31話(神サイド) [FORTHS]の過去②
「いたいた。ちゃっちゃと片付けちゃおうぜ、相棒」
「勝手に相棒にすんな。創弥」
とある暗闇の更地にて。
太刀花創弥による[透目]という能力を使用し、目の前の悪魔から2人の少年が隠れていた。
隠れているというか……立っている。
能力のためか、堂々としている。
「あ、No.1もいるじゃん……」
「ナウバスだっけ?なんとうか……麒麟じゃん」
2人の少年の目の前には、赤黒い麒麟と、女性がいた。
赤黒い麒麟はともかく、女性の方は普通だ。
特徴がないところが特徴、とでも言うのだろうか。
「じゃあ、そろそろ殺ろうか。祐雅」
「ああ、殺ろう。人類の脅威の象徴、始祖の悪魔を」
太刀花創弥に呼ばれた少年、海野維祐雅。
正式名称、[勇者]海野維祐雅。
人類の希望の象徴、悪魔の天敵、神に期待された者。
見分け方は、産まれた時に、爪が尖って生えていること。
それこそが、[勇者]。
身体全体に勇者の装備をつけ、腰には伝説の剣を垂らしている。
なんともファンタジーな格好と設定だが、神らしいと言えば納得がいく。
そんな勇者と相棒の少年が、アルドノイズに挑む。
絶対に勝てる。
そう、俺は確信している。
だって俺は、アルドノイズを殺すためだけに、神に[勇者]としての力をもらったのだから。
「[透目]解除]、[第六目]!」
「[雷鳴]、クロスオーバー!」
2人が叫んだ瞬間、祐雅の剣から電撃が飛び出し、麒麟の首を裂いた。
「何!?」
アルドノイズが、突然の攻撃に驚く。
[FORTHS]の中で最も強いナウバスが、一瞬にして首と胴体が泣き別れになってしまったからだ。
「[バースホーシャ]!」
同様も一瞬の間に終わらせ、アルドノイズもすかさず反撃する。
地獄の業火と地獄の業水を合わせた必殺技。
凄まじい能力を使うので、[神]クラスの化け物にしか使わない技だが、今はそんなことは言ってられない。
この2人は、神級だ。
一瞬で、理解した。
この2人にこそ、使わなければならないと。
だが……。
「[破目]!」
「[炭界]、クロスオーバー!」
叫ぶと共に、祐雅はアルドノイズの元へ走り出す。
互いの能力が激突し、共に霧散した。
アルドノイズの本気の技が、だ。
威力は互角であった。
(マズイ!)
アルドノイズは身の危険を感じ、走り出したその先に。
1人の少年が立っていた。
「こんな状況でアレだが……俺をあんたの仲間に加えてほしい」
この少年は、[NoS]に所属している。
この少年は、この時この瞬間に、[NoS]を裏切った。
この少年の名前は……。
「俺は山崎智也。アルドノイズ、早急に返事をくれ」
山崎智也。
名前は普通の、異端な少年。
過去編で過去編って……。どうやってオチをつけて本文に戻ればいいのか、僕にも分かりません……。




