黄金の公爵とお出かけの約束を
「エディスさんっ!」
「う、わ!」
エディスさんは、綺麗な人で、抱き付いてすりよると、すごくいい匂いがする。軍人なのに、体が細くて。筋肉がついてるのに、柔らかだった。
「ねえ、街に行かない?」
「少しだけですよ」
「うんっ!」
優しくて。すぐに大好きになった。でも、どこか遠くを見ているような、寂しい目をしていた。僕は、その目が大嫌いだった。僕を見ていないから。
「エドワード様、エディス様、一体どこに!?」
「街だ。お前達は付いて来なくても良い」
エディスさんの腕を引いて屋敷の外に出ようとする。でも、それはダメ。だって、皆邪魔をする。
「エドワードさん、駄目ですよ。エドワードさんは大切なエンパイア家の跡継ぎ。大事にして貰わなくては」
エディスさんが肩を優しく包んで、そう言ってくる。
「エディスさんは、僕と一緒は嫌?」
「いえ。嫌なんてこと、ありませんよ」
ぎゅっと抱きついて、目を合わせる。
「なにかあっても、エディスさんが守ってくれるでしょう?」
「ええ。この身をかけてもお守り致します。ですが、軍から許可を貰わない限り、一般市民相手に力を振るうことをしてはならないのです。私は魔物と戦う身であり、人を傷つけるためにこの力を持っているわけではありませんので」
「あ……」
しょんぼりとした態度をとると、エディスさんが頭を撫でてくれる。
「ご、ごめんなさい、エディスさん。やっぱり、一人…ううん、二人連れていくよ」
「はい。分かりました」
にっこりとエディスさんが微笑む。誰か、二人連れて来いと周りに言うと何人かが慌てて駆けて行った。
「エディスさん、行こっ」
「はい。エドワードさん」