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超能力という名の呪い  作者: ノーム
間章 呪いの生誕
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61話(神サイド) セバスの過去③


「ーーで、私は今アスファスとかいう奴と戦っているのだ」


「は、はぁ……」


 私たちが自己紹介しあってからおよそ3時間。

 アルドノイズと名乗った男は、私の家のソファにまるで自分の物だとでもいうかのように足を組んで深く座り、私に説明していた。

 そう、アルドノイズ様の今までの経緯を。

 かつて神だったこと。

 アスファスという兄弟に裏切られ、悪魔堕ちしたこと。

 今、そのアスファスと戦っているということ。

 今の姿は世を忍ぶ仮の姿だということ。

 などなど。

 いきなりのファンタジーな話に最初の方はあまり信じていない私だったが、話しを聞いていく事にアルドノイズの口から出てくる怨嗟の言葉の数々や、たまに入る後悔の念など、実感がこもっているものばかりであったため、自分でも気付かぬ内に、いつの間にか信じていた。


「ああ、あとお前はもう人間じゃないぞ」


「はあ……はあ!?」


 アルドノイズのいきなりの発言に、私は思わず声を裏返した。


「あ……?そんな驚く事か?ついさっきあの女に腹に穴開けられてたろ。あんなんで生きていてたまるか」


「あ、ああ……。だから、ですか。じゃあ今の俺は一体どういった存在で?」


 私はおそるおそるそう聞いた。

 もう、悪魔の、しかもその始祖さんに、お前はもう人間じゃないって言われたら、それはもう、あくーー


「悪魔。俺の眷属にしてやった」


「で、ですよねー……」


 私は顔をピクつかせながら、返答した。

 でも、不思議と自分がその事実にまるで他人事のように思っている事も、実感した。


「……」


 結局、自分は、あの時別に死んでもよかったと心の奥底で思っていた事に、気付いたのだ。


「……どうした?」


 アルドノイズは急に押し黙る私を不思議がるように、首を傾げながら聞いてきた。

 妙にイケメンであり、なんかむかついた。


「いや……今、思うと、俺、別にあの時死んでもよかったんじゃないかなと思って……。ああ、別に死にたかった訳じゃないんですけどね、多分。アルドノイズさんにはもちろん感謝しているんですけど……。ぶっちゃけ俺生きてる価値ないっていうか。俺が死んだところでどうも世界は変わりませんし」


 私は自分でも何を言っているのか分からないが、とにかく心の奥にあった愚痴を全部吐き出した。


「まずこの世界に超能力なんていうものがあったから俺は落ちこぼれになったんです。いや、別にあってもなくても変わんないと思いますかど、なんか違くて。もっと友人関係も充実していたはずだと思うしーー」


 もしかしたら、アルドノイズ様にも、どうしようもない奴だと見捨てられてしまうかもしれない。

 でも、なぜか、私の口から出る愚痴は止まらなかった。


「まあ、それも全部俺の能力のせいでーー」


 止まらない。


「もうヤケクソだったんです。」


 終わらない。


「でも、違くて……」


 話しに脈絡もなければ終着点もない、私の今までの人生の後悔、屈辱、挫折。

 とてつもなくくだらない、劣等生の過去の後悔。

 

「だから……俺は、あの時、死んでもよかったかなって……」


「じゃあ、そんなくだらない環境にしか生きていけなかったお前に、もう一つの世界をくれてやる」


 急に私の話しを遮り、大きな声で、アルドノイズ様は言った。


「戦場だ」


 多分、この時この瞬間に、私は救われたのかもしれない。

久しぶりの最新話ですー!まあ、僕的には今までの話の中で一番気に入ってはいない回なのですが……。やっぱりというかなんというか、僕、こういうキャラの心情回は苦手で……。まあ、これからも頑張って、セバスの過去のオチを考えます!

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