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神に選ばれし英雄の異世界物語  作者: 甘味神宝
異世界での冒険
14/86

真実・目覚めの使者

神に選ばれた英雄はその時代によって、特徴が違う。

リトスが与えられなかった英雄もいたし、フィデスを持たない英雄もいた。今回、選ばれた英雄のリトスの形状はバラバラだが、統一された英雄たちもいる。

フィデスを持たない英雄はフィデスの代わりになる力が与えられていることがある。また、フィデスを持ち、さらに別の力が与えられた英雄もいる。



前回のあらすじ

順調に六情球を集めていき、レイと合流したルキス達。その冒険の中でこの世界の真実を知ることになる。


****


 ルジオの東にあるという次の目的地の手掛かりを探すべく、3人はラブルのところに向かっていた。

 ラブルは家の前におり、ルキスは声をかけた。


「ラブル、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「ルキス、アスラ、お帰りなさい。そちらの女性の方は?」

「私の名前は天人のアモル・リベラです。ルキスとアスラがお世話になりました」

「いえいえ、大丈夫です」


 アモルトラブルは互いに自己紹介し、目的地について、ラブルに聞いた。


「この村から東に前に行った遺跡に似たような建物ってないかな?」

「確か、あったと思うけど、鍵穴すらなかったと思うわ」

「それも大丈夫。鍵の代わりになるものはすでにあるから」


 ルキスは自分のリトスでピンクのブローチをラブルに見せた。


「これが鍵代わりになるの? ルキスって、変なものばかり持っているよね」

「役に立っているから、問題ないのだよ」

「確かに。なら、この前みたいについていっていいよね」

「ありがとう、ラブル」


 3人はラブルに加え、3番目の目的地へと向かった。

 目的地へと向かっているとラブルがルキスに話しかけた。


「ルキスってさ、その使命が終わったら、自分の場所に帰るんだよね」

「まぁ……、そうなるね」

「1つだけ、約束してもらっていい?」

「約束?」

「そう、私たちは友達でずっとお互いのことを忘れないこと」

「分かった。ボクたちはずっと友達だよ」

「本当? もし、忘れたりしたら、承知しないからね」


 ルキスとラブルはお互いの忘れないという約束を交わした。

 やがて、目的の場所へとたどり着いた。道中、魔物に襲われることはなかった。


****


 ルキス達は遺跡の扉の前に立った。扉にはラブルが言った通り、鍵穴らしきものはなかった。しかし、ツバサが言った通りであれば、選ばれし英雄であるルキス達なら問題はないはずである。


「じゃあ、ボクがやるね」


 扉に向かって、ルキスはリトスを掲げた。すると扉は輝きだし、開いた。


「本当に開いちゃったね。前みたいに外で待っとくね」

「私たちは先に行きましょう」


 ラブルは外で待ち、3人は新たな球を手に入れるべく遺跡の中へと入っていった。

 遺跡の中に入ると扉が閉まり、閉じ込められた。しかし、状況はすぐに変わった。なぜなら、魔物たちが出てきたからであった。


「こいつらを倒せばいいんだな!」


 アスラがそう言い、フィデスを発動させるために床を殴った。しかし、フィデスは発動することがなかった。


「あれ?」


 もう1回、床を殴りつける。それでも、フィデスは発動しない。


「発動しないなら、このままでやってやるぜ!」


 結局、フィデスを発動させず、そのまま戦った。幸い、そのままでも通じ、ルキスとアモルがいたため、それほど苦戦することはなかった。そして、先に進むための扉が開いた。

 戦いが終わった後、アモルがアスラの異変に気付いた。


「アスラ、少し疲れた顔をしていませんか?」

「そうかもな。フィデスが使った後に疲労が来るんだ」

「もしかしたら、フィデスに回数制限があるかもしれませんね」


 アモルの見解にルキスの意見を言った。


「でも、ボクはいつでも好きな時に発動することができるよ」

「フィデスによって、負担の仕方が違うんだと思います。これからは戦うから、発動するのではなく、使いどころを見極めたほうがいいですね」

「分かった。そこんとこ、考えてみる」


 アスラたちはさらに先へと進んでいく。同じような部屋が2回続いたが、いずれも魔物だけだったため、苦戦することなく、倒していく。

 そして、先へと進んでいくと今までの扉と違い、一回り大きな扉があった。

 ルキスが口を開いた。


「前と同じいやな気配がするね。ということはいるね。この先に魔獣が」

「気を引き締めていきましょう」


 アモルたちが扉を開ける。その先には大部屋があり、中心には熊みたいな魔獣がいた。

 魔獣はルキスたちをみるとタックルをしてきた。アスラは左、ルキスとアモルは右へと避けた。


「くらえや、こら!」


 アスラは魔獣の体に向かって、スパイラルブローを放つ。直撃したが、少し後ろに下がっただけだった。アスラはもう既にフィデスを3回使ってしまったことで闘気が減っており、それと同時に威力も減っていったのであった。


「なら、これだ!」


 左腕で魔獣の左腕を掴み、右腕で腰に手をやり、投げ飛ばそうとした。しかし、それを察ししたのか、魔獣は開いていた右腕を殴りかかる。アスラは魔獣の体を掴んでいたので、避けることができず、アスラの顔へと襲い掛かる。アスラの体は吹っ飛ばされ、床につけられる。


「アスラ! これならどうです」


 アモルは剣で切りかかるが、魔獣の毛皮は表面を傷つけるだけであった。魔獣と距離を取った。現状、アスラ、アモル、ルキスの物理攻撃では倒すことはできない。


「天術でやるしかありませんね」

「ボクに作戦があるんだけど」

「作戦があるんですか?」

「ちょっと、あいつを通路がある道の奥に誘導して欲しいんだ。その間にボクが準備するから、お願い」

「分かりました。なるべく、早くお願いします」

「誘導したら、大きな声で叫んで」


 ルキスがそう言うと部屋から出ていき、前の部屋に戻った。これでは一見逃げたようにしか見えなかった。しかし。


「俺は何もしらないが、ルキスは裏切る奴じゃないことは分かっている」

「アスラ。これを通路が続く中心にやり、そして、奥に追い込みます。手を貸してください」

「分かった」


 アモルとアスラは魔獣を誘導していく。苦労はしたものの、何とか奥にやることができた。そして、合図を出す。


「ルキス、できました!」


 アモルが合図を出すとシュルルルという音が前の部屋から聞こえてきた。その音はどんどん大きくなっていく。そして、ルキスが部屋に入ってきた。

 しかし、普段のルキスではありえないほどのスピードであった。足の裏には2つずつ鉄球の上に乗っており、その球は高速で回転していた。

 部屋の真ん中まで来るとルキスは飛んだ。


「ボクの蹴りをくらえ!」


 魔獣の顔に向かって、ルキスの足が襲い掛かる。足は顔に見事に当たり、そのまま壁へと勢いよく叩きつけられた。魔獣は倒れ、脳にダメージを負ったのか、動きが鈍くなり、立ち上がることはできていなかった。


「サービスだよ。痺れろ、ライトニング」


 ルキスは止めに魔術で雷を作り出し、魔獣に向かって、放つ。そして、魔獣は電撃のダメージにより、動かなくなった。魔獣は光だし、黄色の球へと変わっていくとき、口を開いた。


「お前たちはまだここがどういうところかわかってないな」


 完全に球へと変化した。今の言葉について、ルキス達は考えた。


「魔獣が言い放った『ここ』とはどういう意味でしょうか?」

「ドレムという島でボクたちもそれしか知らない。ここの人はこの島がないと言い伝えられている」

「まあ、使者の役割を果たせば、そのうち分かるだろ」

「それもそうだね」


 アスラの言葉で納得させ、球を回収し、外へと向かった。


****


 ルキス達が遺跡の外に出たころには空は昼過ぎ3時くらいであった。

 外で待っていたラブルの姿は無事だった。彼女のそばにはツバサの姿もあった。


「やあ、お帰り」

「ツバサ、1つ聞きたいんだけど、ここって何なの?」

「ここはドレムだよ」

「ちがう。聞きたいことはそういうことじゃなくて」

「うん、わかっている。だけど、それは答えられないし、自分たちの力で知って欲しいんだ」


 ツバサはルキスの質問に対し、答えは曖昧だった。

 これ以上、聞いても答えることはないと判断し、次の目的地を尋ねた。


「分かった。次はどこで向かえばいいの?」

「ルジオとは別にヘルムという村があるんだ。次の場所はその村に近くにある砂漠だよ。そこに遺跡がある。そして、最後の仲間もそこで待っている」


 そう言い残し、飛びだった。

 ルキス達はこれからのことを話し合った。


「レイがヘルムという村で待っているんですね」

「そこに向かおうぜ」

「その村に着いてもレイを探すだけにして、今日は休んだ方がいいですね。さっきの戦闘は思ったより、苦戦しましたし、何よりアスラのフィデスが使えるようになるためにも」

「そうだね。ヘルムはどこら辺にあるんだろう?」

「私、知っているよ」


 ヘルムがどこら辺にあるのか、考えている時にラブルが声を上げた。


「ラブル、それ本当!?」

「その村にはときどき遊びに行っているから」

「案内お願いできる?」

「もちろん」

「ありがとう」


 3人はラブルの好意に甘え、彼女の案内により、ヘルムという村に向かうことにした。

 道中で魔物に襲われることなく、ヘルムに着くころには夕方に迎える少し前だった。

 ヘルムに着いたルキス達はさっそくレイを探そうとした。その前にルキスがラブルに話しかけた。


「これから、ラブルはどうするの?」

「今日はこの村に泊まろうかな」

「そうなんだ、ついてくる?」

「もちろん」


 ラブルもルキス達と一緒にこの村に泊まることにした。そして、本格的にレイの手掛かりを探すことにした。

 このヘルムという村はラブルが住むルジオと違い、普通の人は少なく、獣人が多く住んでいた。アモルがレイに着せていた黄色の上着を目印に聞き込みをした。バツという男性で狼の獣人から、手掛かりを得ることに成功した。


「レイ? レイ・シルバの事かい?」

「おそらく、その人です」

「レイは2日前にいきなりこの村にやってきたんだよ。珍しい来客だったんで手合わせをしたんだ」

「それでどっちが勝ったの?」


 レイとバツの決闘でどっちが勝ったのかをルキスは予想は着いていたが、気になったので聞いた。


「俺だよ」

「やっぱりー」


 バツが勝つとルキスは思っていた。

 なぜなら、レイは剣を持っているが、アモルみたいに誰から学んだわけではなく、ルキスのように冒険を通じて、鍛えたわけではなかったからである。つまり、レイの剣術と魔術はまだまだこれからであった。


「それから、レイに頼まれて、俺が学んだ剣術を教えたんだ」

「どういう剣術なの?」

「飛燕剣と呼ばれていて、その名の通り、素早く軽やかに動き、剣を使う。素早く動くために武具の重さに気を付ける必要があるんだ。レイの剣はこれに向いていなかったから、知り合いに頼んで打ち直してもらっている」

「少し話がずれてしまっているようですが、レイはどこにいるんですか?」

「あいつなら、試したいことがあるって言って、修行しに行ったよ。そろそろ帰ってくるとは思うが」


 アモルがバツにそう聞くとレイが戻ってきた。


「アモル、アスラ、それにルキス。君たちもこっちに来ていたんだね」

「レイも無事でよかったです」


 4人はお互いの無事を喜び、レイにラブルのことを紹介し、今までのことを話した。レイもツバサから伝えられたことを話した。


「俺もツバサに会ったんだけど、アモルたちがこっちに来るから、ここで待つように言われたんだ。それでバツに剣術を教えてもらっていたんだ」

「おう、剣は明日渡せるぜ」

「うん、ありがとう」

「お前たちもこの村に泊まるだろ? この人数だと狭くて、床で雑魚寝になるけど、それでいいなら、俺のところに来る?」

「ありがとう」


 バツの提案にアモルたちは甘えることにした。バツの家で食事をとり、明日に備えて、休んだ。


****


 レイたちは砂漠にある神殿に向かう前、バツから打ち直した剣を受け取った。

 レイは剣を持ち、その軽さに驚きを隠せなかった。


「軽い。この剣を使いこなせるようにしないと」

「私にも持たせてください」


 アモルに剣を渡した。


「本当に軽いんですね。私の剣と比べて、本当に軽い」

「バツ、ありがとう」

「たった2日しか、鍛えていないから、まだまだだからな。あと、砂漠を渡るなら、砂上船だそうか?」

「ボクが前、砂上船に乗ったことがあるから、大丈夫です」


 そうルキスが言った後、レイたちはバツにお礼を言った。渡るために必要なものを揃えて、砂漠に向かった。

 砂漠に近づくことで地面に大きな石が少なくなり、石は小さくなり、それと同時に砂が増え、広がっていく。砂漠の入り口に立つころには石はなくなり、砂だけが残っていた。そして、砂を上げ風が吹いていた。


「服の中に砂が入るから、そろそろマントを着た方がいいね」


 村で揃えたマントを着た。ルキス達は同じ色のマントだったが、レイだけはアモルに勧められた黄色のマントだった。

 周りを見渡すとバツが言っていた船を見つけた。その船は小帆船であり、その名の通り、帆で風を受け、砂の上を進む船だった。


「ルキスが運転できるんだよね?」

「そうだよ。帆を張って、遺跡に向かおうよ」


 ルキス達は船に乗り込んだ。そして、帆を張り、目的地である遺跡へと向かった。


****


 ルキスはロープを器用に操り、船を進ませていく。

 レイはあることに気付いた。


「今向かっている遺跡って、どこにあるかは見当ついているの?」

「ツバサは砂漠にあるとしか言っていませんでしたね」


 レイの疑問にアモルが答える。それに対し、アスラから楽観的な答えが返ってきた。


「まあ、大丈夫だろ。そのうち着く」

「大丈夫なのか?」


 レイが心配そうに言うとそれに応えるようにルキスのリトスが輝きだした。そのことについて、アモルがルキスに尋ねた。


「この光は何ですか?」

「もしかしたら、遺跡の場所を示しているかもしれない」


 帆を操り、船を右方向に進むようにした。するとリトスの光が弱まった。ルキスがそれを確認すると進行方向を左にすると最初に輝いた時より、少し輝きが強くなった。


「やっぱり、進行方向によって、輝き方が変わるね。この光を頼りに進んでいこう」


 リトスの光を頼りに進んだ結果、無事に目的地である遺跡にたどり着いた。

 遺跡の扉は閉まっていたが、鍵は掛けられていなかった。レイたちは扉を開け、中へと入る。中には地下へと続く階段があるのみだった。


「これは行くしかないね」


 今までのことから、何かはあることは確実だった。一行は覚悟を決め、階段を下りる。

 そこは回りには水が広がっていた。


「地下に水があるということはこの遺跡の近くにオアシスがあるかもしれませんね」


 周りを見渡すと小船があった。地上で使った小帆船ではなく、パドルで漕いでいくタイプだった。ちなみに船に固定されている櫂をオール、固定されてない櫂をパドルという。


「この船に乗るしかないね。とりあえず、周りを探索しよう」

「そうですね」


 レイの言葉に賛同し、船に乗り、周りを探索することにした。


「まさか、あのときの経験が生きるとは思わなかったぜ」


 アスラはパドルを手に持ち、漕ぎながら、そう言った。ボースハップンの時に船に乗ったときに漕いだ経験があった。

 先に行けそうな道を探しながら、奥へと進んでいた。しかし、突如水面から何かが出てきた。それは魚の魔物だった。


「みんな、伏せろ」


 アスラはそう言い放ち、全員身を伏せた。魔物の攻撃を躱した。


「俺がやる」


 レイは魔術を発動させるために詠唱し、3発の風弾を作り、それを圧縮し、水面に向かって、撃ち込んだ。


「風よ。小さき弾となりて、敵を貫け。真空玉」


 放たれた3発の小さな風弾が水面を襲う。真空玉は風弾を圧縮し、貫通力を上げた魔術である。

 水面に放たれた風弾は見事魔物を撃ち抜き、死体が水面に浮かんだ。


「新しい魔術が使えるようになったんだね」

「うん、これ以外にあといくつか覚えた。先に進もう」


 先に進んだレイたちは分かれ道を間違え、行き止まりの方にも行ったが、引き返し別の道を進んだ。その途中、魔物に襲われたが、撃退していく。そして、大きな扉がある部屋にたどり着いた。


「今までの経験からこの奥にボスがいるね」

「そうなのか?」


 ルキスとレイがそんな会話を交わしながら、扉を開け、中に入った。

 部屋の中央には正四角形の窪みがあり、そこには水が溜まっていた。それはまるでプールだった。ただ、プールと違うのは窪みの中に正四角形の柱が縦に2、横に2、合計4つの柱が均等に置かれていた。

 しかし、そこには今までとは違うことが起きていた。


「おかしいね……」

「何が?」

「今まで、奥の部屋に行けば、魔獣がいたのにそれがいねー」


 アスラがそれを説明すると柱に向かって跳び、足を着けた。

 柱に立つと水の中から、透明の何かがアスラの足に向かっていた。レイはそれに気づき、叫んだ。


「アスラ!そこから離れて!」

「おう」


 しかし、間に合わず、足を掴まれてしまった。

 アスラは空中で回され、壁に叩きつけられた。

 そして、水から出てきて、正体を現した。彼の足を掴んだものの正体は水で出来たスライムだった。スライムの中には赤い核があった。


「いてーな、オイ!」


 アスラの右腕がなくなり、黒い装甲へと再構築させる。その背には水色の片翼が3枚あった。壁に叩きつけられたことを利用し、フィデスを発動させたのであった。


「あの腕はいったい?」

「あれがアスラのフィデスです」

「いくぜ!」


 スライムは触手を勢いよく、アスラに向かって叩きつけようとした。アスラはそれに向かって、闘気を込めた拳で殴りつけた。アスラの拳は触手を貫くが、相手がダメージを負った様子は無かった。

それどころか、拳が水の中に埋まり、捕まってしまった。


「離しやがれ!」


 左腕の拳で触手を攻撃したが、同じように捕まってしまった。

 スライムは水の中に引っ張るが、アスラは足で堪える。


「天撃」


 アモルは直接、スライムの核を攻撃する。スライムの体に命中するが、核が移動し、避けられていた。


「どうやら、核は水の中を自由自在に移動できるみたいですね」

「それなら、物理ではなく、魔術などで攻撃しないといけないね。レイ、フォルテに変身だ!」

「それはダメだよ」

「なんで!?」

「フォルテは魔術を使えないんだ」


フォルテはマナを体内に取り込めない体質のため、魔術による遠距離攻撃はできなかった。このことから、レイはフォルテに変身しなかった。


「それなら、ボクとレイの魔術だ。痺れろ、ライトニング」

「風よ。小さき弾となりて、敵を貫け。真空玉」


 レイは圧縮された風弾を。ルキスは雷を放つ。

 雷は外れたが、風弾は核が動かず、かすった。アスラは触手を振りほどき、距離を取った。


「惜しいです。レイ」

「気づいた?」

「うん」


 ルキスとレイはスライムのあることに気付いた。それを利用するためにアスラとアモルにルキスは指示した。


「アスラ、倒す方法を思いついたから、もう少し相手をよろしく。アモルはボクたちが天術を当てられるようにするから、準備をお願い」

「分かりました」


 アスラはスライムの相手をし、アモルは天力を右腕に集中させる。レイとルキスはマナを取り込む。詠唱し、魔術を発動させる。


「風よ。矢となりて、敵を貫け。風の矢」

「鳴り響け、ライトニングボルト」


 レイの魔術、風の矢はその名の通り、風で作った矢であり、それはホウガンの矢のように腕に着いていた。風の矢は真空玉と比べ、貫通力は下がっているが、その代わり命中しやすいようにした魔術である。

 ルキスの魔術、ライトニングボルトはライトニングより、大量の雷を生み出し、両手の間に集まっていた。


「レイ、タイミングを合わせてね。アモルはレイと同じ時に撃って」

「分かった」

「分かりました」


 レキスは雷をスライムではなく、水に向かって放った。水は雷を流し、その中にいたスライムを痺れさせ、動きを止めた。その隙を狙い、風の矢と天撃が放たれる。風の矢はスライムのコアを貫き、天撃は直撃し、魔獣を倒した。

 コアは肉塊みたいになっており、光始め、レイたちに忠告してきた。


「天海の水鳥が起きれば、どうせ消える」


 そう言い放つと橙色の球へと変化した。それをルキスが拾い、今の言葉について考える。


「『天海の鳥が起きれば、消える』。それで前の魔獣が言っていたのが『ここがどういうところかわかってない』。やはり、ここは普通とは違いそうだね」

「何が違うんだ?」

「それは分からないけど。このまま、球を集めるんじゃなくて、この島がどういうところか知るべきだと思う」

「どう調べるつもりですか?」

「ツバサに聞いた方がいいと思う。あの狐が俺たちを目覚めの使者と言い、天海の鳥を目覚めさせることが俺たちの使命と言っていた。ならさ、真実はツバサが知っているはず」

「そうだね。真実を聞きに行こう」


 レイはルキスに意見を言う。この島に来てから、ルキス達はツバサに導かれた。この島の真実をツバサは知っているはずだった。今までの行動から、ツバサは次の向かうところを伝えるためにこの遺跡の入り口に待っているはず。

 ルキス達は4つ目の球を手に入れたことの報告とこの島の真実を聞くために遺跡の入り口へと戻った。


****


 予想通り、船の先頭にツバサがいた。ルキスは球を見せ、単刀直入にこの島について、聞いた。


「これがこの遺跡で手に入れた球だよ」

「これだね。じゃあ、次向かうところは……」

「その前に聞きたいことがあるんだけど」

「何が聞きたいの?」

「この島について」


 ルキスがそう聞くが、帰ってきた答えは前と同じだった。


「ここはドレムだよ」

「そういうことじゃあなくて。ここは何か違うような気がするんだよ。魔獣も気になることを言い残すし」

「この島の真実が知りたいのかい。この先にある神殿に行くといいよ。そこに真実がある」

「分かった」


 ツバサにどこかに飛んで行き、ルキス達は船に乗り、先にあるという神殿に向かった。

 魔物の襲撃はあったものの無事に神殿までたどり着いた。


「ここだね」


 ルキス達は神殿の扉を開ける。中は奥に扉があり、中央には3つの台座が並んでいた。レイを除く3人はその光景に見覚えがあった。


「似てねーか。2つ目の場所の最後のところに」

「そうなの?」

「なら、あの時みたいにすればいいのかな」


 ルキス、アスラ、アモルはそれぞれ台座の前に立つ。あのときみたいにボタンはなかったが、試しに手を置いた。すると台座が光り、奥の扉が開いた。


「奥に進みましょう」


 奥の部屋には1つの石碑があった。ルキス達は書かれていた内容を読んでいく。そこには信じられないようなことが書かれていた。



 これを見た者に真実を語る。

 この島ドレムは現実にはなく、夢の世界にある島である。

 夢人という種族の力を利用し、世界という夢を作っている。

 この島も人も山も海も空も全てが作り物である。

 悪意あるものが天海の水鳥を利用し、この世界を作った。

 悪意あるものは討ち、永き夢から解放を。

 願わくば、使命を果たすものに真実を。



「にわかには信じられませんね……」

「信じられないよ……。確かにこの島で生きている人はいるのに……。それが作られたなんて……」

「とりあえず、入り口に戻ろう。ツバサに使命について、聞こう」


 ルキス達は神殿の入口へと戻る。そこにはツバサの姿があった。


「君たちが知りたかった真実だよ」

「なんで、こんなことになったの?」


 ルキスはこの世界について、聞いた。なぜ、こんな世界を作ったのかを。


「知っているかは知らないけど、昔大きな戦争があったんだ。神と神が争う戦争が。その戦争に5人の英雄たちが力を合わせて、戦ったんだ。」

「もしかして、神界大戦ですか?」

「そんなふうに呼ばれているんだね。この世界にいると現実の世界の情報がまったく入らないんだ」

「そうですか」

「相手側の神には天使と呼ばれているものがいて、神界大戦でその1人と戦ったんだ。天使の名前はプロキオン。プロキオンと戦ったのが夢人の英雄ピラトと魔人の英雄ギオンなんだ」

「ギオンさんが!」

「おじさんが!」


 ツバサの口から、ギオンという名前が出るとルキスとレイは驚いた。まさか、その名前が出てくるとは思っていなかったからである。


「ギオンを知っているのかい?」

「ボクの尊敬する人だよ」

「そうなんだ。2人はプロキオンに止めを刺そうとしたときにプロキオンはある術を発動した。それは自分の身を氷に変え、対象を凍らせて、封印する術だった。そして、ピラトが封印された」


 ツバサはまるで自分のことのように語っていく。


「天海の水鳥はこの封印の様子を見に来て、そのときに封印の中に取り込まれてしまったんだ」

「そもそも、天海の水鳥は何者なんだ?」

「天海の水鳥とは君たちの世界にいる水の神アクアだ」

「水の神アクアのことだったですね。神様がいなくなっても私たちの世界に影響はないんでしょうか?」

「さっきも言ったように外のことがまったく分からないから、答えようがないんだ。でも、君たちが来たということは今のところは大丈夫だと思う」


 レイたちは目覚めの使者の使命をなんとなく分かりかけていた。


「つまり、ボクたちの使命って、神を助けること?」

「そう、この夢の世界を終わらせて、神を元の世界に戻してほしいんだ。つらいことだろうけど、君たちにお願いするしかないんだ」


 ルキスは葛藤した。この世界には友達と言えるラブルがいた。夢の世界を終わらせるということは彼女に2度と会えないことを意味していた。

 しかし、終わらせなければ、現実の世界が救われない。

 どうすればいいのか迷っているとき、ラブルの言った言葉を思い出した。『お互いのことを忘れない』という約束の言葉を。その言葉で決心した。


「分かった。この世界を終わらせるよ」

「決心してくれて、ありがとう。残りの球はあと2つ。それらを集めてほしい」

「今、集めている球って、何なの?」

「それは六情球といい、それぞれに喜、怒、哀、楽、愛、憎の感情が詰まっているんだ。プロキオンは神から感情を奪い、動けないようにしているんだ」

「この球が封印の鍵になっているんだね」

「そうだよ。次の向かうところはこの先にある大きな湖。その湖の真ん中に次の球があるんだ。頼んだよ」


 ツバサを飛びだった。ルキス達はこの神殿で休み、明日湖に向かうことにした。


 真実を知るが、足を止めない。世界を救うため、英雄たちは歩き続ける。


気になることがあれば、教えてください。

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