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第四話 指 ゆ・び

噂好き(ミステリー小説 第四話 指 ゆ・び)


斎藤さんと皆川祭のバイト先「スーパー タクミ」近くカフェから別れると猛ダッシュで家路に着いた。

5時は既に回っていた、ということは一時間近くもカフェで話していたことになる。

もしかして私も暇なのかも、今更ながらに幸子は気が付く。

本当に感だけは鋭い彼女だが自身の身の回りにはとんと未頓着。

急いでテレビをつけるとやはり夕方のニュースでやっていた。

キャスターの言葉に凍り付く。

「○○県○○市○○アパート浴槽内で両手首を鋭利な刃物で切られた状態で発見された( 柳井 まどか やない まどかさん 22歳 大手アパレル社員)のご遺体は検視されました。」

やはり、幸子の直感通り彼女はアパレル関係の為派手な服装をしていただけ。

被害者さんの目の中に宿るやる気と活気を感じていた幸子だったが。

こんな殺されかたあったもんじゃない!

さすがに嫉妬深く底意地がよろしくなくっても気の毒に思えた。

だが、続くキャスターの言葉に、より一層幸子の気持ちは凍り付く。

「第一発見者の内縁の夫、(水上清 みなかみきよしさん30歳)は10日午後10時過ぎに帰宅した際、浴槽内に鋭利な刃物で両手首を切られ、浴槽で仰向けの状態で横たわっている柳井さんを発見したと警察の事情聴取に答えられました。服装に乱れも無く、乱暴された形跡もありませんでした。ただ、ご遺体の回りに細かく千切られていた、犯人が残していったと思われる写真があり、被害者 柳井さんがアパートの玄関ドア前に立っている姿が映されていました。しかし、写真の一部分がなぜか見つからず警察の捜査によってアパート前の側溝から見つかったもよう。鑑識の手によって写真が複合され、真向いのアパート住人 高田 高貴(たかだ こうき 無職 53歳)重用参考人として○○県警に連行されました。

容疑者は無罪を主張しているようですが、千切られていた写真は容疑者の部屋からしか撮る事が出来ない構図でアパート付近の住人の話でも被害者柳井さんをつけていたことろを度々見られていたようです。県警は一方的に柳井さんに好意を抱いていた、容疑者高田高貴の犯行と断定しています。」

こんな内容だったが、幸子は腑に落ちない。

なんでわざわざ自分の家からでなくっちゃ写せない写真を残す必要があったんだろうか?怨恨のせんで県警は逮捕するつもりなのだろうか?

やっぱ出来過ぎ、おかしな話、幸子は奇妙な胸騒ぎを感じた。


だが、翌日の朝刊で幸子の心はもっと凍り付く。

なんと、容疑者だった高田高貴さんが釈放、千切られていた写真の中で、側溝に捨てられていた一部分になんと犯人と思しき人物の指が誤って映っていたのだ。

おそらく急いでスマホで写真を撮ったうえ、震えを両手で抑えていたので右手人差し指の腹が写りこんだのではと考えられる。

結果犯人は左手でスマホのシャッタを押したと考えられる。

その指と高田さんの指紋が一致しなかった。

結果、誤認逮捕に至ってしまった県警は汚名挽回にやっきらしい。

県警は高田さんに罪を着せようとした者の犯行と断定。

新たに、捜査開始。

○○県警記者会見より。


左利き?

幸子は自分の冷や汗に初めて気づいた。

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