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短編集

不器用な冬マフラー

作者: 夢月みつき

〇登場人物紹介〇


・増田 信二

雪菜一筋な23歳のごく普通の男性。ファストフード店でバイトをしている。


・間宮 雪菜

信二一筋だが、恋愛ドラマの俳優が大好きな22歳の女性。少し手先が不器用。

本人いわく、料理は得意らしい。

ある冬の昼下がり、コートを着込んだ男性が

あったか、ふんわり肉まんを袋いっぱいに買って歩いている。

彼の名は、増田信二(ますだしんじ)。ファストフード店でバイトをしている、23歳のごく普通の青年だ。

信二の彼女は、肉まん好きで買って帰るといつも、喜んでくれる。

今頃彼女は、肉まんによく合うお茶を用意して、待っているだろう。

「さむっ! 早く帰ろう。」

信二は寒さで震えながらも、ポケットの中に手を突っ込んで何かを確認すると、頬がゆるんだ。



アパートの一室でお茶を用意して

信二を待っている女性がいる。彼は肉まん好きの雪菜のために

いつも、たくさん買ってきてくれる。

彼女の名前は、間宮(まみや)(ゆき)()

雪菜は信二のことを思うと、ほんのり胸が暖かくなり笑顔になる。



もうすぐ、2人が付き合って2年になる。

そろそろ、彼の方から…

そう思うと彼女の胸はときめいて来た。

お茶のほかに何か、気の利いたものを用意しよう。



雪菜は、信二のためにサプライズで手編みのマフラーを用意していた。

それは不器用な彼女が、彼を想って一生懸命編んだもの。

「ふふっ…不格好だけど、信二。喜んでくれるといいな。」



その時、インターホンが鳴って信二がドアを開けて雪菜の名を呼ぶ。

「ただいま雪菜。肉まん買ってきたよ~」

「おかえりなさい!信二、寒かったでしょ」

雪菜は信二に駆け寄り、マフラーを彼の首に巻いて頬にキスをした。



「雪菜、今日はどうしたの?それにこのマフラー」

いつもはあまり、甘えてこない雪菜に信二は戸惑いながらも内心、胸が高鳴っていた。

「あのね?これ、私が編んだのよ。苦労したんだから~」

「そっか、それは嬉しいな。ありがとう。良く編めてるよ。」

信二がにこにこ顔で褒めると、雪菜は頬を桜色に染めて喜んだ。



2人で肉まんを食べたあと、信二は雪菜と話しをした。

「なあ、雪菜。俺達もう、付き合って2年だけどさ…そろそろ」

(来たっ!)

雪菜は心の中でそう思った。

「そろそろ、俺達結婚しないか? 幸せにするよ。俺、今はこんなだけど…

良い仕事に就いて必ず、君を幸せにするから!」

信二は真剣な顔で雪菜を見つめ、ポケットから銀色のハート型の石がはまった指輪を取り出すと、

雪菜の前に差し出した。

「今は…こんなおもちゃみたいな。指輪だけど…」



信二は恥ずかしそうな表情をしながら、指輪を雪菜の左手の指にゆっくりとはめた。

雪菜は、指輪をはめられて、突然の信二のプロポーズに涙があふれた。

「ありがとう。信二!こんな私で良いの?」

「ああ、君じゃなかったらこんな恥ずかしいこと、言わないからな。」

信二が珍しく照れている。



「好きだ。雪菜…」

「私もよ。信二。私、あなたと一緒なら……」

2人に甘い雰囲気がただよい、信二は雪菜を抱き寄せると誓いのキスをした。




(終わり)

最後までお読みいただきありがとうございます。

この小説には元になりました。詩があります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても心があたたかくなる物語ですね。肉まん、寒い時には特に美味しいですよね(*´-`) でもそれ以上に熱い二人の愛がいいですね。 雪菜と信二の会話がとても生き生きとしていて、「頬を桜…
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