46話(神サイド) 夢の続き①
「くそったれえええええ!早くこいよ6番!」
「お前、弱い。もうまた我の勝ち」
「覚えてくれていて嬉しいよ!手変化[神]!」
殴る。
とにかく、ひたすら、一生懸命に殴り続ける。
だが……その攻撃は相手より遅い。
そのため、その攻撃は防御と化してしまう。
宏人とNo.2ことカオスの闘いは……。
「がはぁっ!?」
宏人の能力により、6本あった内の2本の腕が切り落とされる。
この瞬間には、もう勝負は決したと言ってもいいだろう。
何せ、カオスの腕が4本と宏人の6本で拮坑していたのだ。
いくら出血を気にしない宏人とはいえ、4本対4本では勝ち目がない。
それぐらいに、実力という残酷な現実が二人を分け隔てていた。
「あっ……」
何も出来なくなった宏人に、カオスが死を送ろうとした瞬間に……。
【[転移]】
そんな俺に、10番の能力が発動した。
*
「作戦は……まず1番、お前は砂になれ」
「は……?」
突然のNo.9の裏切り。
それは……6番ことライン・カーゴイスの殺害。
そのNo.9の裏切りによって、宏人はチャン・ナンに[転移]させられていた。
逆に言うと、No.9が[NoS]を裏切らなければ、宏人は死んでいたということだ。
それが、なんとももどかしい。
「お前は絶対に此処で殺す」
「出来るようになってから言えよ」
9番……山崎智也のその言葉で、闘いの火蓋が切られた。
だが……。
「[吸収操作]」
いやらしい笑みを顔に貼り付けながら、智也は能力を行使する。
この男は、能力を調合するという凄まじい技量を持っていた。
能力の調合。
本来なら一人につき一つの能力に対し、調合という言葉は前提すらなく似合わないはずだが……その仕方を知っている。
そんな智也に、ゾッとする。
「えっ……嘘……!」
「あっ……」
「やられたな……」
「[転移]!」
智也の攻撃に対して、10番は咄嗟の[転移]の能力により攻撃範囲から離脱、7番は[強運]の能力により運良く助かったのだが……。
4番と8番は、智也の手のひらの中に吸い込まれてしまった。
そんな7番の[幸運]を目にした智也は……。
「やはり!それも必要だ!」
「[変化解除]!」
俺は砂化を解くと同時に、9番の顔面をぶん殴った。
俺がいない事を疑っていたようだが、まさか砂になっていたとは思わなかったのか、智也は目を見開いていた。
……まさか俺も砂になるとは考えもしなかったが。
「ぐはっ……!」
9番が殴られた勢いに従うように、ごろごろと地面を転がっていく。
「手変化[神]」
そして、俺は手に神の力を宿した。
「お前は絶対に此処で殺す」
俺は再度、呟いた。
手抜き回ではありません……。決して、手抜き回ではありません……。決して!手抜き回ではありませんっ……!




