスラとルキスが諦めの言葉を口にしていたら、ある女性から励ましの言葉が贈られた。


「ところで君はだれ?」

「私は五大英雄の1人、霊人のセレネ・エレオンと申します」

「今までいなかったよね?」

「私はあなたたちが探している道標ですよ」

「道標って、英雄の魂で出来ているの!?」

「そうですよ」


 ルキスの疑問に答えていくセレネ。


「私が案内しますね」


 何処からか剣を取り出し、適当なところで振り下ろす。すると空間が切り開き、穴ができた。


「この先に道標があります」

「これじゃあ、見つからないわけだ」


 セレネを先頭に後ろをついていくルキス達。空間の中は全体が黒く、光る一本道があるだけだった。やがて、道が終わり、壁も床も白い大部屋にたどり着いた。


「ここではある話をします。それを聞くことが試練です」

「なんだ、聞くだけか」

「話すのは500年前の英雄物語です」


 部屋は暗くなり、回りが見えなくなった。


「500年前、私たち、英雄は魔王を倒すことができました。そこで使命が終わり、それぞれの道を歩み始めました」


 ある場所だけが明るくなり、そこには腰まで伸びている銀色の髪に緑の瞳の少女がいた。


「彼女の名前はアリス。人の英雄であり、のちに私たちと対立する英雄であり、すべての根源。彼女は平和を求めており、そのために仲間を集めました」


 アリスの後ろに獣人のズヴェズダ、人のシリウス、竜人のペテルギウス、天人のプロキオンが現れた。


「彼女たちは悪を退治していき、その成果は光の神ルークスの眼に止まることになりました。アリスは光の神から神力の源である神核を分けてもらい、神核者となり、テスラという神名を授かりました。まだ、この時は知りませんでした。彼女たちの目的を」


 テスラたちはある泉の前へと立っており、ルキスにはその泉に見覚えがあった。


「テスラは平和の象徴として、リベルダースという町を起こしました。彼女が上に立ち、彼女に仕えた4人は四大天使と呼ばれるようになりました。最初の内はうまくいっていました」


 争う2人がおり、プロキオンがそれを収めていた。


「テスラの思想はだんだんと過激になっていき、完全な白を求めるようになりました。口喧嘩などをするといかなる些細なことであろうと死刑するようになりました。彼女はほんの少しの黒も許さなかった」


 テスラは玉座へと座っていた。


「テスラの理想を極限になり、光の神ルークスを崇める者以外はいない完全な理想郷を実現しようとしていました。それを許さなかったのがズヴェズダです。彼はテスラを止めようとしますが、話し合いの余地はなく、戦いになりました。結果、ズヴェズダの惨敗となり、命からがら逃げることに成功しました」


 ボロボロに傷ついたシュガーの姿があった。


「責任感から1人で止めようとしましたが、それが無理だと悟り、かつての仲間たちを探し始めました。火の神イグニスに協力を求め、力を借りることに成功しました」


 シュガーと5人の英雄、そして、勇者の姿があった。


「英雄たちは世界に平和を取り戻すためにかつての仲間である英雄を倒すことに決め、戦いを挑みました。神界大戦の始まりです」


 戦いを挑んでいく英雄。それに立ち向かう天使。


「戦いの結果、英雄側は夢人の英雄を失い、天使側はテスラ以外倒され、テスラは封印されました。夢人の英雄と勇者を除いた5人が五大英雄と呼ばれるようになりました」

「英雄の暴走が原因だったのか。詳しいことは伝えられていないのは英雄という地位が脅かされないようにするためか」


 英雄が世界に迷惑をかけたと知られたら、信頼を失ってしまう。それを避けるためにその事実をひた隠しにしたとリアマは考えた。


「テスラのやったことは正義でした。しかし、正義とは言え、やり過ぎれば、それは悪となります。私たちがやったことは正しかったのかは分かりません。しかし、多くの人を救うために私たちは動きました」

「正義……か」

「これで試練は終わりです。考えてください。正義とは何か。正しさと何かを」


 セレネの姿が消え、道標となった。ルキスがその道標を拾うと彼らの目の前に青い光の球が現れた。


「なにこれ?」

「水の神アクアです。今、闇の国デネブラエで戦いが起こっています。1人の英雄はすでにいますので、合流してください」

「でも、どうやって?」

「私が飛ばします」


 水の神アクアがそう言うとルキス達は青い光に包まれていく。光が強く輝くとその場からはルキス達の姿は消え、デネブラエと飛ばされた。

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