表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/6

効率的なクエスト消化と、人権という概念の死

冒険者ギルド

朝一番、冒険者ギルド。 受付嬢が引きつった笑顔で迎える。

受付嬢「お、おはようございます、ユウトさん……」

ユウト「クエスト、全部」

「え?」

「掲示板の、全部受ける」

アリア「ちょっと待て!」


【クエストを受注しました】

  【貴族令嬢救出クエスト】

  【灯台のランプ修復クエスト】

  【薬草採取クエスト×99】

  【ゴブリン討伐クエスト】


シエナ「……99?」

ユウト「薬草は受注制限ないから、99個受けといた」

アリア「そういう問題じゃない!」

盗賊のアジト:貴族令嬢救出

洞窟の奥。 盗賊たちが倒れている。

ユウト「はい、救出完了」

金髪の少女(5歳)が震えながら立っている。 高級なドレスを着た、明らかに貴族の娘。

エミリア「あ、ありがとうございます……お家に……」

ユウト「え、まだクエスト残ってるし」

「え?」


【パーティメンバーに追加しました】

【経験値ボーナス+10%】


ユウト「バフ要員確保。はい、アリア持ってて」

アリア「持ってて!?」

ユウトがエミリアを抱き上げ、アリアに渡す。

アリア「ちょ、待っ……」

エミリア「わぁ!お姉ちゃん、猫さんだ!」

アリア「……はい」(諦め)


薬草リポップ地獄


森の洞窟。 宝箱が青く光る。

ユウト「ここ、30秒でリポップするから」

宝箱を開ける。薬草×10。

ユウト「はい、アリア」

アリア「……はい」

30秒後。宝箱が再び光る。

ユウト「はい、アリア」

アリア「……はい」

背中のエミリア「すごーい!宝箱が光ってる!」


1時間後


シエナ「……これは、何でしょう?」

アリア「あー、気にしないで。いつものことだから……」


【アリアの持ち物:薬草×99,999】


エミリア「お姉ちゃん、お花の匂いがする!」

アリア(この子だけが……この地獄で唯一の癒し……)


ゴブリン狩り:コマンドバトル地獄


薄暗い洞窟。 ゴブリンが3匹、のんびりと座っている。

ユウトの前に半透明のウィンドウが展開。

【戦闘開始】

ユウト「よし、戦闘」

→【アリア】→【たたかう】→【ゴブリンA】ピッ♪


アリア「は!?」

体が勝手に前に出る。 巨大ハンマーを振りかぶる。

アリア「ちょっと待て!背中に子供いるのに!?」

ブンッ! スカッ。

ゴブリンAは微動だにせず。 ハンマーが重すぎて当たらない。


→【アリア】→【たたかう】→【ゴブリンA】 ピッ♪

スカッ。

エミリア「お姉ちゃん、がんばれー!」


→【アリア】→【たたかう】→【ゴブリンA】 ピッ♪

スカッ。

アリア「なんで!何度も!同じことを!」

ゴブリンA「?」(首を傾げる)


30分後


ユウト「日が暮れるなぁ……」

アリア「あ、あたしのせいじゃないから!武器のせいだから!!」

怒りのままに全力で振り下ろす。

ドゴォォン!!

ゴブリンAが光となって消える。 【経験値+30(ボーナス込み+33)】

エミリア「やったー!光った!きれー!」


ユウト「次」

→【シエナ】→【たたかう】→【ゴブリンB】ピッ♪


シエナが無言で前に出る。 杖でゴブリンBを叩く。

ポコッ。

【ゴブリンBに1のダメージ】


アリア「……何で魔法使いが杖で殴ってるのよ!魔法あるでしょ!魔法は!?」

ユウト「MP勿体ない」

アリア「はいはい……さようでございますか……」


さらに1時間後

洞窟の奥から、ゾロゾロとゴブリンが湧いてくる。

ゴブリンC、D、E、F…… ゴブリンG、H、I、J…… まだまだ増える。

→【アリア】→【たたかう】→【ゴブリンZ】 ピッ♪

スカッ。

アリア「Z!?もうアルファベット終わりじゃない!」


さらに奥から。 ゴブリンAA、ゴブリンAB、ゴブリンAC……


アリア「二周目!?」

ゴブリンBA、ゴブリンBB、ゴブリンBC……

アリア「もぉぉぉぉ!!おかわり多すぎでしょ!」

エミリア「すごい!いっぱいいる!」

ユウト「んー、さすがに飽きた」


中二病詠唱の悲劇


→【シエナ】 →【魔法】 →【メテオストーム】→【全体】ピッ♪


シエナの目つきが変わる。 声に謎のエコーがかかり始める。


【第一節:呼びかけ】

シエナ「「星辰よ……星辰よ……星辰よ……」」

右手で顔を覆い、指の間から赤い瞳。

シエナ「「永劫の彼方に封印されし、我が第七の契約よ――」」

髪が逆立つ。謎の紫のオーラ。


【第二節:顕現】

両手を広げ、回転。

シエナ「「天空の理は崩壊し、大地の掟は反転する!」」

片膝をつき、地面に手をつく。

シエナ「「星辰の涙は業火となり――星辰の怒りは隕石となる!」」


【第三節:真名解放】

杖を頭上で回転させる。

シエナ「「我が名は『星辰を統べし終焉の巫女』――」」

決めポーズ。右手で左目を隠し、左手で杖を斜め上に。

シエナ「「『「『スターダスト・アルマゲドン・レクイエム』』」!!」」

最後だけ三重エコー。


ドッカァァァァン!!


洞窟の天井(岩、高さ3m)はそのまま。

なぜか宇宙空間が見える。

隕石が天井をすり抜けて降る。

炎は紫色でキラキラ。 BGMまで流れている。


アリア「……」(口あんぐり)

エミリア「お姉ちゃん、光ってる!羽生えてる!」

確かに、なぜか背中に半透明の光の翼。


ゴブリン軍団「「「ぐあああ!!」」」

全て終わる。煙が晴れる。


ユウト「いやぁ、やっぱり魔法はこうじゃないと♪」

シエナ「……!」

ユウト「メテオ!とか、ファイアボール!とかで発動したら共感性羞恥の極致でしょ」

アリア(そーかなー)

チラッとシエナを見る。

シエナ、耳まで真っ赤。 両手で顔を覆ってプルプル震えている。


【経験値+3000(ボーナス込み+3300)】

【大量のゴールドを入手】

【竜の鱗×1を入手】

ユウト「あ、らっきーレアドロ」


灯台の悲劇:マント事件


灯台の最上階。 ランプの修理完了。宝箱発見。

ユウト「あった、あった。風のマント」


【風のマント:高所から安全に降りられる】


ユウトがマントを装着。

アリア「……まさか飛び降りるんじゃないでしょうね」

ユウト「効率いいし。じゃーんぷ」

窓から飛び出すユウト。

アリア「私たちの分はーーー!?」

シエナ「え?」

エミリア「わぁ!」


【パーティは一緒に移動します】


三人の体が青く光る。 次の瞬間、空中にワープ。

アリア「ぎゃああああ!!」

シエナ「!?」(声も出ない)

エミリア「お空だー!」(大喜び)

ユウトだけマントでふわり。 他の三人は――


【パーティメンバーはリーダーと同じ効果を受けます】


謎の力でふわりと浮遊。 マントもないのに、ゆっくりと降下。

アリア「な、何これ!?」

シエナ「……物理法則が……」

全員着地。

ユウト「ほら、効率的」

アリア「マント一枚で全員って!」

シエナ「……」(もう考えるのをやめた)

エミリア「もう一回!もう一回やって!」


ギルドに帰還:カンストの狂気


受付嬢「薬草×99,999ですね……はい、確かに」


【報酬:999,999ゴールド】

【ユウトの所持金:999,999,999ゴールド】


シエナ「そんなに貯めて、国でも買うんですか?」

アリア「この小さな街、薬草で埋める気じゃない……」

ユウト「とりあえず、カンストしとかないと気持ち悪いでしょ」

エミリア「お兄ちゃん、すごーい!」


受付嬢「あの……令嬢をご両親の元へ……」

ユウト「え、まだ他のクエスト残ってるし」

「え?」

ユウト「明日も使うから、これバフ要員」

エミリア「やったー!明日も冒険だ!」


酒場:その日の夜


アリア、シエナ、エミリアが座っている。 ユウトは受付でクエストボードを確認中。

エミリア「今日楽しかった!お姉ちゃんたち大好き!」

アリア「……そう、よかったわね」(複雑)


冒険者A「『星辰を統べし終焉の巫女』だってよ」

冒険者B「決めポーズまでしてたらしい」

冒険者C「指の隙間から片目とか……」

冒険者D「洞窟で隕石降らせたって」


シエナ「……」(テーブルに突っ伏す)

アリア(この世界、本当に地獄ね……)

エミリア「明日も星降らせて!」

シエナ「……」(もう魂が抜けている)

ユウト「明日は討伐系多めで回ろう」

アリア&シエナ「「……はい」」(死んだ目)


【第6話 終わり】



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ