49話(神サイド) Reスタート
「おは……」
「おはよう」
俺はボソボソと乱暴に頭を掻きながら朝の挨拶をする。
実際今は深夜頃であり、とてもおはようではないが、少女は快く朝の挨拶をしてくれた。
確かに、深夜も朝だ。
俺はあくびをしながら、さっきまで寝ていたソファから立ち上がった。
良いソファだったのか、全然腰が痛くない。
「どうだった?」
「最悪だった。なんか頭の中をぐるぐるされている感覚というか……むう、表現が難しすぎる」
今さっきまで、俺は池井に色々な説明を受けていた。
簡潔に言うなれば、この世界のシステムについて。
どうやら、神たちはとことん人間を虐めたいらしい。
まあ、今のところはアスファスとシンノーズって奴の二人だけだけど。
「みんなは?」
「快が反乱起こしてたって飛鳥さんが言っていたわ。さっきの闘いの音は快と凌駕のものだったって。どうやら智也は関係なかったみたいね」
「ふーん。……快って誰だっけ?」
俺は頭を掻きながら尋ねる。
自己紹介の時はかなり疲れていたのか、全然記憶がなかった。
今覚えている奴と言えば……苗字は忘れたが「巫女って呼んで!」と意味不明な事を言っていた美琴って奴と……。
なんとか大会?で優勝?した?名前は忘れた羽島って奴ぐらいしか覚えていない。
なんか気弱そうな奴と不気味な奴……あいつか?
「なんか不気味で不潔でガリチビのメガネいたでしょ?あいつよ」
「あー、ね。なんかいたな。そんな奴」
俺は再度頭を掻きながら応える。
そんな事を話しながら横目でチラッと時計を見ると、深夜三時だった。
「たった二時間半ぐらいしか寝てないわよ。まあ、神格会議まで後三時間半だけど」
そんな俺に気づいたのか、池井はボソッと言ってきた。
「お前は寝てないのか?」
「ええ、深夜型だもの。これくらい日常だわ」
「……よくそんな綺麗な肌保っているよなぁ」
俺は感嘆するように呟くと、池井はなぜか気持ち悪そうに身を捩りながらも、ため息を付いてドアを親指で指した。
……なぜかちょっと心が傷付いた。
「それはともかく……なんだ?」
俺はそんな池井に問う。
池井が指を指す方には、ただのドアがあった。
綺麗なドアだ。
それだけだ。
「なんだ?って……だから、今その快と河合が戦っているのよ?いいの、行かなくて?」
「ああー……あ……!」
「……?」
ふと、気付く。
ついさっきまで池井に警戒していたはずなのに、いつの間にか気を許していた。
緊張も感じないし、更には目の前で眠っている。
何かされた感もないし、信頼していると言っても過言ではない。
で、その親玉である凌駕は?
さっき池井から聞いた『超能力という名の呪い』についてでは凌駕は全然悪ではなかった。
逆にどっかの正義の主人公と言っても過言ではない。
「ちょっと、確かめる必要があるな。河合凌駕」
「……さっきからどうしたの?」
そう呟きながら、俺はその綺麗なドアを開けた。
なんか英語使うとかっこよく見えると思いませんか?異論は認めん。




