68話(神サイド) セバスの過去⑩
「な……ッ!?」
黄金で、荘厳かつ豪華で華やかな一本道にて。
その一本道を含む『世界』の主であるアスファスは、苦悶の声を発した。
アスファスは自分の喉からその声が発せられると同時に、おそるおそる己の首に目を向けると……。
「ぁ……」
ーー見事に、貫通していたーー
何が?
剣が。
そう、アスファスが自ら渡した、ダフネスの剣が、アスファスの首を貫いていた。
「すみません、神様。私……もう、あなたの事が、もう信用出来ないんです」
ダフネスは、目に涙をたまらせながら、震える声でそう言った。
アスファスの首が、落ちた。
*
「……」
アルドノイズは、不気味な違和感を、どことなく感じていた。
そう、アスファスに動きが見られないのだ。
今現在、アルドノイズは神ノーズが新たに定めた『設定』である『呪い』がインストールされている巨大隕石を片手で抑えていた。
どんどんどんどんと、その隕石から脈のような何かが発せられ、アルドノイズの頭の中にその『設定』について理解させられていた。
「……!」
アルドノイズは奇妙な頭痛と共に、不安感と……達成感を感じていた。
なにせ、あのアスファスの強化を阻止、また自軍の強化が達成する事が出来たのである。
それも、こちらはリスクも抱えず、アスファスから神ノーズへ提案した案で。
今この瞬間だけは、完全勝利と言ってもいいであろう。
だから……。
「アルドノイズ!何か来るよ!」
ーー急に、アルドノイズの『仲間』であるコット・スフォッファムが、大声をあげて忠告してきた。
まあ、分かりきっていた事である。
あの、アスファスが、自ら決断した行動を、なんらかの事情があろうとも無視するはずがない。
これがもしアルドノイズを嵌める策だったとしても、あいつは怠らずにちゃんと敵をよこし、あえてまけさせるであろう。
どちらにせよ、戦う事は避けられーー
「……!?」
「いぇーい。ちょんぎれたー」
いつの間にか、アルドノイズの首が切断されていた。
「私はミリィ。アスファス様の、重要要請十大人間兵器の一人だよぉ」
ミリィという少女は、興奮した様に眼光をきらきらさせながら、震える声でそう言った。
アルドノイズの首が、落ちた。
*
何か、が、急に動きだした。
あの勇者の一撃を受けたのにも関わらず、その悪魔だったモノの首から血が生えた。
その首は、部屋の中にある三人と一柱にも気付かれずに、音もたてずに飛んでいった。
それは、磁石の様に、何かに引っ張られるように。
音速を超えて、理を超えて、まるで、何者かの神と同等の力によって、それは飛ぶ。
そして、戻ってきた。
そして、繋がってきた。
そして、帰ってきた。
首は、泣き別れた胴体と、再開し、断切された面と面でキスをし、蘇った。
もう期末テストまであと5日……!まだ前回の中間から1ヶ月しか経ってないのにっ!という事でしばらく休みまーす!




