序章
初作品です。
文章力は乏しいですがなるべく見やすく書きますので是非一見を!
こんにちは。
突然ですが皆さんはこの世に妖怪が存在すると信じていますか?
存在してほしいと思いますか?
話してみたいと思いますか?
僕は・・・
可愛い妖怪ならちょっとだけ会ってみたいなぁなんて思っています。
おっと、自己紹介がまだでしたね。
はじめまして。僕の名前は"守谷 彩斗"
と申します。
公立の風街高校に通う一年生。部活は考古学研究会に入ってます。
さて、最初になぜあのような質問をしたかというと、
その原因は今いるこの考古学研究会の部室で僕の前に座るこの人・・・
「そもそも妖怪ってのは日本の歴史とは切っても切れない存在な訳。 一部じゃ妖怪とともに繁栄して行った村や町なんかもあるって説もあるわね。 いやむしろこれは決定的な事実よ。 でもなんでその妖怪たちは今あたしたちの住む日常には存在しないわけ? いや確実に存在してるわ。 人間より生命力の高い妖怪たちが簡単に滅ぶなんてありえないもの。 つまり妖怪たちは未だ存在しているがあたしたちの目の見えないところに潜んでいるっていうのが・・・」
この饒舌に話しまくる人は考古学研究会の部長にして僕以外の唯一の部員。
風街高校2年生の"怪越 沙奈江"先輩である。
ほんとよく舌噛まないなこの人
「彩斗聞いてる??あんたが妖怪とかに理解を示さないからご丁寧に説明してるんでしょ?」
「いや僕は考古学とその妖怪とかって関係あるんですか?って聞いただけで」
「ありますうう!人の繁栄と妖怪の関係はこりゃもう親密に絡みついてるわ。いい、あたしはね?広い観点でものを見てるの。あんたみたいな歴史バカとはわけが違うのよ。」
「歴史バカって・・・ だいたいこの部活って考古学研究会ですよね?でもやってることは妖怪の研究だったり怪談スポットへ出向いたりっていう事ばっかやってるじゃないですか。僕なんか友達から 「なに?お前そっちの道に目覚めちゃった系?」 とか言われてるんですよ!」
「あらいいことじゃない。一緒にそっちの道に目覚めちゃいましょ」
この人はほんと・・・
この沙奈江先輩はいわゆる妖怪マニア。
妖怪の知識は半端じゃないし妖怪と会うためにあらゆる行動をする学校のちょっとした有名人です。
最近ではそれに振り回される僕も少し噂されてきているとか・・・
「さぁそれはそれとして、歴史バカくんに人と妖怪との関係をご丁寧に教えてあげたんだから一つくらいあたしのお願いを聞きなさい」
唐突に沙奈江先輩は言う
「えぇ・・別にお願いしたわけじゃ・・・」
「借りを作ったあんたに拒否権はなぁい。ってなわけでお願いっていうのはね、またとある場所で調査をして欲しいのよ」
この沙奈江先輩のお願いというのは今までも何度かあった。
内容は簡単に言えば心霊スポットへ行って写真を撮ってこいというものである。
「わかりましたよ・・・で、今度はどこへ行ってこいって言うんですか?」
「よろしい。この前教えた人ならざるものが好む場所トップ3を言ってみなさい」
「えっと、山、洞窟、夜の学校でしたっけ?」
「ひゅー。正解。今回行って欲しい場所はね、深夜のこの風街高校よ。幸いにも今日は金曜日。深夜まで起きてても翌日休みだから大丈夫っしょ」
「いやいや、それなら先輩が行けばいいじゃないですか!先輩の方が家から近いですよね!?」
「だめよん、あたしは彼ピッピと泊まりデートの約束があるもの」
チッ...
心の中で思わず舌打ちをしてしまう。
こんなジャイアニズムの結晶で妖怪マニアの変人に恋人がいてリアルを充実しているという事に少し憤りを感じる。
ちなみに僕は彼女はいません。はい。
「というわけで私は忙しいのであんた一人で行きな!わかったか独り身。」
「はいはいわかりましたよ。独りで行きますよー。」
「よろしい。ほんじゃ今日の部活はこれにて解散!あ、これカメラね。ちゃんと鮮明に撮ってこいよ?お前言っとくけど日付とか諸々で嘘の申告してもバレるからな?あとカメラ壊すなよ?じゃ、あたしはデートがあるから帰るぅー!きゃぴ!」
そう言って先輩はカメラを僕に押し付け、カバンを持ち早々と部室から去って行った。
慌ただしいのがいなくなり、部室には一変して静かな空気が訪れる。
「はぁ・・・」
僕は思わず深いため息が出てしまうのを抑え切れなかった。
「僕も帰ろ」
現在の時刻は午後5時をまわったところだ。深夜までまだまだ時間がある。
なのでとりあえず家に帰り仮眠をとり夜に備えることにした。
カバンを手に持ち部室を出ようとしたところでふと気がつく。
そう言えば夜の学校ってどうやってはいるんだ?
なんて事を疑問に持ったその瞬間
ブッーブッー
沙奈江先輩からLINEが入る
"ちなみに放課後の学校に入るには裏門をよじ登って入ってね!
男子高校生の平均的な筋力があればいけるっしょ!
ばい!"
とのことです。
果たしてガチガチの文化系の僕に男子高校生の平均筋力はあるのか?
・・・ないだろうな。
数時間先の気だるい用事を考えたら体が重くなる。
そんな重くなった体を動かし、僕は部室を後にする。
この時の僕はまだ知らなかった
この先輩に押し付けられた仕事から始まる−機械仕掛けの魔人と妖怪の物語−を。