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超能力という名の呪い  作者: ノーム
四章 封印前夜・前編
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58話(神サイド) 再回


「はぁ、はぁ、はぁ……」


「……」


 現在地、式神構築『暗館』。


辺り一面が暗闇に飲み込まれており、誰一人の顔もみる事ができない。

 もう、暗所恐怖症をもつ者は入ってしまった瞬間に自害を鑑みるような場所である。

 当然、戦いにも適してはいない。

 だが、そんな中でも関係ないと言わんばかりの力を振るう存在が、ーー河合凌駕のーー目の前にいた。


「……どうした、河合凌駕。こないだよりも大分参っているように見えるのだが」


「こちとら連戦で疲れてんじゃい……!それとさっさとさっきからの質問に答えろよ。なんで、そんないきなり『能力』が膨大になってるんだよ!」


 凌駕は、思わず泣きそうな声音で叫ぶ。

 なにせ、この前までのアルドノイズでも十分驚異……というかギリ負けてたぐらいだったのに、もう勝ち目がないんじゃないかと思ってしまうほど、いきなり強くなっていたのである。


 もう、かれこれ三十分ほど戦っただろうか。


 三十分。

 一瞬一瞬が命取りの状況で、心臓をバックバックと鳴らしながら戦う闘いにおいて、凌駕の体力を削り取るには十分すぎる時間だった。


 荒れる呼吸を何度もし、喉はカラカラでガラガラ。

 体を動かすたびに荒い呼吸をし、そのためか咳き込む。

 咳き込むたびに口の中には鉄の味が広がり、本当に咽頭から血が出ているのではないかと心配してしまうぐらいに、体が限界を迎えていた。

 そう。

 もう、ぶっちゃけ、凌駕に体力なんて残っていないに等しい。

 眼球を動かすだけでも辛いが、眼球運動だけでチラリと横隣を見た。


「……!」


 その視線の先の出来事に、凌駕はゴクリと喉を鳴らし……もうカッサカサの喉が悲鳴を挙げるかのように、興奮を抑え込むかのように、咳き込んだ。

 そんな凌駕を不思議に思ったのか、アルドノイズも横を眼球運動のみで盗み見る。


 アルドノイズの視線の先にはーー


「すまない、な……」


 アルドノイズは申し訳ないようにボソッと呟いた。

 そして、何かを決意するように、凌駕の方を再び振り向こうとした瞬間。


「……っ!?」


 途端、アルドノイズの腕に鋭い痛みが走った。

 薄皮を切られた瞬間に『能力』を腕に注ぎ込んだため、切断されるという大事には至らなかったが……。


「……ちっ。惜しっ」


「……」


 凌駕の限定弱体化状態の、体を覆う鎧を着込んだ剣士型の式神ーー『フリーダム』の剣が、アルドノイズの腕を斬ろうとしたのである。

 おそらく、『自由者』限定の擬似式神だろう。

 その式神の『能力』の使用量が、限りなくゼロに近いからだ。

 もし、ーーアルドノイズはあるかどうかは知らないがーーここで凌駕本来の式神を顕現していたとすれば、凌駕の『能力』は完全にきれ、立っている事が限界になるほどの疲労感が襲ってきていた事だろう。


「なぜか『自由者』は使えないが、式神構築は出来る。だが『能力』不足の問題で式神は展開できない……だから式神を使う。何を考えたり企んでんのか知らないが……めんどくさそうだな」


 アルドノイズは興味なさげに凌駕を見つめやがら呟いた。

 それは、まるで、もう闘いを終わらせようとしているように。


「あいつだって頑張ったんだ。俺だって、さっさと倒しちゃわないとな」


 そんなアルドノイズに対し、凌駕は不敵な笑みを崩さずにそういった。

 ……どちらかというと、不適な笑み、だろうか。

 多大な力量差が、残酷なほど、両者にはあったからだ。


「……」


 闘いが始まってから、およそ三十五分。


 再度、『自由者』河合凌駕と『悪魔の始祖』アルドノイズが、互いを殺し合うため、足を踏み出した。



第4章 封印前夜・上編 完

今回で、5月中4回目の投稿となりました。1月と2月はとにかくいっぱいだったのに対し、今月ももう終わる頃なのに4話しか投稿できていない現実……。因みに4月は9話。まあ、これからも1週間に1話2話のペースで頑張っていこうと思います。ちょっと……次くらいからの話から、ある元人の過去回なんですが、ね。物語が一向に進まないので圧縮凝縮して進めていこうと思います、ね。この喋り方、覚えてます、か?答えは20話で。その人の過去です。

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