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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
五大英雄ともう1人の英雄
23/86

新たな英雄

種族について・獣人

動物の耳と尻尾がある種族。

独自の力は持たないが、種族の力として、動物の身体力に鼻の良さなどがある。元となった動物の種類で種族の力が変わり、見た目なども変わっていく。

そして、獣化という力を使うことができ、元になった動物へと変身することができる。人の形で獣になる人獣形態と完全に獣になる獣形態に分かれる。


幻獣や神獣と呼ばれる動物が元になった獣人もいる。そういう獣人は大変数が少なく、生態系がよくわかっていない。

獣人の中で魔力を持つ者が少ない理由は暴走しやすいからである。第5世界の魔物はマナを過剰に取り込み、暴走した動物などをそう呼んでいる。獣人は動物の要素を持っているため、暴走しないようにマナが取り込めず、魔力を持たないようにされている。


 連合国トルトニスに飛ばされてしまったレイ。餓死しかけていたところをある少女に助けられる。そこで新たな英雄に会うことになる。


****


 シュガーが本に仕掛けた魔方陣によって、レイが飛ばされて3日が経っていた。彼は街はずれで倒れていた。異世界の地理に疎く、食料確保ができなかったため、体力に限界が来たためだった。

 そのまま、レイの冒険が終わろうとしていたところ、金色の髪をした一人の少女が偶然通りかかった


「大丈夫ですか?」

「食べ物をください……」


 レイがそう頼むと少女は懐からサンドイッチを差し出した。


「どうぞ」

「ありがとうございます……」


 サンドイッチを食べながら、レイは少女にお礼を言った。


「私の名前は人のラーパと言います」

「レイと言います。ラーパさん、助けてくれてありがとう」

「レイさんはなぜ、こんなところで倒れていったんですか?」

「おそらく、魔術か何かで飛ばされたんだと思うのですが。ここはどこでしょうか?」

「ここは雷の国トルトニスにあるウラニオという町の近くですよ。私もそこに住んでいます」


 連合国トルトニスは昔に王家が滅び、それ以来それぞれの貴族たちが独立採算で町を運営していた。王家の生き残りが再びまとめようとしたが、それぞれが異なる運営をしていたため、うまくいかなかった。それ以来、王家の生き残りは都市トルトニスの復興を目指していた。


「レイさんはどこから来たんですか?」

「都市ルークスにいました」

「まだ近いですね。なんとか帰れると思いますよ」

「それはよかった」


 レイが安心したその時、リトスが光を放った。それを見て、レイはその意図を考えた。


(ここで何かするべき使命があるかもしれない)

「さっきの光は?」

「実は俺、英雄に選ばれていて、その証であるリトスが光ったんです」

「英雄とは英雄物語の?」

「そうです」

「あら、すごい人だったんですね。尚更、早く帰らないといけませんね」

「いや、もうちょっとここにいようかなって」

「なら、私の家に来てください」

「いいんですか」

「いいですよ。レイさんも口調を柔らかくしてください」

「わかった、ラーパさん」


 レイはこうして、ラーパのところでお世話になることに決まった。

 ラーパのところに住んでいる間、魔物を狩ることが仕事だった。その魔物をラーパに料理してもらうことで食事が豪華になった。

 レイは修行するために家の外に出ていた。


「よし、どこまでできるかを確認だ」


 リトスを手に持ち、神装である心剣を取り出そうとした。本来なら、白い仮面と黒い剣が神装だったが、どちらか一方を取り出せるかを試した。レイは白い仮面をイメージしながら、心剣を抜いた。すると2つに別れず、銀色の鍵から白い仮面へと変わった。


「できた。今度は白い仮面から黒い剣を抜こう」


 白い仮面から心剣を抜く動作に入った。今度のイメージはリトスそのものを変えるのではなく、いつものようにアモルから心剣アストライアを抜くようないつもやるような感じだった。白い仮面から、黒い剣を抜きだし、2つに別れることができた。


「セットで出すのが普通だと思うけど、いざというときに役に立つかもしれない。メインのことをやろう」


 レイは黒い剣を消し、白い仮面をつけ白いマントを出現させた。今回、試したいことはマントがどこまでのことができるかだった。


「まず、マントを前に」


 マントを壁のように前に出した。


「次はどこまで伸ばせるかだ」


 マントを前に伸ばすが、約1mと行ったところだった。


「もしかしたら……」


 あることを思いつき、それを試した。今度はリボンのようなイメージで伸ばした。するとマントの先はリボンのようになり、さっきより伸ばすことができた。


「いろんなことができそうだけど、攻撃には使えなそう。伸ばせる範囲はおそらくマントの面積が限界だ。それに集中力が必要だね」


 神装でいろんなことを試しているとラーパがやってきて、レイに声を掛けた。


「レイさん、今大丈夫ですか?」

「大丈夫だけど」


 レイがラーパの方を振り向くと仮面をしていることを突っ込まれた。


「レイさん、仮装が趣味なんですか?」

「いえ、違うんです。これは英雄としての修行なんです」

「マスクを被り、マントを羽織ることが英雄なんですか?」

「誤解されているけど、とりあえずいいや。ラーパさん、用件って?」

「リースス・レーニスという劇団ギルドが来ているので見に行きませんか」

「いいね、見に行こう」


 レイは気分転換にいいと思い、見に行くことに決めた。


****


 町ウラニオに中心にある劇団へと行ったレイたちだったが、残念ながらすでに劇は終わっていた。


「もう終わっているなんて、残念でしたね」

「終わっていたことは仕方ないよ」


 2人が帰ろうとしたその時、リトスが弱く光り始めた。


「リトスが光っていますね」

「近くに仲間がいるかもしれない」


 リトスの光を頼り、回りを探し始めたレイとラーパ。だんだん強くなっていく光を見て、近づいていることを確信していた。


「この近くにいる」


 見渡しているとある少女が近づいてきた。その少女からはリトスの気配は感じ取れた。しかし、仲間の誰でもなく、その少女に見覚えがなかった。


「あなたが英雄さんですか?」

「そうだけど、君も英雄だよね?」

「はい」


 その少女は緑髪緑眼で頭と左手の甲には青い花が咲いていた。服装は長袖のワンピースに腰にはひょうたんとクロスボウがあった。

 レイが驚いていると少女は自己紹介を始めた。


「あたしは花人のルリ・ブリュスターです。先輩の名前を聞かせてもらえますか?」

「俺の名前はレイ・シルバです」

「レイ先輩ですね。これから指導の方をお願いします」

「なんで、ルリさんはこの町にいたの?」

「神のお告げがあったからです。あと、ルリでいいですよ」

「ああ」


 ルリが言った神のお告げという言葉でレイはすべてが理解できた。アモルたちと会った時のように導かれたのだと理解できた。

 レイは自分の現在の状況をルリに伝えた。


「実は仲間たちとはぐれているんだ」

「えっ、英雄ってレイ先輩以外にもいるんですか?」

「そりゃあいるよ。今はバラバラになっているけど」

「なんで、バラバラに?」


 ルリにバラバラに分かれている理由を聞かれ、レイはそれに答えた。


「それぞれの道を歩くためかな。俺の場合は迷子だけど」

「レイ先輩に限っては面白い理由ですね」

「新しい英雄とも会えたし、ルークスに帰ろうかな」

「そこに先輩の仲間がいるんですね」

「明日の朝に出発しよう」

「温泉が入れる旅館があるので、疲れを取るためにもお二人ともそこにいきましょう」

「それはいいね」


 ラーパの提案により、3人は温泉があるという旅館へと向かった。

 旅館に着き、ルリたちと別れ、レイは男湯へと入った。服を脱ぎ、中へと入ると先客がおり、その人に見覚えがあった。先客は挨拶を交わそうとレイの方へと振り向いた。


「レイではないか」

「シュガー……なんでここに」

「温泉に入りに来た。それ以外に理由がいるか?」

「いや……」

「それにしても、お前は強くなったようだな」


 レイを見たシュガーがそう語りかけてきた。


「まあ、ノードゥスに入って、神装が使えるようになったからね。シュガーはどこまでいったの?」

「俺もフィデスに目覚め、神装を扱えるようになっている。英雄が強いのはフィデスや神装などが扱えるようになるということが一番の理由だ」

「へー、そうなんだ」

(まあ、それ以外にも強くなる理由はあるが)


 レイとシュガーの2人は温泉に浸かった。レイはシュガーに気になっていたことを尋ねていた。


「ねえ、シュガーはなぜ自分たちから離れたの?」

「それは言っただろう。やりたいことができたと」

「聞いた限りでは最初から離れていても問題がなかったように思えるんだ」

「お前たちのことを知りたかったからな。お前たちなら、この世界を任せられると思った」

「そうなんだ」


 一方、女湯にはルリとラーパにイディナ、エクレール、リリィがいた。


「ルリとやら、お主は英雄だな?」

「ええ、そうです」

「我も英雄だったぞ」


ルリはイディナに英雄であることを当てられ、自分も英雄だったことを伝えた。


「そうなんですか。レイが言っていた仲間ですか?」

「そのレイとやらは知らないが、昔話で伝わっている五大英雄たちと一緒に旅をしていた。先代の英雄だな」

「大先輩ですか。なにしにここに来たんですか?」

「昔の因縁というのを片付けるためにな……。この近くに道標があるとシュガーが言っていてな、それを回収するのも目的だ」

「道標……ですか」


 イディナがいう道標がどういう物かが分からなかったので、後でレイに聞こうと思った。

 イディナはエクレールのある部位を見ながら、呟いた。


「それにしても……エクレール。お主の胸は相変わらずの小ささだな」

「私は気にしていませんから」

「大きさで並べると我が1番でリリィが2番。ラーパが3番目でエクレールが4番目。ルリがドベか。ルリはこれからに期待できるが、エクレールはもう……」

「イディナ様が大きいだけで私は普通ぐらいですよ」


 女湯ではそんな会話が続いた。

 温泉から上がり、レイたちは合流した。レイとルリはいつもの恰好だったが、シュガーたちは浴衣を着ていた。

 ルリはレイにシュガーのことを尋ねた。


「先輩、一緒に出てきた獣人はどういう方なの?」

「シュガーという名前で俺たちと同じ英雄だよ」

「……本当?」

「本当だよ。互いに紹介したほうがいいね。おーい、シュガー」

「なんだ」


 レイに呼ばれ、シュガーはこちらへとやってきた。


「紹介するね。こちらが花人のルリ。英雄で俺たちの新しい仲間だよ」

「そうか。俺は獣人のシュガー・シャルロット。今は訳があって、別行動をしている」

「私は花人のルリ・ブリュスターです。よろしくお願いします、シュガーさん」

「今からピンポンで遊ぶが、一緒に来るか?」

「行く」


 行ったその先にはテーブルがあり、その真ん中にはネットが張られていた。それを見て、レイはある程度の遊び方が分かった。

 シュガーはレイにピンポンの遊び方を説明しようとした。


「レイ。このピンポンの遊び方は……」

「自分の世界に似たような遊びがあったから、それで大体理解できると思う」

「実際にやるから、分からないことがあれば、聞いてくれ」


 テーブルの両端にイディナとエクレールが立つ。手には木でできたラケットが握らており、ボールはエクレールが持っていた。ボールを落とし、それを打ったことで試合が始まり、ボールを打ち合う。

 それを見たレイは自分が知っている卓球とそんなに変わらないと思っているとシュガーは勝利条件を説明した。


「10点先取したほうが勝ちだ」

「見た感じ、そんなに変わらなそうだから、大丈夫そう」

「なら、やるか」


 レイとシュガーがピンポンで遊び始めた。レイからサーブすることになり、ボールを持つとプラスチックでできていなかった。


「この球は何で出来ているの?」

「コルクで出来ている」


 しばらくするとシュガーが6点、レイが8点取り、シュガーが不利な状況になっていた。


(仕方ない。あの手を使うか)


 シュガーがサーブを打ち、レイがバウンドしてから打ち返そうとしたら、ボールがレイの方ではなく、なぜか右へと曲がり返すことができなかった。


(なんかおかしいな)


 レイはそう思いつつ、サーブを打った。それをシュガーが返すとまたしてもイレギュラーバウンドし、左へと曲がった。それを見ていたリリィにはシュガーが何をしたのかが分かり、口に出した。


「シュガー様、魔術を使っているよね」

「どういうこと?」

「ボールに爆発の魔術を込めて、着地すると同時に魔術を発動させたの。意図的にイレギュラーバウンドを起こしたの」

「さて、レイ。お前はこれをどういう方法で破る?」

「正々堂々と戦ってよ。シュガーが魔術を使うなら、俺も」


 風のマナを集め、魔術を発動するための準備をした。それからサーブを打ち、シュガーが返そうとしたときに魔術を発動させた。


「風よ、巻き起これ! 追い風」


 レイの背後から強烈な追い風を巻き起こした。シュガーにとっては逆風となり、打たれたボールはシュガーのところに戻り、レイに届かなかった。


「シュガー、どうする? こっちにボールが届かなければ、どんなボールを打っても意味がないよ」

「真正面から破るだけだ」


 シュガーがサーブを打つとレイが反応できない速さで後ろに抜けた。


「今度は打つと同時に魔術を発動させ、それを推進力に使うことであれほどの速さを出すことができたんだわ」

「反応ができなければ、意味がない」

「確かに。泣いても笑ってもこれで最後だ」


 レイはサーブを打ち、シュガーは先ほどと同じことをし返した。ボールに反応ができず、レイの後ろへと抜けていった。それを見て、シュガーは勝利を確信した。


「レイ、俺の勝ちだ」

「それはどうかな」

「なんだと……」


 後ろに抜けたはずのボールがレイの周りをくるくると回っていた。それを見たシュガーは何が起こったかが理解できた。


「そうか。自分の周りに左回転の竜巻を作ることで後ろに抜けた球を風で拾ったんだな。なら、返しに後ろではなく、左右に抜けるように打てば問題ない」

「次の球は返せないよ。神経を使うからさっきは打てないけど、時間をかけてもいいなら打てる」


 レイは球を打ち、シュガーは返すために構えた。しかし、返すことができなかった。なぜなら、レイが打った球はバウンドしなかったからであった。


「バウンドしなかったら、返しようがないよね」

「俺の……負けか」

「なんだろう、この勝負。シュガー様が好き勝手にしたことで始まったんだよね」


 シュガーたちの勝負は終わったが、イディナとエクレールの勝負をまだ続いていた。


「1人ダブルスだ」

「ダブルスって、どういう意味でしたっけ?」


 イディナの隣には彼女と同じように一本角が生えた赤い人影がいた。それは人というより、獣に近くところどころの部分がそう感じさせていた。赤い人影もラケットを持ち、イディナのパートナーとして、ピンポンしていた。

 それを見た後、レイはシュガーに声を掛けた。


「俺たち、そろそろ帰るね」

「元気でな」


 レイたちは旅館の外に出て、ラーパの家に向かって歩く。


「先輩、道標ってなんですか?」

「それはどこで聞いたの?」

「イディナ大先輩という先代の英雄が言っていました。この近くにあるから、それを回収に来たと」

「……よし、ルークスに帰るのはやめて、道標を探そう」


 少し考えた後、レイはそう言った。


「なんででしょうか?」

「シュガーから道標を探すようにアドバイスをもらったんだ。なぜ、シュガーが俺に言わなかったのは分からない。けど、近くにあるというなら探した方がいいと思う」

「何か探す手がかりはあるんですか?」

「アモルという仲間が言っていったんだけど、声が聞こえるんだって」

「頭に聞こえてくる声はそういうことだったんですね」


 重要なことをルリはさらっと言った。


「声が聞こえているの?」

「ええ、声が聞こえてきています。これが道標を探す手がかりになるんですね」

「明日の朝、その声を頼りに道標を探そう」


 レイたちはラーパの家へと帰り、明日に備えた。


 ルリという新たな英雄を仲間にしたレイ。しかし、彼らは知らなかった。この雷の国トルトニスにはかつての敵同士が集まりつつあることを。

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