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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
五大英雄ともう1人の英雄
27/86

異世界から来た五大英雄

種族について・岩人

手先が器用な種族。

装飾や武器の作成が得意なため、ほかの種族では作れない武器も作れる。洞窟などで生活していることは多いが、種族が持つ技術を活かしているため、不便なく過ごせている。

男の見た目は成長するが、身長が低く、ひげが生えるのが早い。女の見た目は小人同様10歳から15歳程度で成長が止まる。



前回のあらすじ

ウェントゥスへと向かうレイたち。そこである人に疑問に思っていたことを打ち明け、英世界から来た五大英雄が明かされる。


****


 都市ウェントゥスへとたどり着いたレイたちは門で入国審査を受けていた。その間にレイはルリとアイランに話しかけた。


「ルリ、アイランさん。2人のリトスを見せてもらってもいいかな?」

「いいですよ」

「……私もいい」


 2人はリトスを取り出した。ルリのリトスは黄に輝く指輪であり、アイランのリトスは柄が青のナイフだった。


「これが2人のリトス……」

「人によって、形が違うんですね。先輩のリトスはどんなものですか?」

「俺のリトスは銀色の鍵だよ」


 レイは銀色の鍵を取り出し、2人に見せた。見せていると1人の男性がやってきて、レイたちに声をかけた。


「お待たせしました。入国審査が終わりました。2週間の滞在許可が出ました。この期間で間に合わないときはまた申し付けてください」

「ありがとうございます」


 4人は男性にお礼を言い、都市ウェントゥスへと足を踏み込んだ。

 一方、シュガーたちはレイが来る数日前にはたどり着いていた。都市ウェントゥスにあるセレネが住む屋敷を尋ねたが、当然いなかった。

 そのため、ある店でリンゴのシャーベットを食べていた。


「あまり見ない器ですね」


 スノウの言う通り、シャーベットの器が少し変わっていた。器がグラスではなく、リンゴそのものが器だった。リンゴの中身をくぐり抜き、その中にシャーベットを入れていた。器であるリンゴをキンキンに凍らせることで中身をくぐり抜かれても形が保てるようにしてあった。

 シャーベットは甘く、少し酸味があるリンゴの味だった。中身を食べ終わった後は器であるリンゴも食べることが可能である。

 シュガー、ドルチェ、スノウ、ペテルギウスの4人はリンゴのシャーベットを食べており、シュガーの使い魔である炎狐のホムラ、妖精のラヴァはリンゴそのものを食べていた。その近くには小さな金色の竜がおり、その子もリンゴを食べていた。

 ペテルギウスはシュガーにその竜について尋ねてみた。


「ズヴェズダ、その竜の子は?」

「こいつは俺のフィデスだ。フィデス名は幻想の黄金竜ゴールデンドラゴン。略して、ゴルドラと呼んでいるが、ちゃんとした名前を付けてやらないとな」

「この子が戦うの?」

「そのようなこともできるが、別の方法がある。そこまでたどり着くつもりだ。それにこのフィデスのおかげで俺の中で竜力が目覚めた」


 英雄の中にはフィデス、神装、神などの影響で新たな力に目覚めることがある。フィデスを使う前提であるが、ミラがそうである。

 シュガーのフィデス 幻想の黄金竜ゴールデンドラゴンは黄金の竜を使役する能力であり、竜力はその副産物に過ぎない。そのため、ミラと違い竜力を使うのにフィデスを使わずともその力を使うことが可能である。


「別の方法って?」

「前英雄のフィデスを参考にした。特殊な使い方をする奴がいたんでな。その使い方なら、エインヘリヤルになれない欠点を補うことができる」


 シュガーは前英雄と一緒に旅をしていたため、彼らが使うフィデスを把握していた。それらを参考にし、自分が辿り着くべき着地点をイメージしていた。

 シュガーが言った英雄という言葉にスノウが反応した。


「師匠のお姉さんが英雄でしたね」

「お前にもいつか話さないとな」


 シュガーは弟子であるスノウの頭を撫でた。そうしているとシュガーにある男性に声をかけられた。


「シュガー、こんなところで何をしているの?」

「食事だ」


 シュガーに声をかけたのはレイだった。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「若さの秘訣か?」

「いや、この町で噂になっていることない?」

「このウェントゥスだと一晩で消失したムストという町があるという噂だな。あとはデネブラエの南部で争いが起きていると聞いたな」

「そうなんだ、ありがとう」


 レイがシュガーに礼を告げると今度はアイランが彼には声をかけた。


「シュガー……久しぶり……」

「久しぶりだな、アイラン。何年ぶりだ?」

「確か……5年ぶりぐらい……」

「それぐらいか」


 同じ五大英雄であるシュガーとアイランが言葉を交わした。その様子を見たミラが彼に話しかけた。


「なんだ。アイランとシュガーは知り合いなのか?」

「シュガーとは……同じ五大英雄……」

「同じ?」

「五大英雄?」


 事情を知らなかったミラとスノウはアイランの言葉を聞き、今まで出したことがないような素っ頓狂な声を出した。


「シュガー、お前、五大英雄だったのかよ!?」

「シュテル様だけではなく、師匠も五大英雄だったんですか!?」

「そうだ」

「なんで、教えてくれなかったんだよ」

「言う必要がないと思ったからだ」

「そのことで聞きたいことがあるんだけど」


 スノウとミラがシュガーに詰め寄っていると横からレイが口を出した。


「なんだ?」

「ここじゃない別の場所で聞きたいんだ」

「分かった。肩に捕まれ」


 レイはシュガーの右肩を掴まれ、彼の右腕を腰に回された。


「飛行」


 シュガーは魔術を唱え、レイと共に空を飛んで行く。都市の回りにある壁の上へと移動した。そして、彼は都市の方ではなく、外の方を見える位置で座った。レイも同じ方向に座る。

 最初に口を開いたのはシュガーだった。


「それでレイ。聞きたいこととは?」

「異世界から来たという英雄についてなんだ」

「それは教えることができない」

「いや、ある程度予想がついたから、それを聞いて、正しいか教えてほしい」


 レイは自分の予想を彼に話し始めた。


「最初に結論を言うよ。500年前、異世界から来たのはシュガー……あなただ」

「……」

「根拠になったのは5つ。1つ目は神力という力を持っていること。2つ目はグランツ家とう四大貴族に拾われたということ。3つ目は最初に会った時の発言。4つ目は竜がいる世界に行った時の発言。最後に俺に名前をくれたこと」


 レイは根拠となった5つのことを説明した。


「1つ目の神力を持っているということは元々の家系でもそれなりはず。でなければ、神人の血が流れていないと思うんだ。それに神力を持っているなら、国が確保すると思うんだ。それこそ、その本人が世界から消えたということがない限り」

「……そうだな」

「2つ目の四大貴族であるグランツ家がシュガーを拾ったのは予想になるけど、神力を持っていたからでしょう。神力を持っているのにいまだにグランツ家といるということは何もトラブルがほとんど起きなかったと思うんだよね」

「……」


 シュガーは何も答えなかった。レイは3つ目の根拠の説明を始めた。


「3つ目の最初の発言、覚えてる?」

「さあ……」

「『お前の世界はどんな世界だ。俺みたいな獣人はいたか』」

「普通の発言だな」

「異世界から来た人の発言と考えると少し意味があるように聞こえる。竜が住む世界や様々な種族が住むこの世界。それにファンティーがいた世界に自分がいた世界。4つの異世界があるなら、もっと異世界があってもおかしくない。実際にロストという竜の王は自分の世界を第3世界と言い、この世界を第5世界と言っていた。あの発言はシュガーがいた世界から来た確認の意味で聞いていたんだ」

「ふーん……」


 ロストとは竜や巨人などが住む第3世界にいる赤い竜であり、竜の王である。レイたちが第3世界に迷い込んだ時、自分たちの世界である第5世界に戻してくれたのは彼であった。


「そして、シュガーはロストから異世界を渡る術を教わろうとしていた。最初は異世界に興味があるからだと思っていたけど、自分の世界に帰るために学ぼうとしていたんじゃないの?」

「……」

「最後にシュガーは俺にレイ・シルバという名前をくれたけど、これはなぜ?」

「そんなものだろ?」


 シュガーはそれが常識であるように言った。


「シュテルさんがシュガーにしたことを同じ異世界から来た俺に同じことをしてくれてんじゃないの?そうじゃなければ、名前を聞いて、別の名前を付けようとはしないと思うんだ」

「……そうだ。シュガーという名前はシュテルからもらった」

「ということはやはり……」

「レイの言う通り、500年前に異世界から来た五大英雄だ」


 シュガーの口から異世界から来たという言葉を聞き、ついに自分と同じ異世界の英雄と対面出来たレイ。彼はシュガーがどこから来たのかを聞いた。


「どの世界から来たの?」

「第4世界という獣人や角人などが住んでいる世界であり、人という種族は存在しない」

「シュガーは俺と同じように?」

「いや、俺は事故でこちらに来た。まれにこういうことがある。その点でお前が羨ましい」


 レイはシュガーが自分を羨ましいと思う理由を尋ねた


「なんで?」

「お前は英雄という使命が終われば、元の世界に戻れるだろう。しかし、俺は事故で来てこの世界で選ばれた。俺は帰ることができない」

「……」

「一度でいいから、また故郷の風景を見たい。そのためだけに帰りたい」

「家族とかに会わないの?」

「こちらに来たのは500年前だから、家族は生きていないだろう」

「……ごめん」

「気にするな」


 続けて、レイはシュガーに質問した。


「なんで、今まで隠していたの?」

「俺の計画に入っていたからな。次、英雄が選ばれるなら異世界人が来るだろうと思っていた」

「その根拠はなに?」

「それは話せない。英雄物語にも異世界のことが書かれていただろう」

「そうだね」


 英雄物語には五大英雄が世界を救ったのほかにその中に異世界から来た者がいたと書かれていた。


「それは異世界から来た英雄が活躍すれば、噂になるようにするためだ。話せるのはここまでだ。……ここで聞いたことは話さないでくれ」

「分かった。約束する」

「じゃあ、捕まれ」


 レイはシュガーに捕まり、飛んで行き、元の場所へと戻っていく。

 無事に英雄の使命が終われば、帰れると分かったレイ。そのことが分かったのに彼の心はどこか晴れないところがあった。


****


 レイとシュガーが飛び、その場に残されたミラはドルチェの額についている宝玉のことを聞いた。


「あんたの名前はなんていうんだ?」

「あたしは宝玉人のドルチェだよ」

「宝玉人? 聞いたことがない種族だな」

「だろうね。この大陸には存在しない種族だし、あたしもほかの宝玉人に会ったことがない」

「宝玉人って、どんな種族なんだ?」

「額に宝玉がついているよ。人によって、色が違うけどね」

「へー」


 ドルチェの額には自身の髪と同じ色である赤い宝玉がついてあった。それに触ろうとミラは手を伸ばしたが、彼女にはじかれてしまった。


「ごめん、これには触らないでくれる?」

「あ、うん。ごめん」

「人に触られたくないの」


 少し緊張した空気が流れたが、やがて元の空気へと戻った。

 ミラは宝玉について、ドルチェに聞いた。


「その額についている宝玉は何か意味があるのか?」

「意味はあるけど、教えない」

「どうして、教えてくれないんだよ?」

「あたしの故郷ではそれが原因でほかの種族とは殺し殺され関係だった。だから、教えたくない。この大陸に来てからはそういうことはないからね」

「……分かった」


 ミラとドルチェが話し終わり、今度はスノウがドルチェに話しかけた。


「先生って、別の大陸から来たんですね。そこって、どんなところですか?」

「サメや野菜が地面を歩いているようなところよ」

「なんで、野菜やサメが歩くんだよ!? どこか、おかしいってはっきりと分かったよ!」

「それが普通だったから、こちらに初めて来たときは新鮮な気持ちだった」

「そりゃそうだろうな」


 ドルチェの発言にツッコんでいくミラ。


「どうして、先生はここに来たんですか?」

「元々はシュガー様と冒険していてね、あの人について行ったら面白いと思って」

「師匠もそちらで冒険をしていたんですね」

「そうね。冒険したのがあたしが15の時くらいだったけど、シュガー様はその前から冒険していたと聞いているわ」

「私もいつかそこに行けるといいな」


 ミラたちが会話しているとレイとシュガーが上から降りてきて、地面に足をつけた。

 シュガーはレイにこれからどうするのかを聞いた。


「レイ。お前はこれからどうするつもりだ?」

「一晩で消えたという街に行こうと思っている。シュガーはどうするの?」

「デネブラエに向かう予定だ」

「分かった」

「……私はシュガーについていく」


 アイランはレイたちにそう言った。


「分かりました。お世話になりました」


 彼女とは別れ、レイたちは一晩で消えたという町の情報を集めるべく、町中へと向かった。


 シュガーが異世界から来た人であると分かったレイ。彼が住んでいた世界はどんな世界のだったのだろうか。


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