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超能力という名の呪い  作者: ノーム
三章 [FORTHS]編
35/301

30話(神サイド) [FORTHS]の過去①


「あああぁぁぁぁぁぁ!」


 凌駕の右手から。

 凌駕の真下の地面から。

 

 いくつもの植樹が生え、伸び、影を貫く。


 その度に、影が言葉にならない悲鳴をあげる。

 神の恩恵を受けた、悪魔の植樹が。


「死ねえぇぇぇぇぇぇぇ河合凌駕あぁぁぁぁぁ!」


「うぜえんだよアルドノイズぅぅぅぅぅぅぅぅ!」


 両者が、大声をあげながら殺し合う。


 片方は無限に湧き出る植樹で。

 

 片方は無限に繰り出す極炎で。


 神の力を得た植樹が、悪魔の力を得た炎を払う。


 悪魔の力を得た炎が、神の力を得た植樹を焼く。


 そんな戦いの横では。


 *


「なぜ、あの者はあそこまで強い?」


「……え?」


 凌駕とアルドノイズが殺し合いをしている近くの林の中で、No.4と呼ばれている悪魔が、ライの首元に剣を突きつけていた。

 それに対し、ライは尻もちをつきながら、凌駕とアルドノイズの戦いを見つめている。

 アルドノイズは、ライの[カット]によって右腕が丸ごと切り取られ、凌駕の式神構築[死者患難]によって回復困難状態になっている。

 凌駕は、右手でNo.1の眼を潰し、その状態で至近距離の暴走[破眼]を受けたため、左手が潰されて、右手を火傷している。

 

 ……この世界に来てすぐから、私はずっとこの体制をし続けている。


 ライは、No.4に「動いたら、殺すぞ」と言われているため一才動いていないが、つい先程まで自分が抱いていた[死]ほど、そこまで恐れなくなくなっている。


 一回、死んでいるからだろうか。

 

 それは、何というか、嫌だな。

 ……生理的に。


「なんで……あっちに参加しないの?」


「私が動いたら、おそらくアルドの邪魔になるだろうからな。あなたを牽制しておいた方が、楽で疲れない」


「へー……」


 アルドって呼ぶんだ。

 なんか意外だな、と思った。


「植樹!」


 凌駕の叫びがここまで聞こえてる。

 

 そういえば……。


「あの、なんで……No.1は[超能力]を使っているんですか?なんか私[呪い]はカタカナとばかりに思っていたんですが……」


「もちろん、そうだよ」


「え……?」


 No.4は、優しい笑みを浮かべる。

 なんというか、人間らしい人だ。

 見た目も、肌が赤黒くなく、剣も白色とかだったら、[勇者]と勘違いしてしまいそうなほど。


「[超能力]は書くと漢字、[呪い]はカタカナ。その見分け方で、今のところは、いいだろう」


「え、ええ……」


「だから、少し、昔話をしようか」


 凌駕とアルドノイズが大音量で殺し合いをする中、そんな場所でも響く、彼の穏やかな口調が、私の耳を支配した。


 No.4は、昔を懐かしむような顔つきで、ライに語った。


 [FORTHS]の昔を。



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