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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
五大英雄ともう1人の英雄
25/86

腹ペコの五大英雄

種族・神人について

神の力を持つ種族。

独自の力は神力である。神にも様々なタイプがあり、神人も神として数えられることがある。

今では伝説の存在となり、見かけることはなく、存在しているかも分からない。神力を持っているため、不老である。しかし、生殖能力が限りなく低い。


ごくまれに隔世遺伝することで神人の血が目覚め、神力に目覚めることがある。神人に覚醒したとしても本来の種族は変わらない。例として、シュガーは神人に覚醒としているが、獣人として生まれたため、種族は獣人であり、同時に神人でもある。神力に目覚めているものは神人と同様、生殖能力が限りなく低くなる。



前回のあらすじ

ペテルギウスを元に戻すことに成功したシュガー。一方、ルークスでは道標の奪い合いが起こっていた。


****


 エクレール一行はセレネとシリウスを探すために適当なとこを歩き回っていた。リリィがエクレールにあることを尋ねた。


「昔のシュガー様?」

「そうです、エクレールお姉様。私、シュガー様のことを全くと言っていいほど知りませんから、知りたいなと思って」

「全然構わないけど。私とシュガー様の出会いはシュガー様が9歳のころでしたね」


 懐かしそうにエクレールは言った。


「その時には既にフォスがいましたね」

「フォスメイド長が既にいたんですね。出会ったきっかけは何だったんですか?」

「あの頃の私は親の顔も知らなかった孤児でシュテル様に拾われました。それで屋敷に行き、そこで出会いました」

「お姉様も壮絶な人生を歩んでいたんですね……」

「シュテル様に良くしてもらっていましたので。シュガー様が12歳の頃に魔術師の師であるエリュトロン師匠に出会い、師事していました。私もシュガー様と学びました」


 シュガーは先代エリュトロンから魔術を学び、エリュトロンを受け継いだ。


「シュガー様の師匠って、どんな人だったんですか?」

「赤髪の女性の方ですね。6本の剣を使い戦う人でしたよ」

「魔術師ですよね?」

「騎士として、働いた経験もあったそうなので。15歳ころに屋敷を脱走しましたね」

「脱走?」

「ええ。私が仕える前の出来事になるんですが、攫われそうになったことがあったそうです。それ以来、屋敷の中で暮らしていました。それでシュガー様はフォスとともに脱走しました」


 神の遺産が貴重なように神力を持つ人はそれ以上に貴重であり、正しくも悪くも使うことができた。神力を利用するためにエネルギー源として利用しやすい幼いシュガーが狙われたことがあった。


「脱走してからはどうなったんですか?」

「話しが長くなったので、続きはまた今度ということで」


****


 ルークスにいたアモル、ミラ、アスラはレイを探し回らずに戻ってくるのを待っていた。レイがどこに飛ばされたかは分からなかったが、レイは自分たちがルークスにいるということは把握しているため、下手に動き回るより待っていた方がいいだろうと判断した。

 ミラが眠っている時に目が覚めると周りが暗く、見通しても先が見えない場所にいた。そこにはある女性がいた。


「また会ったわね、ミラ」

「フレイヤ、あんたか……」


 ミラが会ったのは神フレイヤであった。ミラのリトスは神フレイヤの魂の一部で出来ていた。


「そんなに嫌そーな顔をしないの」

「いつもこの表情だよ」

「笑顔を心がけましょうねー。女の子は笑顔が一番」

「まあ、こうして、現実世界でも会えるようになるとはな。で今日は何の用?」

「頑張っているミラちゃんにご褒美として神装をあげようと思って」

「そんなに簡単に手に入るのかよ!」

「神装なんて、神が気に入るか気に入らないのどちらだから。長く付き合えば、神の協力なしでも神装を具現化できるけどね。私はミラちゃんを気に入っているから」


 こんなに簡単に神装が手に入っていいのかとミラは思ったが、くれるならもらおうと考えた。自分は英雄の中では弱いため、戦力は少しでも多くした方がいいと。

 フレイヤは3つの神装をミラに提案した。


「2匹の猫が牽くそり、魅了する首飾り、鷹に変身できる羽衣の3つが今のミラちゃんが使える神装ね。どれがいい?」

「神装の説明は?」

「勘で選んで」

「……じゃあ、魅了する首飾りで」

「分かりました」


 フレイヤはミラに黄金で出来た首飾りを渡した。神は彼女に黄金の首飾りに説明した。


「その首飾りはブリーシンガメンと言います。それは相手を魅了する効果があります。ミラちゃんの場合は異能力である氷の爪にこの力を込めて、撃つといいでしょう。詳しいことは試行錯誤で把握してね。お姉さんとの約束だよ♡」


 フレイヤがそう言った後、ミラは再び目をつむり、眠りに入った。


「って、そんなことがあったんだ」

「気に入られてよかったじゃないですか」


 ミラはフレイヤに会ったことをアモルに話していた。


「アモルは会えていないのか?」

「ええ、あれ以来会えていません」

「さっそく、力を試したいから協力してくれ」

「いいですよ」


 神装である黄金の首飾りブリーシンガメンを具現化し、首にかけた。続いて、氷の爪ウーニャを発動させ、左手の爪の上に氷の爪を作った。


「これで前準備はよし。次はブリーシンガメンの力を爪に込める」


 神装ブリーシンガメンの力である魅了の力を込めていく。すると爪にハートマークが表れた。


「これで準備完了だ。今から、アモルに撃つからどんな感じか言ってくれ」

「分かりました」


 ミラは爪を発射させて、アモルに当てた。一見、変わった様子は見られなかった。


「どんな感じ?」

「特に変わった感覚はありませんね……」


 一見、変わっていないように見えていたが、本当に変わっていなかった。


「何が悪いんだろう」

「やはり、魅了というほどですから、異性にしか効果がないのでは?」

「なら、アスラで試すか」

「アスラでいいんですか?」

「アスラなら平気平気。レイやルキスなら不安になるけど、あいつは頑丈だから」

(魅了するんだから、頑丈さは関係ないのでは?)


 ミラとアモルはアスラのところへと向かった。彼は腕立て伏せをして、トレーニングしていた。2人は扉からこっそりと覗いていた。


「早速、試すか」


 アスラに狙って爪を発射させ、的中させた。アスラはトレーニングを辞めた。


「なぜかは分からないが、ミラに会わなければいけない気がする」


 アスラは扉の外側にいるミラたちのところまで歩いて行った。


「ミラ、何か用か?」

「良し、うまくいっているな」

「何がうまくいっているんだ?」

「それはな……」


 ミラはアスラにしたことを説明した。


「ふーん、そうなのか。操られているような感覚はあるけど、これぐらいならなんともないぜ」

「実験に付き合ってくれよ」

「別にいいぜ」

「さらに撃つぞ」


 ミラはさらに4発撃ちこみ、魅了を強くさせていく。さすがのアスラも耐え切れなくなっていた。


「うごおおおおお!絶対に操られねー!」

「最後の1発だ」


 彼女は魅了の力をさらに込めた爪を撃ち込んだ。アスラはただ立っているだけの存在となった。


「アスラ、大丈夫か?」

「……」


 ミラが声を掛けたが、アスラから返事は返ってこなかった。彼からは生気が感じ取れず、ただそこにいるだけであった。


「ここまでいくと魅了というより洗脳に近いですね」

「とりあえず、命令をするか。困っている人を助けてこい」

「分かった」


 ミラがそう命令するとアスラは外へと向かい走っていった。その様子を見たアモルはアスラのことを心配した。


「あそこまで魅了すると後遺症が心配ですね」

「アスラなら大丈夫だろ。……大丈夫だよな?」


 2人がそんな心配しているとアスラが帰って来た。その背中には赤紫色の髪をした少女がいた。少女からはぐぎゅるるるーと言う豪快な音が聞こえてくる。


「倒れていたから、連れてきた」

「お腹が空き過ぎて、倒れているようですね。ご飯を作ってあげましょう」


 アモルは食事を作りに行き、アスラとミラは少女を居間へと案内した。

 一人分の食事を作ると少女の元へと運んだ。


「い……ただ……きます」


 少女は豪快に食事にかぶりつく。あっという間に食べつくした。


「おいしいかったですか?」

「おかわり」

「ミラ、手伝ってください」


 アモルとミラが食事を作り、それをアスラが運ぶと次から次へと皿から料理が無くなっていく。この食事が約1時間続いた。


「お腹……いっぱい」


 少女はそう言っていたが、軽く4人前はある料理を食べ続けていた。その料理も食べ終わった。


「ご馳走様」

「……それは良かったです」


 アモルはやや引きずった笑顔でそう言った。それもそのはずである。彼女の家にあった食料がすべてなくなった。それどころか、途中からは外に食料を買いに行っていた。


「ようやく、体が自由になったぜ」

「アスラも元に戻ったようですね」


 ミラの命令が完了したからか、アスラは元に戻っていた。

 食後のコーヒーを飲みながら、少女は自己紹介を始めた。


「私の名前は……狂武人のアイラン……」

「天人のアモルです」

「俺は戦人のアスラ」

「人のミラだ」


 自己紹介は終わり、またもや少女は口を開いた。


「食事のお礼はする……。あなた達は……英雄でしょう?」

「そうだけど」

「私は……人から五大英雄と呼ばれている……」

「五大英雄!?」


 アイランは気軽にそう言うと3人は驚いた。


「そう……。ミラはノードゥス……、アスラとアモルはフィデス……。ちなみに私は……エインヘリヤル。五大英雄の中で唯一……」


 英雄にはいくつかの段階がある。アスラとアモルはフィデスが使える第一段階フィデス。ミラは神との対話し、神装が使える第二段階ノードゥス。そして、アイランは五大英雄の中で唯一、第三段階であるエインヘリヤルだった。

 第三段階目であるエインヘリヤルについて、アモルは聞いた。


「アイラン様、エインヘリヤルとは?」

「エインヘリヤル……。これになったとき……英雄に選ばれてから手に入った大切な者を失う」

「それはどういう意味でしょう?」

「いずれ、分かる。……いずれね」


 意味深そうにアイランはそう言った。彼女がコーヒーを飲み終わると立ち上がった。


「外に行こう……」

「何をするんですか?」

「修行……」


 彼女は3人を連れ、外に出て、修行をつけることにした。

 4人は都市の中にある広場へとたどり着いた。


「修行とは何をするんですか?」

「ノードゥスは神の気まぐれ……。修行しても無駄……。よって、フィデスを使いこなせるようにする……」

「あんたが相手をしてくれるのか?」

「全員相手にしても……余裕で勝てるけど……ほかにいる」


 アイランがそう言うと彼女の後ろには3人の少女が並んでいた。


「見つけた。2つ目の道標☆」


 そこにいたのはシュガーから道標を探すように頼まれたミーティアことティアだった。隣には獣人のスノウ、宝玉人のドルチェがいた。


「道標を持っているのはー、君だね☆」


 ティアはアモルが道標を持っていることを見破っていた。確かにそうであったが、1つの問題点があり、彼女はそれを口にした。


「確かに私が道標を持っていますが、体内にありますので取り出すことは無理ですよ」

「それなら、問題ないよー☆」


 ティアがアモルに近づいていく。自分の右手を彼女の右手に触れ合うぐらい近づけた。すると互いの右手から道標が出てきた。


「道標はね、磁石みたいに互いを引き合う性質があるんだ☆ これを利用することで取り出すことができるし、どこにあるのかも把握できるんだよ☆」

「親切にありがとうございます」


 道標を右手の中の方に押し、体内にしまった。ティアは仲間たちの元まで戻った。


「さーて、道標を賭けて、正々堂々と勝負だ☆」


 ティアは自分の武器を取り出した。それは杖だった。杖といっても、木や鉱物などの自然物ではなく、機械で出来ていた。

 武器を構えたティアが消えたと捉えた瞬間、すでにアモルの前に移動しており、彼女に杖が襲い掛かる。


「おらあ!」


 それをアスラが拳ではじくことで防いだ。


「すごい速さだな。決めた、俺はお前と戦う。俺は戦人のアスラ」

「僕は森人のティア。ボクの速さについてこられるかな?」

「手は抜かねー!」


 アスラはフィデスであるバレットを地面に拳を叩きつけることで発動した。彼の右腕に水色の粒子が収束し、黒い装甲の腕へと変わっていき、水色の片翼が3枚生える。


「それが君のフィデスか☆ 強そうー☆」


 ティアとアスラは戦闘に入った。

 スノウはミラがいることに気付き、手を振りながら声をかけた。


「あっ、ミラちゃん」

「スノウじゃないか」

「ミラ、知り合いですか?」

「ミラといって、シュガーの弟子だ」

「シュガーのですか」

「修行の成果を見せてあげます。襲え、アイス・レイン」


 スノウは両手の平に氷の塊を作る。それはバンという音と共にバラバラになり、氷の棘としてアモルたちを襲った。2人はそれを避け、ミラはウーニャを発動させ、スノウに狙いを定め、氷の爪を撃った。


「アイス・ウォール」


 スノウは空中に氷の壁を作ることでミラの攻撃を防いだ。


「威力が足りないな」

「フリーズ」


 続けて、スノウは魔術を唱えていく。地面を凍らせていき、動けないようにしようとした。アモルとミラはさらに距離を取った。


「どうする、アモル」

「接近戦に持ち込みます」


 アモルはそう言い、走り出し、勢いをつけ跳んだ。これなら、フリーズの攻撃は意味がなくなると考えていた。しかし、今まで手を出していなかったドルチェが魔術を発動させた。


「吹け、ガスト」


 ドルチェの方から突風が吹いたことでアモルは押し返され、中途半端な場所で尻餅をつくことになってしまった。スノウたちはこの機を見逃さなかった。


「今よ」

「はい、フリーズ」


 アモルはスノウのフリーズによって、手足を凍らされ身動きができなくなった。


「これでティアが来るのを待つだけね」


 スノウとドルチェは氷の爪を撃たれているが、スノウのアイス・ウォールによって、防がれていた。

 ミラはシュガーと話したあることを思い出していた。


『なんで、銃弾の威力があるかだって?』


 ミラはシュガーに銃について聞いていた。


『あんなに威力があるんだ?』

『それは弾が回転しているからだ』

『回転?』

『そうだ。まあ、弾の回転は威力より直進させるのが目的だ。ミラ、魔術で厚い氷を作ってくれないか』

『別にいいけど』


 ミラは魔術で厚い氷を作る。シュガーは銃で氷を目掛けて、弾を撃った。すると弾は氷に突き刺さらず、コマのように回転していた。


『本当だ。回転している』

『回転させることで空中での直進性を高め、命中精度を高めている』


 コマをイメージしてもらえれば分かりやすい。回転が弱いコマは自立できずに倒れるが、回転が強いコマは倒れずに自立している。

 これは銃弾にも同じことが言える。もし、銃弾が回転しなかったら、空気抵抗によって空中で弾の向きが変わるため、狙った場所に飛ばず、威力も下がることになる。


『お前のウーニャを回転させることができれば、もっと強くなるだろう』


 ミラの異能力は氷の爪を飛ばすことである。


(それにしてもどうやって回転させよう。適当に回せばいいもんじゃないだろうし)


 ミラは考えた。回転させるにしても何か軸が必要である。安定して回転させるために目印になるものを探していた。


(私はいつも指先を標準にしている……)

 自分の撃ち方を思い出しているときに軸となるものを見つけた。その時、ミラの左手の甲にある模様に変化が起きた。青い丸に一本の線が引かれていた模様だったが、青い丸に線上の丸が加わった。

 思ついた撃ち方でアイス・ウォールに攻撃した。1発目は貫くことができなかったが、氷の壁にひびが入った。2発目は見事に壁を貫くことができた。


「壁が敗れました。ミラちゃんは何をしたんだろう?」


 スノウはミラの方を見た。彼女は指を軸に氷の爪そのものを回転させていた。


「異能力がレベルアップしたな。ウーニャLv.2だ」


 ミラは進化した異能力でスノウとの戦いを続けた。

 一方、アスラとティアの戦いは膠着戦に入っていた。アスラはティアに攻撃を当てることが1発もできなかった。ティアは攻撃を当てていたが、右腕で防がれていた。

 ティアはアスラに攻撃するときを狙い、攻撃しようとするがその時には既に離れていた。


「遅い遅い☆」

「攻撃が軽いな」


 ティアは常に飛んでいることで自由な方向転換ができるようにしてあり、それが速さの秘密だった。


「それなら、危ない橋は渡らないでおこうかな☆」


 ティアは上へと飛び、風の弾を作りアスラに向け降り注いだ。それを避けていくアスラ。


「追いかけてやるからな」


 アスラは羽を1枚消費し、地面を殴ることでティアのところまで跳躍した。彼女に攻撃したが、あっさり避けられた。


「空を飛べないって、不便だね☆」


 ティアは杖で攻撃し、アスラを地面に叩きつけた。


「痛てーな。俺も自由に飛び回ることができればな!」


 悔しそうに右手の甲で地面を殴りつけた。すると地面は水色の粒子となり、右腕に収束する。


「どうなるかは分からないが、とりあえずやるか!」


 アスラは立ち上がる。右腕の黒い装甲は分解され、再構築されていく。再構築された黒い装甲は全体的に大型化されており、背中の片翼はなくなっており、その代わりに竜の尻尾に似た黒い回転羽根がついていた。


「これなら、お前を殴れるぜ」

「どうするの?」

「俺も飛ぶんだよ!」


 背中にある回転羽根が回り始めた。勢いよく回り、ヘリコプターのようにアスラが浮かび始めていった。そのまま、ティアのところまで飛んで行き、拳を放った。


「危な!」


 紙一重で避けられるが、さらに拳で殴りつけた。アスラとティアとの間には距離があったが、殴りつけることで拳の衝撃波が飛ぶ。その衝撃波はティアの腹へと当たった。


「やっと、殴ることができたな」

「痛いなー。そろそろ僕のフィデスを使わせてもらうよ」

「フィデスだと!?おもしれー!」

「行くよ☆」


 ティアはアスラに近づき、杖を振るった。彼は右腕で防ごうとした。しかし、それは叶わず、杖を防いだ部分が無くなっていた。その周りにはひびは見られなかった。


「何だこの傷は?」

「僕のフィデスは削る。削ったものがどこに行くかは僕にも分からない☆」


 ティアはその場で杖を空振りさせた。すると彼女はアスラの前におり、膝でアスラの腹をけりつけた。


「うぐ……。目に見えないほどのスピード。動くようなそぶりはなかったはずだが」

「目の前の空間を削ったんだ☆ 削った空間は瞬時に戻ろうとするから、それを利用して瞬間移動をしたんだ☆」


 右腕に向かって、杖を振り下ろそうとしたが、アスラは受け止めるのではなく、避けた。


「防御不可能じゃねーか」

「離れても無駄だよ☆」


 力をより杖に込めて、振り下ろした。次の瞬間、彼女が予想していなかったことが起きた。

 その削った空間にティアだけではなく、全員引き寄せられた。


「何ですか、これは?」

「空間を大きく削ったこととフィデスに慣れていない影響かな」


 アモルは驚いていたが、ドルチェは冷静に解析をしていた。

 その場にいた7人は集まり、弾けた。別々の場所へと飛んで行きそうになった。


「誰か、掴まれ」


 ミラはフィデスである種族力理解(フォルクスタンド)を発動させ、鎖を具現化し、伸ばしていた。


「分かった……」


 ミラの鎖をアイランが掴んでいた。

 アモルは手を伸ばしていた。


「誰か!」

「はい☆」


 アモルの手をティアが掴んだ。


「スノウ」

「はい、先生」


 ドルチェはスノウを抱え込んでいた。

 4グループに分かれ、別々の場所へと飛ばされてしまった。


****


 レイとルリはラーパの家で彼女に別れを告げ、ルークスへと向かっていた。その途中でルリがレイにフィデスのことを聞いていた。


「先輩、フィデスって何ですか?」

「フィデスとは英雄が持つリトスによって、引き起こされる能力だよ。フィデスは英雄によって、違うんだよ」

「そうなんですか」


 フィデスの説明をしながら、ルリがある違和感がした。


「先輩、聞こえていた道標の声がものすごい勢いで離れていきます」

「ルークスで何が起きているんだ?」

「きゃああああああ」


 見覚えがある声が上から聞こえ、レイは空を見上げた。空からはミラとアイランが降ってきた。


「なんで、上から降ってきているの!?」


 レイはそう言いつつも神装を取り出し、受け止める準備をした。ミラは両手で受け止め、アイランは白いマントで受け止めた。両手で受け止めたため、お姫様抱っこの状態になっていた。


「レイか、ありがとう」

「見た目通り、軽いね」

「とっとと下ろせ」


 レイはミラに言われた通り、腕から降ろした。彼女から空から降ってきたわけを聞いた。

 ミラ共に降ってきたもう1人の少女について、レイは聞いた。


「そっちの人は?」

「この人はアイランで五大英雄の1人らしい」

「よろしく……」

「この方が……」


 レイはアイランのことをまじまじと見た。


「何か……?」

「いや、なんでもないです」

「先輩、これからどうします?」


 レイとルリはミラたちと合流するべく、ルークスへと向かっていた。しかし、ミラたちはバラバラになってしまっていた。


「ルリ、道標の場所は分からない?」

「一応、あちらの方から声は聞こえてきます」

「そっちは……ウェントゥス……」

「ウェントゥス?」

「ウェントゥスは魔術大国だよ。国の中では一番魔術が発展していると言ってもいい」


 レイの疑問にミラが答えた。それを聞き、次の目的地を決めた。


「ルークスに向かうのはやめて、道標を集めるためにもウェントゥスに行こう」

「アスラとアモルは探さないのか?」

「道標を集めているなら、互いの道標が引かれあうはず。それなら、そのうちアモルたちとも合流できるはず」

「それなら、ウェントゥスに向かうか」


 4人は魔術大国ウェントゥスに向かい、歩き始めた。


 道標の奪い合いの果てに成長したミラとアスラ。ティアのフィデスの暴走により、バラバラになってしまった。

不幸中の幸いでミラとアイランはレイと合流することができた。道標を探すべく、魔術大国ウェントゥスへと向かうことに決めた。


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