37話(神サイド) [FORTHS]の過去⑦
「まー……ダクネスはともかく、[勇者剣]と創弥はどうする?」
祐雅の言っていたダクネスという女に嫌な予感を覚えたが、そのことについては今は考えない事にした。
後々嫌でもわかる事だろう。
「[勇者剣]は、創弥に渡す。お前が俺たちに降ったって言ったら仲間になってくれるだろう。そして、二人で[勇者剣]と[魔王剣]の[所有権]を渡しあえ」
「何で……?」
「[魔王剣]はお前を仲間にするために渡しただけだ。お前は[勇者]の方が強い。アスファスは[加護]を与えているだろうしな。創弥は……ぶっちゃけどっちでも良いだろうしな」
俺たちはそう話し合うと、走りながらアルドノイズ様と創弥の元に向かった。
どっちか負けて決着がついてなければいいんだが……。
*
「[エンブレム]!」
「右眼で[魔眼]!左眼で[守眼]!」
……さっきからずっとこれを繰り返している。
いい加減にしてほしいものだ。
片目……片眼で[守眼]や[遮眼]は分かるとして、なぜ片眼で[魔眼]を打つ?
さっきから何回も打たれているが、ダメージも状態異常も何も変化がない。
不気味な程に。
「[エンブレム]!」
「[魔眼][守眼]!」
「[バースホーシャ]!」
「[魔眼]守が……あ、やらかした」
俺は遂に痺れを切らして、特大の能力を使う[バースホーシャ]を放つ。
ずっと[エンブレム]を繰り返していたところでいきなりの[バースホーシャ]。
威力は段違いだ。
[バースホーシャ]を防ぐ事の出来る[眼]は[遮眼]のみ。
[遮眼]とは、ただただ相手の攻撃を避ける事が出来るというシンプルな[眼]。
まあ、特大な能力を使う[バースホーシャ]をただ避けられるというのは釈然としないが……しょうがない。
だからこそ[バースホーシャ]は[守眼]というただ守りの結界を作るだけの[眼]だけで防ぐ事が出来ない。
これで……勝ちだ。
そう確信した時。
「条件達成。対象の[魔眼]の任意分の命中を確認。世界を絶対設定。……完了しました」
「な……!こんな事って……」
……[バースホーシャ]が、消え去った。
それも創弥に命中する直前で。
いや、あれは明らかに当たっていたはずだ。
じゃあなぜだ?
と、創弥を見ると……。
「結果、[魔眼界]又は[魔眼会]の世界を受理されました。結果、[魔眼界]又は[魔眼会]以外の世界は既に展開されているか、却下されました。後に早急の対処を推奨します」
ぶつぶつと、意味不明な事を呟いていた。
これは創弥の声ではない。
だが、聞き覚えのある声を発している。
これは……ソクラノトスの声。
「まさか……!上位世界だと!?」
「神位式神構成合成展開[神界]『魔眼界』『魔眼会』。式神発生展開[魔眼界合]」
この式神は……、神だ。
まずい、こいつはあの[勇者]より弱いと勝手に思い込んでいた!
こいつは……人類最強だ。
エルメスなんて、目じゃない。
いや……まさかエルメスも……。
……まさかな、会ったことのない人間の考察なんてやめよう。
しょうがない、か。
「神ノーズ。少しの間、返してもらうぞ」
「は!またいつの間にか意識を失っていた。なっ!?やっぱ式神展開が最高している!?やっぱ俺すげぇー!」
創弥は意識を取り戻したような反応を見せる。
おそらく、体が世界の構築に追いついていないのだろう。
俺もこいつと同じかそれ以上の世界を創る事は出来るが、いかんせん膨大な能力を使ってしまう。
それこそ、はるかに[バースホーシャ]を超える。
だから、式神展開[獄界廻]を作った。
まあ、それはともかく。
「存在設定・改。上位存在アルファブルーム」
そして、世界に囚われた。
「アルドノイズ様!!!」
「アルドノイズ!!!」
最後に、智也と祐雅が、俺の名前を呼んだ叫びが響いた。
今回は驚異の千五百文字強!あくまでこの作品ではですけど……。因みにちょうのろでの歴代最長話は二千文字強の[禁止者]回です。




