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まさかミケ猫 習作短編・中編

最強の金運を持つ男をつかまえた

 いつの世も流行り廃りはあるものだが、途切れることなく人々の関心を寄せる事柄もまた存在する。

 例えば『占い』なんていうのもその一つだ。



 今日もまた、週刊紙『占い女子』を食い入るように読みながら会社のデスクで昼食をとる一人の女性がいた。


「今週は薄いピンク、ワンポイントで黒を入れる、か……あとでアクセ買いに行かなきゃ」

「先輩、合コンでも行くんすか?」

「明日ね。いい男いないかなぁ」

「俺、先輩ならドンと来いっすけど」

「あんたは金運が貧弱すぎる」

「あはは、否定できないっす……」


 後輩は優しくて顔もいい男だ。

 しかし、なにぶん金運がなさすぎた。


 これは、単に占いの結果だけではない。

 彼の親は自営業者だが、薄利多売の自転車操業。

 頭は良かったため国立の大学へ進んだが、学費は奨学金で賄うしかなく、社会人になった今でも月々返済をしている。


「最近また実家への仕送り額が増えたんすよ」

「大変ねぇ、親に脛かじられるなんて」

「いや、大学まで出してもらいましたし……それに俺、オヤジの作る和菓子好きっすからね」

「継げばよかったのに」

「『後継ぐなんて考えねぇで好きなことやれ』なんて言う親なもんで」


 彼女できるのは当分先っすね、と苦笑い。

 それでもあっけらかんと頬をかくだけの後輩を見ながら、やっぱりいい奴止まりね、なんて事を彼女は考える。


 彼女の親はサラリーマン。

 後輩の言うことはいまいちピンと来なかった。



 そして翌日。

 合コンへと繰り出した彼女は、彼女の運命を変える男と出会った。


「初めまして」


 彼女の目の前にいたのは、パッと見そこそこの男。

 ただ、そんじょそこらの男とは訳が違った。


「僕、けっこう金運が良いみたいで」

「そうなの?」

「耳とか手相とか、僕はそこまで詳しくないけどね」


 彼が隣に座ると、話の流れで運勢の話になったのだが。

 彼はもうものすごかったのだ……主に金運が。


「……あ、耳大きい」

「福耳っていうのかな、昔はコンプレックスだったけど」

「そんな、いい耳よ。耳たぶも風門も大きいし、ホクロまである」


 週刊紙『占い女子』で少し前に金運特集があった。

 彼女はそのページを思い出していたのだが……


 目の前の彼はその条件をことごとく満たしていたのだ。


 耳だけではない。

 鼻の下や眉毛、眉間のシワからホクロの位置にいたるまで、紹介されていた理想系そのものがそこにはあった。


 続いて手相を見る。


「あ、運命線も太陽線も財運線もバッチリ……」

「僕はよく分からないけど、どうなの?」

「なんというか……今までお金に困ったことない感じ?」


 はは、と少し恥ずかしそうに彼は笑う。


「こう言ってはなんだけど、両親とも医者だし……今までお金の面で困った経験はしてないかな」

「すごいじゃない」

「いや、僕がすごいわけじゃないから」


 自分の力だけで稼いでる人の方が何倍もすごいさ、なんてサラッと話す彼。

 その爽やかさに、彼女は好感を抱いた。


「よかったら、君の連絡先を――」


 彼からのアプローチに、二つ返事で連絡先を交換した。

 翌日にはデートに行った。


 そして、その日のうちに体を重ねた。



◆ ◆ ◆



 それから3ヶ月。


「まさか本当に家業を継ぐことになるなんてね」

「俺自身驚いたっすけど……まぁ、男のケジメもあるんで」

「意外と肉食だったのね」

「相手が、っすけどね」


 後輩が実家に帰省した際、従業員の中に見慣れた顔の女の子を見つけたそうな。


「従業員の中に一人、幼馴染みがいます」

「ラノベのタイトルみたいっすね」


 どうやらその幼馴染み、昔から彼を好きだったようで。

 和菓子の勉強をして、彼の実家の店で働き、チャンスを伺っていたのだとか。


「一歩間違えばストーカーじゃない?」

「親も共犯っすから」

「外堀が……」

「えぇ、重機で埋められてる感じだったっす」


 実家では普通に家族に混ざって夕飯を食べ。

 酒を飲んで盛り上がり。


 で、朝起きたら裸の幼馴染みが横でスヤスヤ、と。


「記憶は?」

「うっすらと……」


 あとはもう簡単な話。

 朝食の場で幼馴染みと母親が一緒に結婚情報誌デュクシィを読んでいて。

 父親には目を反らされた。


「……逃げられないわね」

「無理っすね」


 実は前々から家業を継ごうとは思ってたんすけどね、と。

 後輩は、いつもの苦笑いを浮かべながら、頬をかく。


「もう少し先かと思ってたけど、いいタイミングだったかもしれないっす」

「そうね……でも、あと2ヶ月で会社からいなくなるのね」

「先輩にはお世話になったっす」

「はじめから優秀だったから助かったわ」


 初めて誉められたっす、と後輩が笑顔を見せる。

 いい顔するな、と彼女は素直に思う。


「彼女、可愛いんでしょ?」

「妹みたいに思ってたっすけど……まぁ、そうっすね」

「大事にしなさいよ」

「もちろんっす」


 チクリ、と。

 胸が少しだけ痛んだ。


 彼女は気づかないフリをして、バッグを抱え会社を出た。




「ごめん、待った?」

「ううん、私も今来たところ」


 彼との付き合いは順調。

 今日は仕事終わりに、彼の案内でバーに来ていた。


「ここのオーナーの作るジンフィズは完璧だ」

「そうなんだ、それは楽しみね」

「……なんだか僕の趣味で振り回して悪いね」

「そんなことないって。それに、これでも最近は色々分かるようになってきたのよ?」


 単にお金を持っているだけじゃない。

 優しくて、面白くて、頭も良い。

 夜の相性も合った。


「そろそろ君と出会って3ヶ月か」

「もうそんなに経つのね、ちょっとびっくり」


 何度も何度もデートをした。

 仕事の愚痴も文句一つ言わず受け入れてくれた。

 気づいたら、彼なしの生活は考えられなくなっていた。


「あ、マスター、お久しぶりです」


 彼の交遊関係は広く、いろいろな場所で顔が利いた。

 それに、バーテンダーである彼は、彼女の知らない知識をいろいろと持っていて……話すたび、彼女の世界は広がっていく。

 それが楽しくて、いつも心がフワフワしていた。


「そうだ、この前財布忘れた時は、ありがとう」

「一万円くらいだし、別にいいよ」

「これ、お礼と言ってはなんだけど……」


 渡されたのは、有名ブランドの箱。

 開けると、薄桃色の財布が入っていた。

 彼女が欲しがっていたものだ。


「え……悪いよこんな……だって値段――」

「気持ちだから、値段は関係ないよ」

「う……あ、ありがとう」


 こういうことは度々あった。

 額は小さいけれど、彼女が彼にお金を貸す。

 彼はお礼としてプレゼントをくれる。


 最近は一万円単位の貸し借りになってきていたが、プレゼントもその分高価になっていた。

 投資みたいなものね、と彼女は思っている。



 彼の金運は本物だった。

 連れていってもらう店のメニューは金額が一桁違う。

 彼女の感覚では湯水のような浪費でも、彼は気にも止めず穏やかに笑っている。


 そういえば、公園でふと500円玉を拾ったこともあった。


「たまにあるんだよね」


 そう言い、彼女の手に握らせる。

 なんとなくご利益があるような気がして、彼女は財布の別ポケットにその500円玉を大事にしまっている。



 生年月日や血液型から占いの本をめくれば、『金運』の二文字が踊る。

 彼女の部屋のクローゼットには、部屋に見合わないブランド品が徐々に増えつつあった。



◆ ◆ ◆



「今までお世話になりました」


 後輩が頭を下げる。

 職場のみんなから温かい拍手が送られた。

 花束を持って退社する後輩の背中を、彼女は見送る。


 彼女の背中は端から見ると元気がない。

 課長は彼女に語りかけた。


「寂しくなるな」

「ですね……一人で賑やかな奴でしたし」

「てっきりアイツはお前に気があると思ってたんだが」

「何度か告白されましたけど、ね」

「そうか」


 振ったのは自分だ、と彼女は認識している。

 付き合って5ヶ月になる彼氏もいる。


 だから、後輩が他の女の子と幸せになることを寂しがるような権利も、もしかしたらあったかもしれない未来を想像する権利もありはしないのだ。

 そう自分に言い聞かせた。


「課長、お疲れ様です」

「……おう」


 そう言うと、彼女は会社を出た。


 今日は久々に彼とのデートの日。

 コーヒーショップで気持ちを切り替え、化粧室へ。


 最近、バーテンダーとして認められ始めたようで、仕事が忙しくて会える回数が減った。占いでも、彼の仕事運は今年一杯絶好調のようだ。

 今は彼の夢を応援する時……と、ブランドバッグからポーチを取りだし、化粧直しをする。そう言えば使っている化粧品の格も少し上がっちゃったな、なんてことをぼんやり考えた。

 週刊誌『占い女子』の恋愛運メイクをバッチリ決める。



 電車で1駅、待ち合わせ場所についた。


 彼がいた。

 けれど、彼の隣には女性が一人。

 何やら親しげな様子だ。


 彼女は嫌な予感がした。


「ごめん、待った?……と、そちらの女性は」

「後で説明するから、とにかく移動しよう」


 彼の後について行き、レストランに入る。


 女性は小走りで店員に話しかけ、人数を伝える。

 彼の隣に座り、おしぼりで彼の手を拭く。

 気持ち悪いほど彼に尽くしていた。


 彼女はなにもできず、意味もわからなかった。

 運ばれてくる味のしない料理を、機械的に口に運ぶ。

 グルグルといろいろな考えが頭を過った。



 一息つく頃に、やっと彼は説明を始めた。


「率直に言うと、君の他にも付き合ってる人がいる」


 ふざけるな、と激昂しかけ、踏みとどまる。

 ここは高級レストランで、隣のテーブルには感じのいい老夫婦が穏やかに食事をしている。

 とても声を荒げることはできなかった。


「私のことが嫌いになった?」

「いや、君のことは好きだ」

「何か不満があるの?」

「僕には勿体ないくらい、素敵な彼女だと思ってる」


 じゃあどうして、と言いかけて、彼の隣の女性が目に入る。

 女性は彼女のことを値踏みするように見ていた。


「君に失礼なことをしているのは分かってる」

「……」

「僕と別れると言うのなら、悲しいけれど止める気はない」

「そんなの――」

「――でもその前に僕の話を聞いてほしいんだ」


 納得はできないけど、とりあえず話だけは聞こう。

 彼女は彼の言葉に耳を傾けた。



 始まったのは、彼の過去の話。


 お金はあるが愛情のない仮面家族。

 そろって食事をとったこともなく、学校行事も全て独りきり。

 そんな家庭で彼は育った。


「愛情っていうのが何なのか、正直よく分からなくて……でも、君と話していると思うんだ。僕が求めていたものはコレなのかなって」


 彼はまだそれを探している途中。

 父親は複数の愛人がいることを隠しもしなかったから、彼自身もはじめは浮気を悪いことだなんて思ってもみなかったそうだ。


「弱い、みっともない男だって事は分かってる……今すぐ君に捨てられても文句は言えないだろう」


 震えた声で涙ぐむ彼の肩を、隣の女性が支える。

 女性のイヤリングが目に入る……某有名ブランド物だ。


「だけどどうか、僕に時間をくれないか」


 彼はやんわりと女性の手を退ける。

 そして、真っ直ぐに彼女を見てくる。


「君に正直に話したのは……今の不誠実な状態を必ず抜け出す覚悟を、僕の本気を見せるためだ」


 確かに、黙っていれば浮気関係を継続できただろう。

 そうしなかったのは、ある意味彼の誠実さなのだ。

 彼女はそう考えた。


「どうか、僕と君の未来のために、僕が変わるための時間をくれ」


 彼が頭を下げた。


 彼女は考える。

 今すぐ彼を捨てるか、彼に時間を与えるか。


 今すぐ捨てた場合、彼は見つけかけていた愛情を失う。

 上手くいき始めた仕事にも支障が出るだろう。

 彼女自身のことを言えば、ブランド品などの彼の金運のおこぼれもなくなる。

 独り身に逆戻りした上、次の男のあてもない。

 焦って失うのは惜しいような気はする。


「うーん……」


 逆に、彼に時間を与えた場合。

 しばらくの我慢は必要だろう。

 男の甲斐性なんて言葉はあるが、彼女自身は浮気男など願い下げだ。

 ただ、彼の場合はそれを補って余りあるメリットがある。

 上手くいけば薔薇色の人生が待っているのだ。


 勝算はあるだろうか。

 彼女はあらためて女性を見る。

 容姿は正直自分よりも少しだけ下……年齢は少し上だろうか。

 気を利かせようと頑張っているようだが、どうもやりすぎている節がある。

 なんとなく勝てそうな気がする。

 彼女はそう判断した。


「分かった。少しだけ時間の猶予をあげる」



 その後、三人でバーを梯子した。

 彼がお手洗いに立った時はどうしようかと思ったが、女性は意外に気さくな性格で、少し拍子抜けだった。

 彼をめぐる良きライバル、といった関係になりそうだ。


 いつもより酔いが回っていた。

 当然のごとく終電を逃し、その流れで三人でホテルに入った。

 生まれて初めて三人での行為をした。


 胸の大きさは若干負けたが、肌の張りと彼の反応は私の方が良かっただろう。彼女はそう思った。



◆ ◆ ◆



『――と、このように、老舗和菓子店を見事立て直してみせた新店長にお話を伺ってみたいと思います』

『いやー、恐縮っす』

『今や人気の観光スポットにまで成長した最大の要因は何だったと思いますか?』

『やはり何をおいても美味しい和菓子っすね。親父の味を妻が引き継いでくれて……私はその味をできるだけ沢山の人に知ってもらうために奔走しただけっすから』

『すいぶん謙虚なんですね』

『ウチ小遣い制っすから』

『こら、全国ネットで何言ってんの!』


 アハハ、と笑いの効果音が入る。


 何気なくつけた朝の情報番組で三年ぶりに見た元後輩は、あの頃より少しふっくらしていた。隣にいる奥さんは初めて見たが、小柄でパワフルでチャキチャキしてて――1歳になるらしい娘さんを抱っこしていた。

 幸せそうだな……と、彼女は眩しいものを見た気持ちになった。


「……何やってんだろな、私」


 布団にくるまってぼんやりテレビを見る。

 彼女の横には裸の女の子が数人転がっている。

 全員、彼の恋人だった。


 布団を這い出て、服を着る。

 彼女としては本当はシャワーで彼の体液を洗い流したかったが、今は決心が鈍らないうちに行動する必要があった。


 パンっと頬を叩く。

 手早く荷物をまとめ、リビングでコーヒーを啜る彼の元へ。


「今日で出ていきます」

「そうか……今までありがとう」


 彼女はなんとなく分かっていた。


 彼は引き留めもせず、追いかけても来ないだろうということ。

 残った子たちが彼女を敗者扱いするだろうということ。

 自分は彼の特別な存在ではなく、ただの大勢の中の一人だということ。


『今週は運命の人と親密になりやすいチャンス☆』


 彼女は駅のゴミ箱に雑誌を捨てた。

 二度と買うこともないだろう。


 彼から貰ったブランド品は、彼に貢ぐために質に入れてしまったから、他に持っているものはあまりない。

 とっくに仕事もやめて身軽になっていた彼女は、そのまま地元へと向かう列車に乗った。



 車窓からは青々とした水田が広がっていた。



◆ ◆ ◆



『月刊ゲス男 9月号 対談!素人1000人斬りの男A』



――Aさん、普段はどんな雑誌をチェックしてますか?


 そうですね、占い雑誌は特に注意して見るようにしてますよ。


――占い? 意外ですね、そんな趣味には見えませんが。


 趣味(笑)

 いえ、これはターゲット選別のための情報収集ですね。


――占いがターゲット選別に役立つんですか。


 そうですね、例えば合コンの時に「恋愛運アップ」なんて雑誌に載ってた服装やメイクをしていたら、一発で占い好きって分かるでしょう。

 そこから話を広げれば、とりあえず一発ヤれます。


――いや、占い好きってだけじゃ無理なような……


 重要なのは、占い好き女が好きそうな男の演出でしょうか。

 例えば金運最強とかね。

 この演出のためなら、僕は多少の整形や経歴詐称は厭わない……それくらい重要なポイントですね。

 他にもいろいろコツはありますけどね。


――コツですか。それはどんな?


 そこは企業秘密で(笑)

 無駄にライバル増やしたくはないですから。


――Aさんくらいになると、複数同時交際の修羅場も数多くくぐり抜けてきたかと思いますが、何かその時のコツなんかはありますか?


 そうですね……そもそも修羅場にならないようにしておく、でしょうか。


――同時交際はしない、と?


 いや、それはない(笑)

 要はバレる前にこっちから言ってしまえばいいんですよ。

 隠しているのがバレるから修羅場になるんです。


――こちらからって、難しいような気がしますが。


 話の持って行き方や場所も重要ですね。

 まず女には自分と付き合うメリットを植え付けておく。

 こちらへの依存度を見ながらタイミングを測ります。

 場所は、すぐに大声を出せないようなフォーマルな場所で。

 基本はこんなところですかね。


――それでも普通、修羅場になりませんか?


 そこは質問のしかたですかね。

 普通、『浮気を許すか許さないか』って聞かれたらどう答えると思います?


――まぁ、許さないって言うでしょうね。


 じゃあ『今すぐ僕を捨てるか、時間の猶予をくれるか選べ』と聞かれたら?

 ちなみに、別れたときのデメリットは事前に植え付けてあります。


――うーん、まぁ時間の猶予をくれる人もいるかもしれませんね。今すぐ別れるって人もいるのでは?


 感覚ですが、だいたい10人中7人くらいは猶予をくれますよ。

 3人くらいは「バカにするな」ってコップの水を引っかけられますが、まぁ散々ヤった後ですし(笑)

 去るものは追わず、も基本ですね。


――ゲスいですね(笑)


 この雑誌では誉め言葉でしょう(笑)

 ついでにその後すぐ3Pに持ち込むのが僕のパターンです。


――早すぎません?


 家に帰って少し経つと気が変わったりするもんですからね。

 冷静に思考される前に既成事実を作るのが大事です。

 ほら、人間自分の行動は正当化したいものだから。

 ヤっちまえばこっちのもん、はある程度真実ですね。


――いやー、すごいなぁ。でもそんな沢山の女性とお付き合いするにはお金がいくらあっても足りませんね。


 そこはほら、貢がせスキルでしょう。

 むしろ私はこの雑誌で学んだスキルですが(笑)


――あぁ、はじめの赤字を最終的に黒字にする奴ですね。


 それ。プレゼントを質に入れてまで貢いでくる女もいるし。

 トータルで見たらけっこうなプラスになってます。

 ある意味投資みたいなもんだけど、自分への依存度を縛れれば回収の確度はずいぶん上がりますよ。


――なるほど。では最後に……Aさんは占いって信じますか?


 昔は信じてなかったんですけどね。

 金運が最強になるように演出したら、結果的に金に困らなくなったのは事実です。

 もちろん貢がせた結果ですが……おかげで老後の蓄えが十分にできました。

 占いサマサマです(笑)


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― 新着の感想 ―
[一言]  ゲスいです・・・・・・。  話の続きがあったとしたら、とんでもないことになるのではないでしょうか。
2016/10/16 15:06 退会済み
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