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部屋という名の世界には。  作者: 松田葉子
2/7

第1話:ミキ、「部屋」へ向かう。

「続いてのニュースです。昨夜未明、世田谷区のあるマンションで女性の遺体が発見されました。第一発見者は「部屋」の管理人から通報を受けた警察官で、女性の首には紐で縛られた痕があったことから、警察は殺人事件として捜査を開始しました。被害者の女性は、このマンションに住む・・・・・・」


まぁた殺人事件かー。

「部屋」があるから発見が早いってことで、捕まる可能性も高くなって、「部屋」が出来てから数年は減ってたみたいだけど。

最近では気にしない人も増えたのか、殺人事件のニュースは毎日のように流れるなぁ・・・。


テレビのニュースを見て、そんなことを思いながら朝食のシリアルをバリボリと頬張る私。

3連休の最終日は、何にも予定がない。


「あー、何しよう。」

椅子に体を預けるように伸びをしながら言うと、一緒に朝食を食べてたお母さんが、

「ミキ、やることないなら隣行ってクッキー持ってってよ。昨日作り過ぎちゃってねぇ。」

と言ってきた。


隣には、幼馴染みのアラタが住んでる。

そういえば、この3連休顔を合わせていない。

「そういや、アラタの顔見てないや。」

「じゃあついでに見てきなさいよ。何だったらそのままデートしてくれば?」

お母さんがニヤニヤしながらそう言ってきた。

ホント、お母さんって人は・・・。


「アラタも、暇だったらどっか行くとかゲームするとかしてるよ・・・。まぁ、クッキーは届けてくるよ。」

「はい、じゃあこれ。よろしくー。」

そう言ってお母さんは、台所から持ってきた密封容器に入ったクッキーをテーブルに置いた。


皿に入ってる残りのシリアルを、一口二口と頬張ってから、

「ん。ご馳走さま。じゃ、行ってくる。」

テーブルに置かれたクッキーを手に取って、隣の家へと私は向かった。


ピンポーン・・・♪

アラタの家のチャイムを鳴らした。

暫くしておばさんの

「はい」

という声が聞こえたので、

「ミキです、おはようございます。」

と答えた。


玄関の扉がガチャッと開いた。

「おばさん、お母さんがクッキー作り過ぎたからお裾分けしに来たよー。」

とクッキーの入った容器を両手で差し出したら、おばさんは私の両手を自身の手で覆いながら、話した。


「ミキちゃん、丁度良かった。アラタが金曜の夜から「部屋」に行くって出てったっきり、帰ってこないのよ。電話しても出ないから、まだ「部屋」の中にいると思うの。」

「え?!金曜の夜からってことは・・・今日の夜には、アラタ記憶なくなっちゃうの?!」

「そう、そうなのよ。だから流石に心配で・・・。ミキちゃん、アラタの「部屋」に入れる?」

「小さい頃、1回だけ入ったことあるけど・・・。」

「じゃあ、「部屋」に入ってアラタを探して連れ出してきてくれない?」

「おばさんは、入れなかったの?」

「昨日の夜、「部屋」の前まで行って、扉のドアノブに手を掛けたんだけどね・・・バチってね、静電気来ちゃったの。」


「部屋」の持ち主が「部屋」に入ってほしくないと思う相手には、拒絶反応として静電気のような痛みが襲うのだ。

「そっか・・・。今も入れるか分からないけど、とにかく行ってみるね!」

「ありがとう、ミキちゃん。」

私が玄関の扉を開けて出ていこうとすると、

「ニャー。」

と一鳴きし、足元にアラタの家の飼い猫のニーナが寄ってきた。

ニーナは、グレーの毛色に満月のように吸い込まれそうな黄色い瞳を持つ子で、首には赤いリボンがついた首輪をしている。

とっても美人さんな猫ちゃんなのだ。


「何?ニーナも一緒に行く?」

「ニャー。」

こっちを見て一鳴きしてから、歩き出すニーナ。

ニーナもついてきてくれるみたい。

アラタのことが大好きなニーナだから、寂しいのかもしれない。

そうして私とニーナは、アラタの「部屋」があるビルへと向かったのだった。

(つづく)

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