表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

短編その1『進水式』

皆様方の艦魂小説を読んでいる間に、想ったままの事を書いてしまいました。

気軽に読み飛ばしていただければ、幸いです。

艦魂。それは「ふね」を愛するものたちの語り継ぐ伝説。

彼らは、彼らの愛する「ふね」に、命と心が宿ると信じた。

ゆえに、“それ”ではなく、“彼女”と呼んだ。

ゆえに、彼らは信じる。目に見えないだけ、耳に聞こえないだけ。

1パイの「ふね」には、必ず、1人の「彼女」が居る。

若く美しい乙女の姿をした、心優しき精霊。


依代となる「ふね」が水上に誕生するとともに宿り、

その依代が「ふね」としての生涯を終えるとその存在が消えるという、

その彼女たちを何が生み出してきたか。

もしも、それは「ふね」を愛するものたちの想いが生み出したのなら、

もしも「名」という「言霊ことだま」を受け継ぐときには、その命と心は受け継がれるのだろうか。


*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*


命名書が読み上げられ、今日の「この」式典のために注文された、

儀礼用の銀の小斧が振り上げられて、檀上だんじょうの紅白の飾り綱に振り下ろされた。

式台の目前の舳先へさきに飾られていた薬玉くすだまが割れて開き、

紙吹雪が舞い散って鳩が飛翔する。

そして、命名された艦名を記した垂れ幕がぶら下がった。


「進水作業始め!」

軍楽隊によって高鳴る「軍艦マーチ」に負けまいとするかの様に号令が伝えられて、

やがて静々と船体が動き始めた。ドックの向こうの海へと………。


……。


…誰が見えていただろうか。

いつしか、甲板上に人影が集まっていた。

何故か帝国海軍の軍服姿の、若く美しい容姿の乙女たち。

それは「彼女」の戦友となる「フネ」を依代とする心と命が集まった姿だった。

そして、祝福する「彼女たち」の中央に光の粒子が集まって、

そして新たに生み出された乙女の姿を取った。


その間も「彼女」の依代と成った「フネ」は、海へと進み出ようとしていた。


*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*


瀬戸内海西部、柱島停泊地。

内海の内側で更に幾つかの島々に囲まれた静かな水面。

「戦前」から太平洋戦争中期までの「当時」連合艦隊の集結地と成っていた。


「外海」に比較すれば波の穏やかな瀬戸内海は、出来立ての新造艦の試運転には都合が好い。

同時に「国内」である事は、秘密保持の上からも。

そのため、間近まぢかの呉海軍工廠以外の造船所で建造された艦艇でも、

試運転の時には柱島泊地へと回航されて来る事が、少なく無かった………。


……。


…同時に、それは出会いの時と場所でもあった。

多くの場合、艦船は同型の姉妹艦が建造される。

例えば、戦前の帝国海軍であれば、戦艦や巡洋艦は同級4艦で戦隊を組むのが原則だった。


一方で「インフラ」等の問題、例えば、戦艦や空母程の大型艦ともなれば、

同時に建造できるドックが1ヶ所の造船所で1つしか空いていない

という事が珍しくも無かっため、建造場所が国内各地に散らばってしまったりした。


*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*・・*


その時もまた、1隻の新造艦が進水後の艤装工事も終了して、

試運転のために柱島泊地へと回航されて来た。


その艦上に立つ1人の乙女。この艦の心と命である艦魂。

彼女を出迎えるのは、これから戦友とも成り、先輩にも当る現役の停泊艦たち。

そして「彼女」の「姉」たち。

彼女は、同型の姉妹艦4艦中の4番艦だった。


やがて、艦上に光の粒子と共に、出迎る艦魂たちが出現して彼女を祝福した。

その中央で「彼女」を歓迎する、何処かに面影のある「3人」の乙女。

今、姉妹の出会いの時が来ていた。

繰り返しになりますが、皆様方の艦魂小説を読んでいる間に、想ったままの事を書いてしまいました。

そんなオムニバスな短編を、ポツリポツリと投稿して行きたいとは思っていますので、

あまりヘコま無い様な温かい御意見、御感想を頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ