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幸子の直感は冴えわたる!

噂好き(ミステリー小説 第二話 ご近所さんは見ていた?)


噂好きな主人公わたべ 渡部幸子こうこは同時に相手が何を感じているかが分かる、いわゆる直観力の持ち主でもある。

ようは、人から話を聞くのが非常に上手い。


翌朝の紙面には昨夜の事件の事など全く触れてなく、まるでなかったかのように日常が流れようとしているようだが、そうは問屋がおろさない。

幸子を甘く見ていたら痛い目に合うのが世の常?

早速の、お天気を利用して、まるでお散歩にでも行くようなラフな服装。

ご近所仲間の斎藤家付近をわざとらしくうろついていると、やっぱりやって来た。

渡部家同様に居間のカーテンから庭木を経て(防犯対策で有ろうか)外を何とはなしに覗く姿が見えた。

「ともかく彼女は暇人、絶対に外をずーーと見ているはず、」

幸子の直観力は大したもんだ。

斎藤さん、早速勇んで出てきて幸子に昨夜の情報提供をしてくれる。

「ごめんなさいね、11時過ぎていたなんて、気が付かなかったのよ。だって、うちのが昨日飲み会で遅く帰って来て外見ろ、っていったらあれでしょ、もうびっくりよ。栗山団地(幸子達が住む団地名)通り一本離れた所に少し古びたアパートあったでしょ、あそこの一階に黄色い規制線が張ってあって、赤色灯をつけたパトカーが3台も来てたんですって、驚きよね。」

しかし、コロナ禍で飲み会だなんて、きっとこの人騙されているのを分かっているのに、可哀そうっというか、自分で生きてく能力がないから旦那頼み。

幸子は思っていたが決して言葉にはしない人間だっというか自分もそうだとは思っていないのが呆れる。

「でね、うちのが なにかあったんですかって 警官に聞いたんですって、そしたら、なんでもないです、お引き取りください、捜査の邪魔になりますから って言ったんだって、若い警官だったらしく、つい話しちゃったのかもね。」

つい話したんじゃなくってそのように言わされていることくらいこの人分からないのかしら。

これじゃ旦那が何してんだか分からなくっても仕方ないわよね。

「そういえば、警官の何人かがアパート前の側溝を剥ぐって何か探していたらしいわよ。」

やっと情報が手に入った。

側溝を探すって常套句だとは思うけどいくら赤色灯を付けているとはいえ微妙よね。

それほど急いるってことは流されやすい軽めな何かを探す必要があったはずだわ。

幸子得意の直観がひらめいた。

まったく、幸子は嫌な人だが敵には回せない。


「ホントおかしいわよね、夜中に側溝の捜査なんて、暗いのにご苦労様だわ。」

いかにも呆れた様子で語る幸子だったが、本音は違っていた。

正義感が強そうに見せて実は興味津々な斎藤さんに対しての幸子独特の嫌味を言ったのだ。

斎藤さんの話は続く、「不思議よね、朝刊にも、ニュースにもなっていないなんて、あれだけ騒がしかったのに、あ、そうだわ、近藤さんにも電話しなくっちゃ、よっぽどショックを受けたんだわ、彼女に話すの忘れていたんだもの、じゃ、お互い気を付けましょ、ここら辺も物騒になって来たってことで。」

近藤さんは栗山団地の名物オバサン、あの人にも話すだなんて、何思ってんだか、どうせ楽しんでんでしょ、幸子は思ったが情報網の斎藤さんの機嫌を損ねる訳には…。

「じゃ、また、お元気で。(何かあったら教えてね!)」

心の声が聞こえてくるようで、こんな中途半端な気持ちで斎藤家から帰ろうとは思ってもいなかった。

しかし、夜中の側溝捜査、なんかありそうね。

家にかえって幸子大好きワイドショーを見ていたらやっぱり流れていた。

「昨夜、10時過ぎ、○○県○○市内、○○アパート内浴槽で若い女性が両手首を切られた?状態で、仕事から帰って来た水上清みなかみ きよしさんによって発見されました。警察は水上さんに詳しい事情を聞いているもようで、事件、事故両面から捜査が行われています。」

アナウンサーの声が遠くに聞こえる。

とうとう、現実になって来たんだ。

珍しく震える手でスマホを取った。

電話の相手は勿論、皆川祭、この頃合唱の練習に来ていない。


「幸子さんね。お久しぶり、ごめんなさいね、発表会が近いのに休んじゃって。」

「聞いたわよ。お孫さんのお世話が忙しいんですって、無理なさらないでね、ソプラノは貴方の他に三人しかいないんですもの、それより、テレビ御覧になった。」

「ええ、何か大変な事が起きたみたいね。」

この人、現実が見えているのかしら、トンチンカンね。

また、幸子の嫉妬深さが垣間見える。

「斎藤さんから事件当日の夜、電話があってもうびっくりよ、ご近所の若い女性が不審死したんですって、」

振り返り、テレビを見ると被害者女性の顔写真が映っていた。

幸子は息をのんだ。

この人見たことある。

「ごめんなさい、忙しいことろ電話しちゃって、時間できたら練習に来てね。」

また、一方的にスマホを切った。

思い出した、いっつも派手な服装で自転車に乗っていた女性にそっくり。

でも、彼女服装と釣り合わない雰囲気あったのよ。

取ってつけた派手さっていうか、不思議な雰囲気がしたのよね。

幸子の感は冴えわたる。

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