ドレム・目覚めの使者
第5世界では様々な種族が住んでいる。それは大陸によっては異なる進化をし、別の種族になっていることさえもある。例としては今冒険している大陸では獣人という種族がいるが、別の大陸では激しい戦いがあったことで獣人は常に獣化するようになり、人の姿ではなく完全な獣の姿を得ることで戦闘力をさらに上げ、怪獣人へと進化した。
また、一般には知られていない種族も存在している。知られていない理由はその大陸ではその種族が全滅しかけている、数が少ない、ほかの種族から隠れている、ほかの種族と間違えやすいなどが原因である。
前回のあらすじ
レイが優勝という結果でゲーム『ボースハップン』が終わり、レイたちは日常に戻る。しかし、リトスが光ったとき、新たな場所に移動し、次の物語が始まることになる。
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ボースハップンで優勝したレイとミラは賞品について、相談した。その結果、賞金100万リラを受け取ることにした。もう1つの商品である聖印は1つしかもらえないため、分けることができるお金を選んだ。
50万リラずつ受け取り、レイはアモルに借りているお金を返し、貯金することにした。ミラはそのお金で服などを買うことにした。
都市ソルムのある宿屋の一室に魔術師が集まっていた。その魔術師は魔術師連盟に所属しており、指導者の地位にいた。さらにその指導者たちはマーティス、クリム、トリミニエオスから1人ずついた。
マーティスからはシュガー、クリムからはフラース、トリミニエオスからはアルトであった。同じ機関の指導者が集まることは珍しくなかったが、違う機関から集まることはあまり見られない光景だった。
そして、シュガーが口を開いた
「俺たちがこうして集まるのはなかなかないな」
「確かにね。特にトリミニエオスは見かけないからね」
「いやー、チクスの魔術師も珍しいと思いますよ。フラース先輩」
自分たちが集まることの珍しさを口に出していた。この3人が集まって、やっていることがあった。
それは。
「フラン、お前の番だぞ」
「あと5マスで結婚できる」
「フラース先輩が一番ビリですね」
「頑張ってください。フラースさん」
人生ゲームだった。シュガー、フラース、アルト、スノウの4人で人生ゲームをしていた。スノウはゲームで3位になったことで賞金をもらうことができたので、人生ゲームなどのゲームできるものを買い、みんなで遊んでいた。
「よし、6マスだ。結婚できた。みんな、お祝い金ちょうだい」
「次は俺だ。4マス、また子供ができた。5人目だな」
シュガーの馬車ゴマにはすでに自分、奥さん、子供が4人の人物ピンが差さっており、もう差せる場所がなかった。
「仕方ない。子供には2台目の馬車を運転してもらうか」
「生まれたての子供に運転させないでください」
「これは試練だ。これから厳しい人生に生きていけるかのな」
シュガーはアルトに注意されてしまった。シュガーとアルトはフラースと同様、最初から仲が良さそうに話しており、スノウがそれを見ていた。そして、どんな関係かが気になり、聞いてみた。
「師匠とアルトちゃんって、どんな関係なんですか?」
「それはな」
「ちょっと待ってください、シュガーさん。スノウ、私は15歳であなたと同じくらいの年。だけどね、私はオイサースト家の魔術師で魔術師連盟トリミニエオスからケイモーンの称号をもらっている。簡単に言えば、シュガーさんやフラース先輩と同じ地位なの。それを頭に入れておいてね」
「わかりました、アルトちゃん」
アルトは自分が如何にすごい魔術師なのかをスノウに伝えた。だが、それがスノウに伝わっている様子はあまりなかった。シュガーが先ほどの続きの話を話し始めた。
「アルトとスノウは年が近いから仲良くな。俺とアルトの関係は元部下で今は同志だ」
「そういえば、そうだったね」
「俺は魔術師連盟で異世界を研究している時にアルトと出会った」
「師匠は魔術を悪用する人を捕まえるのが仕事ではなかったんですか?」
「それは研究や私用で外に出て見つけたら、取り締まるようにしている。あとは連盟から依頼があった時だな」
「それなら、安心です」
シュガーの話を聞き、スノウは安心していた。またもや、話がさえぎられてしまったが、話を再開する。
「アルトと話したら、気が合い、アルトが研究室に入ってきた。そして、2年ぐらい過ぎたら、トリミニエオスからケイモーンの称号を授かり、そちらに籍を移した。今は同じ目的で力を合わせている」
「それは私も聞いたことがないなー。なにそれー」
「俺とアルトの目的は究極魔法に至ることだ」
シュガーは前レイたちに瞬間移動という魔法を究極魔法にすることが目標と言っていたが、アルトも同じ目標を持っていた。これには訳があった。
「オイサースト家は魔術師連盟を作ったグノシー家を懇意にしていました。その当時の当主であったグノシー家の魔術師は究極魔法まで至ったと言われています。グノシー家が至った境地に私も入りたいんです。だから、究極魔法を習得したいんです」
「グノシーって、どこかで聞いたことがある気がするんだけどなー。思い出せないなー」
「お前が聞いたことがあるのはフェアシュタント・ホーラー・グノシーだろう」
「それだ、フェアちゃんだ」
シュガーはフラースの思い当たる人を言い、スノウがその人について尋ねる。
「師匠、そのフェアという方はどんな人なんですか?」
「フェアは魔術師連盟を作ったグノシー家の魔術師でトリミニエオスからホーラーの称号を授かっている。そして、数少ない瞬間移動の魔法が使える魔術師だ」
「すごい方なんですね」
シュガーたちは話を続けながら、ゲームも進めていった。そして、ゲームの結果が出た。
「やっと、フラースもゴールしたな」
「フラース先輩、遅いですよ」
ゲームの結果はシュガーが1位、アルトが2位、スノウが3位、フラースが4位になった。
「シュガーさんって、ほぼ毎回無職から始まるのによく勝ちますね」
「無職が金を拾ったり、家などを買えたりしているからな」
「ドベは私だね。シュガーちゃん、服を脱げばいいの?」
「なんで、そうなる?」
「負けたからだよ。負けたら、罰ゲームでしょう」
「罰ゲームは思いつかないから、また今度だ。次のゲームを始めよう」
シュガーはトランプを手に取り、次のゲームを始めようとした。その瞬間。
「なんだ」
何かが消えていくことを捉えた。
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違う部屋でルキスとアモルとレイが集まっていた。そこでルキスは頭の上に鉄球を浮かべながら、フィデスに目覚めたことを話していた。
「ボクのフィデスはね、磁力だよ。キルトから教えてもらった回転の技術も合わせることで幅広く使える能力だよ」
「これで俺も含めて、フィデスが使えるようになったのが3人になったね」
「フィデスが使えるようになるには何かしらの条件があるんでしょうか?」
レイたちはフィデスが使えるようになった時のことを思い返していた。
「俺がやられそうになった時に自分の中で声が聞こえてきて、それを言うことで使えるようになった。」
「ボクのときは鉄球を落ちた時にそれを拾おうとして、使えるようになったよ」
「ミラから、聞いた限りではシュガーの危機に目覚めたと聞いています」
「まとめるとピンチの時に目覚めているね」
3人がフィデスを目覚めた時に共通していることが危機になっていることだった。
レイは魔物に自分がやられそうになったとき、ミラはシュガーが襲われたとき、ルキスは鉄球を落としそうになったときだった。
ルキスは自分が目覚めた時の事を疑問に思い、それを口にした。
「ボクが使えるようになったのは2人に比べて、軽い危機だよね」
「それはルキスのフィデスが磁力だったから、目覚めたんじゃない?」
「考えても答えは出ないと思います。とりあえず、共通していることが何かしらの危機だということが分かっただけで収穫だと思いますよ。それとルキス」
アモルは真剣な顔をして、ルキスにあることを尋ねた。
「なに、アモル?」
「フィデスに名前はあるんですか?」
「いや、ただ磁力と呼んでいるけど」
「それなら、名前を3人で考えましょう。いいですよね?」
「別にいいけど」
こうして、アモルたちはルキスのフィデスに名前を考えることになる。10分程度、それぞれで考え、それを発表した。
「レイ、ルキス。考え付きましたか? それではレイから発表と同時に理由もお願いします」
「マグネティズムでどうかな。磁力という意味を持つんだ」
「私はガウスです。これは磁力の単位だったはずです」
「ボクは思いつかないね。今まで磁力って、呼んでいたから。でも、アモルが言ったガウスって言葉がピンとくるし、ボクのフィデスは磁力って呼ぶことにするね」
「それはよかったです」
そう話していると3人のリトスに突然光輝いた。
「なんだ、この光は?」
レイたちはその光に驚いていたが、光輝いているリトスの光が収まる様子は無かった。それどこか、光はますます強くなっていく。その光はやがてレイ、アモル、ルキスの体を包み込んでいた。
光輝くことが収まったとき、部屋には誰の姿もなくなっていた。
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ミラはリアマにあることを相談していた。
「なあ、リアマ」
「なんだ」
「ゲームで勝って、賞金を手に入れたんだよ。このお金で服や魔具などを買おうと思っているんだけど、誰に相談するのが一番だと思う?」
「服のことは知らんが、魔具ならシュガーがいいと思うぞ」
リアマが言った『服のことは知らん』という言葉がミラの中で引っ掛かり、服はどういうところで買っているのかが気になった。そのことをリアマに聞いてみた。
「リアマって、普段服とかはどうしている?」
「オーダーメイドだな。それかシュガーやメイドが買ってくることもある」
「シュガーが買ってくることもあるのか」
「ああ、昔は下着も一緒に買ってきていたぞ。」
シュガーがリアマの服を買うことを珍しそうに思った。そして、次に言った下着も買ってきたということを聞き、ミラのツッコミが爆発した。
「なんでだよ」
「つい癖で、らしい」
「どんな癖だよ。セクハラするのが癖になっているのかよ」
「私もそれを疑問に思い、シュガーに聞いてみたんだ。そしたら、こんな風な答えが返ってきた」
リアマは昔シュガーから聞いたことを思い出しながら、話し始めた。
昔、獣人は最低限の服しか着ないで生活をしていた。
その生活を見た神は服を与えた。
このことを獣人は感謝した。服をあげるときはくれた神と同じようにした。
話を聞き終わったミラはなぜ下着を贈る習慣ができるのだろうかと考えた。そして、その予想を思いついた。
「なんで、そんな昔話から下着をあげるようになるんだ? まさか」
「ミラ、おそらくお前の想像通り、神が与えた服の中には下着もあったと言われている。獣人はこのことから、服と贈るときは下着も一緒に贈る習慣があるとシュガーから聞いた」
「変わった習慣があるんだな。竜人にはほかの種族と比べて、変わった習慣があるのか?」
「分からんな。竜人にとっては当たり前のことが、ほかの種族から見れば、変わっていると見られているかもしれないしな」
リアマから獣人の変わった習慣があるということを聞いた。そして、今度はリアマからミラに質問した。
「ミラ、お前のフィデスは確か種族の独自の力が使えることだったな?」
「そうだけど」
「ゲームの時に霊人という種族に会った」
「聞いたことがない種族だな」
「私も直接見たわけではないが、シュガーから聞いた限りでは数がかなり少なく珍しい種族らしい」
ミラはリアマが何を伝えたいのかが察し付いた。
「霊人の独自の力を使うことができるようになれば」
「そうだ。そうすれば、お前は強くなれる」
「霊人の独自の力は何なんだ?」
「そういえば、シュガーから詳しくは聞いてないな」
「まあ、そういう種族がいると分かっただけでも収穫だよ。リアマ、ありがとう」
「いや、礼には及ばん。それと」
リアマはミラのフィデス七力理解のことに聞きたく、さらに質問を重ねた。
「ミラのセブンスタンドって、なんでセブンなんだ?」
「このフィデスが最初に発動したとき、私の中で7つの力を感じたからだ。シュガーはこの7つを魔力、竜力、闘気、魔眼、翼力、天力、異能力だろうとは言っていたが」
「このままなら、数字が増えるんじゃないのか」
ミラは前にレイにも同じような指摘をされていたが、この出来事のことを地味に気にしていた。
「そうだな。やっぱり、数字はやめた方がいいのかな」
「現に7つとなっていたのに1つ増えようとなっているからな」
「リアマ、私と一緒に新たなフィデス名を考えてくれ」
「任せろ」
リアマとミラはミラのフィデスである七力理解に変わる新たな名称を考えることになった。
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砂浜にある少女がいた。その少女の姿は明るい栗色の髪で深い青眼であり、名はラブルという名前だった。彼女は砂浜から島の外である海を眺めることが好きだった。
ラブルは砂浜を散歩していると倒れている人を見つけた。
「大丈夫ですか?」
そう心配そうな顔をしながら、言ったが、心ではほんの少しドキドキしていた。言葉を掛けたが、返事しなかった。胸に手を当て、生きているかを確かめ、心臓を動いていることを確認した。
その人は気絶しているだけだと思い、村にある自分の家まで運ぶことにした。
倒れている人の姿は桃色の髪で紫眼だった。それはルキスだった。
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ルキスは背に固い感触を感じながら、目を覚ました。
「あ、目を覚ましたんだね」
「君の名前は?」
ベッドから体を起こしながら、ルキスはそう尋ねる。
「私の名前はラブル。あなたの名前は?」
「ボクの名前は人のルキス・ペリペティア。助けてくれて、ありがとう」
「ルキスはどうして砂浜で倒れていたの?」
「さあ、それはボクにも分からないんだ」
しかし、ルキスはある程度予想はついていた。ここに移動した原因がリトスから放たれた光だということは。
「とりあえず、外から来たのは間違いないんでしょう?」
「ここはなんていう町なの?」
「ここはドレムという島で村の名前はルジオだよ」
「そうなんだ」
ルキスはその島の名前は知らなかった。そして、自分しかいないことに気づき、そのことでラブルに尋ねる。
「ボクが倒れていた砂浜にはほかに倒れている人はいなかった?」
「ルキス以外はいなかったけど」
「ボクを助けてくれて、本当にありがとう。仲間を探しに行かなくちゃ」
ルキスは立ち上がり、足を床に着ける。家から出ようとした瞬間、ラブルに声を掛けられた。
「最近、魔物の活動が活発しているから気を付けて。あと、また来てくれる?」
「もちろん、また遊びに来るよ。そして、魔物はボクがどうにかするよ」
「できるの?」
「もちろん、なんだってボクは英雄だからね」
そう言い、ルキスは家から出て、自分が倒れていた砂浜に向かった。ラブルでは分からなかったが、リトスを持っている自分なら何かが分かるかもしれないと思ったからである。
砂浜に着いたルキスは回りに見たが、仲間の姿はおろか何も見つけることができなかった。
「困ったな」
ルキスがそう言っているとある姿が現れた。それは狐の姿をしていながらもその背からは翼が生えていた。その姿は幻想的であり、それは空からやってきた。
その狐はルキスに話しかけてきた。
「君たちが使者なんだね」
「使者?」
「そう。ここから出るためには目覚めさせなくてはいけない。君たちは目覚めの使者なんだ。ルジオの北にある森まで来てくれ」
狐はルキスに一方的にそう言い、翼で飛んでいった。
ルキスは他に手掛かりもないため、狐の言うことを信じ、北の森に向け出発する。
狐から目覚めの使者だと聞かされたルキス。彼はどのような物語を迎えることになるのだろうか。そして、この物語を経て、あることを知ることになる。
感想・アドバイスをよろしくお願いします。




