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超能力という名の呪い  作者: ノーム
間章 呪いの生誕
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80話(神サイド) セバスの過去②②


「あ、あれぇ……?なんで私、死んでないのぉ……?」


 ミリィは、自分の下半身を見つめながらそう言った。

 まあ、下半身というのは少し語弊があり、性格には腹部だ。

 ミリィの下半身はもう地に落ちており、ミリィの上半身だけが未だこの上空に居た。

 『死神』カールデスと名乗る者の『鎌』によって斬られてから数十秒は経っているのにも関わらず、ミリィは未だ生存していた。

 

「それは俺が無理やり魂を定着させているからだ。よかったな。死ぬのはもう少し先だ」


 『死神』はそう呟くと、降りていった。

 『アンデット』セバスの魂を創っていると言っていた事からまたセバスを蘇らせようとしているのだろう。

 まさか『死神』なる者が本当に実在するなんて思っていなかったが、実に神の様だ。

 いや、実際神なのだろう。

 人の『死』を管理する事から、人を創った神ノーズよりも一段階下程の階級か……同級か。

 まあ、人なるミリィには知る由もないが。

 ミリィはそこまで思考して後、思わず、下に降りていく『死神』に声を掛けていた。


「な、なんで……私を殺すのぉ……?」


「……」


 そんなミリィの問いに対し、『死神』は何でもない様に……正確に言うと、ミリィを何とも思っていない様に、こう言った。


「だから、セバスの魂を生成するのも俺の仕事って言ったろ?お前らアスファスの手下共、セバス殺しすぎなんだよ。特にお前は二回殺している。だからだ」


 『死神』はそれだけ言うと、「神ノーズに頼まれたからな」と気になる事を言ってから、地に向かって降りていった。


「……あ」


 それにより『死神』の魂を留める『能力』の効果が切れたのか、ミリィは、死んだ。


 ミリィの上半身は、空に地を撒き散らしながら、『死神』を追う様に地面にーー地獄というものがあるのなら、更にその先にーー落ちていった。


 *


「おー、『死神』出て来たよ。すげー。今までこんな回はなかったよ」


「……」


 セバスとミリィと『死神』のいる位置より少しばかり離れた距離にて。

 ある男とアスファスが戦っていた。

 過去形である。

 決着はもう既についていた。

 それも、戦い始めてすぐに。


「アスファスを助けに来たわけでは……ないらしいよ。残念だったね」


「……クソが」


 凪が笑いながら言うのに対し、アスファスは歯をギシギシと擦りながら悪態を吐いた。

 そう。

 この戦い、勝者はこの男で、敗者はアスファスであった。

 アルドノイズの本来の力を解放した姿がアルファブルームに対し、アスファスの場合は名前が変わらず『アスファス』だ。

 これには色々訳があり解放前も解放後も名前が変わらない訳で、実際にはアルドノイズと同じ様に本来の『神』として力を取り戻している。

 そのため、当たり前だが、人間には絶対に負けない。

 まあ、()()には、だが。


「答えろ吐夢(とむ)狂弥(きょうや)……!お前、今回の()()()は一体どこで何をしていた?神ノーズからの情報にはお前が今まで一度もこの日付まで動きがなかった事はなかったぞ!」


 アスファスが恨む様にそう言った。

 いや、実際凄まじく恨んでいるのだろう。

 声には怨嗟を含んでいた。

 そんなアスファスの問いに対し、吐夢狂弥と呼ばれた男はなんとはなしに答える。


「今回はちょっと趣向を変えて見てね。秘密だよ。……もう『公平』も限界も近いからね」


 狂弥は、後半については少し顔を歪ませながらそう言う。

 そんな狂弥を訝しんでいるアスファスに向かって、狂弥は続けてこう言った。


「だから、今、アルドノイズを殺されると困るんだ。まあ、一応アスファスもだけど」

 

 狂弥は、セバスが『死神』の『式神』の中へ死神によって連れ込まれていくのを見ながら、そう言った。


 *


「……」


 アルドノイズは、呆然としていた。

 ついさっきの様な己の無力さを悔やんでいた訳ではなく、ただただ呆然としていた。

 情報量が多すぎるというのもあるし、何よりアルドノイズの目に映っているアスファスが圧されている姿の事もあるだろう。

 ただ、それより……アルドノイズを助けようとした、あの男の事だろう。

 今現在もアスファスの攻撃を華麗に避け、避けられない攻撃は片手で握り潰している。

 その事に驚愕するアスファスに向けてその片手を開くと、今アスファスが放った攻撃をそのまま返し、アスファスも必死に反撃するが、その男自身の『超能力』?によって空間がねじられ、『無』にされてしまう。

 意味が分からないだろうが、当のアルドノイズ本人が理解出来ていないため、無理もない。

 

 ーー人間が、神を圧倒しているーー


 その事に、寒気を覚えた。

 そんな思考をしていると……。


「やっ。アルドノイズ」


 『死神』カールデス・デスエンドが気軽に話しかけてきた。


「……???」


 なぜ今ここにいるのか、地上とは無干渉を貫くのではなかったか、そもそも自分達は挨拶をする様な間柄であったかと様々な疑問符が浮かび上がるが、アルドノイズが何か話そうとした途端にアルドノイズの首近くを鎌で斬った。


「なっ!?」


 アルドノイズはその事に驚愕し、その場を一瞬で離れると……。


「う、うあああああああああああああああああ!?」


 すると、『死神』のミリィへの挨拶と共に、ミリィの絶叫が響き渡った。

 

「……」


 さっきからなんか置いていかれているな……と思いながらも、アルドノイズはとりあえずミリィが死んだ事に、安堵のため息を吐いた。

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