かぜ
風が吹いて 帽子が飛ばされた
11月の寒空の下
もうそこまで冬が来ている
風が吹いて スカーフが飛ばされた
11月の寒空の下
もうそこまで冬が来ている
風が吹いて ハンカチが飛ばされた
11月の寒空の下
もうそこまで冬が来ている
風が吹いて 希望が飛ばされた
11月の寒空の下
もうそこまで冬が来ている
何をしても上手くいかず
時間だけ消費して
何をしても上手くいかず
罪ばかり積み重ね
何もしたくなくなって
自分の殻に閉じこもる
風が吹いて 涙が飛ばされた
11月の寒空の下
コートのボタンを留めた
風が吹いて 涙が飛ばされた
11月の寒空の下
コートの襟を立てた
風が吹いて 涙が飛ばされた
11月の寒空の下
コートのポケットに手を入れた
風が吹いて 涙が飛ばされた
11月の寒空の下
僕はまた歩き始めた
何をしても上手くいかなくても
立ち止まってはいられない
何をしても上手くいかなくても
懸命に足を動かす
どこへ向かってるのか分からなくなって
ただ空を見上げた
11月の寒空を見上げて 冬が来るのを受け入れる
僕はまだもがき苦しむことが出来る
僕はまだ悩み続けることが出来る
僕はまだ心に傷付けることが出来る
僕にはまだ『心』がある
風が吹いて 絶望が飛ばされた
11月の寒空の下
心に小さな火をつける
今年の冬も乗り切るために