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貴方からのプレゼント

「レイヴェン様……!」

 優しい貴方。大好きな、貴方。貴方は私をどう思うのかしら。化け物と化してしまった私を。

 どうか、どうか。どうか・・私を、嫌わないで―

「レィディ……!」

「レイヴェン様」

 彼が、私を見る。その目に浮かぶであろう、思いを見たくなくて、目を強く閉じた。

「……やった!」

「え?」

 やっ、た、とは? 恐る恐る目を開けると、彼の顔がすぐ近くにあった。まるで少年のように目を輝かせているのに、少しぽかんとしてしまう。

「やった! これで一生彼女といられる!」

「レイヴェンお兄様、おめでとうございますっ!」

 彼は二つ隣の席に座っていた赤髪の少女とひしと抱きしめあった。

「レィディ! いや、レイアーラ! 俺と結婚してくれ……!」

「きゃあ!」

 いきなり体を持ち上げられ、驚きの声を上げてしまう。そのままぐるぐると回される。

「やった! やった!」

 本当に嬉しそうにする彼に、ついつられて微笑んでしまう。

「これ、レイヴェン。彼女が困ってしまっているだろう」

「え? あ、ああ……すみません」

「いえ、大丈夫ですわ」

 彼と髪の色だけが違う、親子というよりかは兄弟と言いたくなるほどにそっくりなお父様がたしなめる。

「兄さんってば、はしゃぎすぎですよ……」

 困ったように、縦に長い体をおどおどとさせるのは、レイヴェンの弟・フェリオネルだ。

「そうですよ。まったく」

 くすくすと楽しげに笑うのは、彼と同じ、艶やかな黒髪を持つお母様。

「早く彼女に名前を上げなさい」

「そうよ。初めてパートナーに上げるプレゼントなのよ」

「ええ―、最初のプレゼントは指輪と決めていたのに」

 両親に揃って言われ、彼は子どものように頬を膨らませる。

「……こ、こんなに明るい方でしたのね」

 口に手を当て、目をパチパチとさせる。彼はいつも自分の前では大人な態度を取っていた。

「幻滅してしまいましたか?」

 声をかけられ、急いで見ると、彼の弟妹がこちらを見ていた。その純粋な瞳を見、ふわっと彼女は微笑む。

「いいえ。とっても素敵だわっ!」

 わっと二人が抱き付いてくる。

 優しい両親。可愛い弟妹。幸せな家族。それに、愛しい貴方。

「では、名を!」

 私は、

「貴方の名は、レイアーラ・バスティスグラン!」

 私は ここで生きていきます……!

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