59話(神サイド) セバスの過去①
辺り一面真っ暗な暗闇の中なのに、不思議な感覚ではっきりと目の前の存在が見える。
まあ、それは快自身がこの異空間世界の術者だからだが。
「はっはっは、ですねぇ」
「あ?……なんだよ」
「実に、哀れ」
河合凌駕とアルドノイズが戦っている隣りで、永井快とNo.3ーーセバスは、言葉を交わしていた。
両者とも、隣りの戦闘に入れる自身も力もないので、別にすぐさまに戦闘を開始しなくてもいいのである。
逆に、隣りの戦闘の妨害、又は援護のためにも、あまり戦う必要はなかった。
そのため、未だに互いに互いを睨み合っているのであった。
まあ、この世界ーー式神展開『暗館』ーーでは互いを見ることは不可能ーー術者である快は可能だがーーであるため、その言い方は不向きかもしれないが。
「哀れ……?俺がお前と一対一をする事が、か?」
「ええ、ですねぇ」
快は、自分の血管が、濃く浮かび上がっている感覚を覚えた。
実際、浮かんでいるが。
別に煽られて怒る三下ではない……と、快は自負している。
それはともかく、喋り方だ。
いちいち「ですねぇ」を語尾にするのは、とてもうざい。
とてつもなくうざい。
だから……。
「お前、その『ですねぇ』キャラ付け面倒だとは思ったことないの?」
「……あ?」
隣りの凌駕とアルドノイズの戦いが始まってから実に20分。
なぜか分からないが……いきなり、こちらも戦いが始まる緊張感に包まれた。
「は?」
快は、いきなり顔を真っ赤に染めるセバスを見て、首を傾げた。
*
私は、幼い頃から何もなかった。
そう、何も。
能力は『身体能力上昇・中』だ。
ハズレ能力トップ2位と好評の、最弱な能力だ。
因みに、1位は『身体能力上昇・小』。
身体能力がほんの少し上昇する、もやは能力と呼べるものではない、『身体能力上昇・中』の下位互換だ。
最近では薬一つで、擬似『身体能力上昇・中』を行使できる世の中だ。
それはもうハズレ能力ではなく……単に持って生まれてこなかった、だけだ。
だから……なのだろうか。
いや、それは能力のせいではなく、そんなダメダメな自分に嫌気がさし、不貞腐れた後に出来上がった人格の問題だろう。
まだ、義務教育という制度が、かろうじて生きていた頃に、私は生まれた。
分かりやすく言えば、まだ、超能力とは未知で、あまり使われず、現代みたいに地球が傷ついていない頃、だろうか。
まあ、だから私はもちろん、小学校に通っていた。
さっきも述べた通り、私には能力も、学力すらもなく、それはもう典型的な劣等生であった。
誇れる事といえば身長が高い事だけだろう。
ガリでバカでハズレ能力。
もう、生きてるだけでいっぱいいっぱいだった。
しかも、自分がバカだと分かれば学力を上げる気もなくなる。
だからこそのバカだと気づけず、根暗な自己嫌悪男の私には誰一人近寄らず、ボッチとなり、そのまま中学生となる。
……そして、ボッチとなり続けた。
もちろん、高校、大学……には行けず、バイト先でも、ボッチだった。
そんな私に、青天の霹靂が舞い降りた。
「ちぃっ!」
バイト帰り、細い路地裏を歩いていると、禍々しい何かと、少女が戦っていたのである。
そして、禍々しい何かが吹っ飛び、その何かに少女が手を向ける。
「あっ……」
その時、なぜ、自分がその行動をとったのか分からなかったのだが……今考えれば、運命だったのだろう。
私はその少女から何かを庇い、死んだ。
はい。今回の後半からセバスの過去回です。物語が進まないのに加え、どこでどういったオチをつけるか本当に難しいです。始めてこのちょうのろで進行構成を悩んでいる気がします。頑張ります。因みに、今回で5月中に5話投稿した事になりました。パチパチ!




