道具屋のメスガキをわからせた!
城を出た俺は、そのまま眼下に広がる城下町を散策することにした。木組みレンガ造りの家々に石畳の街路が縦横に伸びる、典型的な中世ヨーロッパ風の街並みだ。
旅に出るにあたってまずは装備を調えたいところだが、武器や防具を買う金がない。あるのはイザベルのおパンツのみ。
となると答えは一つ。これを売って金にすればいいのだ。
おパンツを売るなら道具屋だろうということで、大通り沿いのふと目についた店に入った。
カランコロン――。
「いらっしゃいませ~♡ ……チッ」
店内を見渡すと、カウンターに栗色の短めな髪をバードテールにした、小柄で可愛らしい女の子が立っていた。店主の娘で店番でもしているのだろうか。
っていうか、この子さっき舌打ちしたよね?
「えーっと……、ここは道具屋でいいのかな?」
俺は気を取り直して女の子に尋ねた。
「はい、そうですが♡ 何か御用ですか~♡?」
女の子は満面の笑顔で受け応えるものの、どこか侮蔑を含んでいるようにも感じられる。まぁ気のせいだろうと、俺はイザベルのおパンツを取り出しカウンターの上に置いた。
「こ、これを買い取って欲しいんだけど……」
ブツがブツだけに、さすがにこれは恥ずかしさで死にたくなってくる。
女の子はおパンツを手に取って広げると、途端に底意地の悪そうな笑顔に変わった。
「あは♡ おじさん、これどこで手に入れたんですか~♡? まさか~盗んできちゃったとか~♡?」
「ひ、人聞きの悪いことを言うんじゃない! こ、これはその、女王様からもらったものでだな……ごにょごにょ」
俺は激しく動揺して口ごもった。
「あはは♡ おじさん嘘が下手クソ過ぎる~♡ ねぇ、どこで盗ったの? ほらほら~、正直にゲロっちゃいなよ~♡」
女の子は人差し指でおパンツをくるくると回しつつ、蔑んだ目つきで煽ってくる。
「ねぇねぇ、おじさんって日本からきた氷河期でしょ? 一目見てすぐにわかっちゃった~♡ だってざこ感ハンパないんだも~ん♡ あはは♡」
どうして俺が氷河期だってわかったんだ? っていうか、こいつも俺のことを氷河期だのざこだのって馬鹿にするのかよ!
いいだろう、こういうメスガキには……。
俺は《わからせ棒》を使った。
「ふぇ、な、何それ? 嘘、やだ……。触んないでよ、ざこっ!」
俺は《わからせ棒》を使った。
「えっ、やめて! キモいキモいキモいキモい! そんなキモいのマジでムリ~!」
俺は《わからせ棒》を使った。
「お゛あ゛っ!? だめ……そ、そこは、……あっ♡ い、いい……♡ はっ♡ ふひゅ♡ お゛お゛お゛お゛お゛……♡ も、もっと、もっとくだひゃーい♡」
***
「……た、確かにこのおパンツには、苺に交じって王家の紋章が描かれているわね。いいわ、どうやって手に入れたのかはともかく、特別に買い取ってあげる♡ 感謝してよね、氷河期のお・じ・さ・ん♡」
道具屋の女の子をわからせた俺は、女王のおパンツを35000Gという高値で買い取ってもらった。やっぱ女王のおパンツは伊達じゃない!
「それと~、これはわたしからのオマケだよ♡」
そう言うと、女の子は淫靡な目つきで俺の手に何かを握らせてきた。
微かな温もりと湿り気を帯びたそれを広げてみると、なんと花柄の小さなおパンツだった。
ほ、ほう。まぁあって困るものじゃないし、これもこの先お金に困ったら売ればいいか。