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超能力という名の呪い  作者: ノーム
間章 呪いの生誕
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71話(神サイド) セバスの過去①③


「まだ、かなぁ?私、初恋がまだだからよく分からないけどぉ……自分が今、すごく気分が良いってことだけは分かるぅ!」


「そうですか。じゃあ、はっきりと分からせてあげます」


 上空およそ一万メートルーーもう、飛行機が飛んでる高さーーで、死闘(?)が繰り広げられていた。

 虚空から少女が出てきて、悪魔の首を鎌で切断するかと思いきや、鎌が分散され、その少女に悪魔が殴りかかろうとし、少女は虚空に消えゆく。

 鎌はどうやら特殊な何かを付与されているらしく、消しても消しても復活する。

 そんな事を繰り返しながら、お互いに言葉を交わす。

 それは、まるで……。


「まるで、お見合いですね」


「これがそうなのぉ?じゃあ私ぃ、おみあい好きぃー!」


 コットの呟きに対して、ミリィは叫ぶように、耳にキンキン声で話す。

 まあ、話すというよりは、自分の気持ちを言葉に表しているだけ……いわゆる独り言のようなものばっかだが。

 僅か五分。

 そんな、普通の人なら、気付いたらなんか経っていた!ような時間で、この二人はおよそ三百以上、そんな事を繰り返している。

 それに戯れたのは、ミリィの方だった。

 

「あなたならぁ、もしかしたらイケるかもだわぁ!」


「そう、きますか」


 そんかミリィの一言で、コットはその言葉の意味を理解した。

 そして、身構える。

 神をも殺せる、神が人に与えた能力によって、人が作り出した、究極の奥義に対して。


「式神構築、『極酪底(ブラックホール)』」


ミリィはさっきまでの性格と間延びした声が嘘の様に、静かに、そっと、呟いた。

 瞬間、コットは、ミリィの周りに生じた何かに、吸い込まれていった。


 式神構築。


 才能のある者の中の才能がある者だけに使える、人類が使用できる能力の中で最大の威力を発揮する技。

 だが、その強さは千差万別であり、使える者の中にもただ使えるだけで、その力自体は大したことのないものばかりだ。

 だが、このミリィという少女はーー


「完全に、大したことのある系だね」


 吸い込まれゆく中、コットは、そんな事を、呟いた。


 *


 アルドノイズは横目で、コットが吸い込まれていくのが見た。


 だが、アルドノイズの姿は、先程とはまるで違う。

 普通の顔が整っている高身長の外国人男性の風貌からまるで一変しており、誰がどう見ても、正真正銘の悪魔の姿になっていた。

 そう、これが、これこそが、アルドノイズの真の姿。

 つい先ほどの外国人男性は『神の代姿』であり、いくらその器が殺されたところで、中にいたアルドノイズに被害はない。

 悪魔の始祖にしかできない、究極の奥義であり、生命線。

 『神の代姿』がないままでしばらくいると、アルドノイズの存在は安定しなくなってしまい、消え失せてしまうのだ。

 だが、神の代姿の中に入っていると、真の力を発揮できなくなる、が、死なない。

 ギブアンドテイク。

 そんな権能を、アルドノイズは使っていたのだ。

 

「……クソッ」


 コットがミリィの式神の中へ誘われる光景を見ながら、アルドノイズはチッと舌打ちをした。

 その舌打ちは、不安はもちろんあるが、アルドノイズはあまりコットの心配はしておらず、どちらかと言えば……たった今、こちらのサイドの戦力がアルドノイズただ一人になってしまったという事だ。


 アルドノイズは、真のアルドノイズの姿の状態で、片手でーー先程とは随分小さくなったーー隕石を抑えてながら、そんか事を考えていた。


 おそらく、というか絶対、この隕石が地球に着弾すると、中にインストールされた『呪い』という能力が撒き散らされ、『人間』に、『呪い』が付与されるのだろう。

 そうなれば、アルドノイズの勝ち目はほぼなくなるといっても過言ではないだろう。

 なにせ、アスファス側には、アルファブルームの半身に意識が芽生えたコットを足止めできるほどの戦力が、最低でも十人はいるという事だ。


 重要要請十大人間兵器。


 つい先ほど、ミリィと名乗る少女が言っていた単語が、アルドノイズの頭の中で、響き続けていた。

 

 

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