29話(神サイド) vs[始祖]アルドノイズ⑦
影が、増える、増える、増える。
人から、悪魔から影へ。
影から影へ。
止まることを知らず、増えていく。
それが、それこそが。
式神顕現 [地獄]
*
「[エンブレム]!」
「[同]」
アルドノイズとNo.1が一斉に、凌駕に襲いかかってくる。
No.4は懐中電灯を凌駕達に向けながら、ライと戦っていた。
俺が思うに、アルドノイズの幹部[FORTHS]の中では、1番No.4が強い。
おそらく、これもブラフだろう。
No.1も強いが、やっぱり……No.4が1番だ。
アルドノイズは地獄の業火である[エンブレム]を。
No.1は地獄の業火の真似事を。
どうやら、アルドノイズ限定の技の[エンブレム]は、厳密には[呪い]に属さないそうで、今の[怨山迎合]では対処する事が出来ない。
No.1は、相変わらず[超能力]をつかっているが。
この状況で、俺がやるべき事と言えば。
「[爆破]!」
「止まれ、ガンデス!」
「うぁあ?」
凌駕が叫んだ瞬間、アルドノイズとNo.1ことガンデスがバックステップをした。
アルドノイズは、[爆破]が危険だということを誰よりも知っている。
[爆発者] 永井要と、戦った事があるから。
「……?」
だが、何も起こらない。
「まさか……」
「その、まさかだ。」
凌駕が呟きながら、一瞬でNo.1との距離を詰め、目に右手を突っ込んだ。
No.1の黒目が潰れる。
「なやぁぁあ!」
No.1は叫びながら、目を眼にする。
No.1は、防御型の目と、攻撃型の眼を使い分ける事ができる。
今までは主にアルドノイズが攻撃、No.1は補助という形だったので目にしていたが、このとき、眼になった。
「[破眼]」
凌駕に右手を突っ込まれたNo.1は、その時その瞬間に[破眼]を発動する。
眼の範囲、己に刻まれた相手の能力の残穢、相手からの殺意。
この条件が揃った時にだけ発動する、必殺の技。
アルドノイズはNo.1を助けにいこうとしたが、No.1がこの技を発動した瞬間、足を止め、さっきまでの位置に戻った。
この技を発動させれば、勝てる。
アルドノイズも、No.1も迷わずそう思ったが……。
「……」
No.1の眼には、凌駕は写っていなかった。
No.1の黒眼は、既に、潰されていたから。
「くぅ!」
狙いの的がない[破眼]が暴走した結果、凌駕の左腕が消滅する。
だが、凌駕は止まらない。
「[破矢]!」
凌駕からNo.1への、ゼロ距離射撃。
神の矢が、悪魔の眼を抉り、貫通する。
「うがぇあああああ!」
「ガンデス!!!」
アルドノイズが駆け出そうとするが、今度はいきなり[植樹]が暴走する。
そこを狙って。
「[略奪]!」
[略奪の神]ニーラグラ。
その神の、真の、神の技が放たれる。
河合凌駕によって。
「[植樹]」
「……!」
今度は、凌駕から放たれる植樹が、暴走する。




