27話(神サイド) vs[始祖]アルドノイズ⑤
「ぐほっ……!」
ライ・クルシュは、凌駕が[エンブレム]に焼かれたのを心配した際に油断してしまい、No.1の[目]と目が合ってしまった。
そして、吹っ飛ばされた。
何が何だか訳がわからない。
そんな言葉が頭の中を周りに回り、ライは終わりのない、どこまで続く白い世界を転がり回った。
勢いが殺された途端、頭に劇痛が走る。
体は熱く、頭は気持ち悪い。
「かっ……」
思わず嘔吐し、下を向く。
落ち着き、上を向いたら、No.1がいた。
「あ、あ……、あああああああああ!」
目が、合ってしまった。
そして、ライは絶命した。
*
凌駕が燃えている。
[始祖]アルドノイズのオリジナル技である[エンブレム]が凌駕に直撃したからだ。
死ぬ。
普通の人間ならば、な。
凌駕は、[超能力者]だ。
絶対に、油断をしてはならない。
ちょうどNo.1がライ・クルシュという女を殺したばかりだ。
今、凌駕を、絶対に殺す。
「かかれ!」
アルドノイズと3体の悪魔が、燃え、動けない凌駕に攻撃を仕掛ける。
No.1はただただ凌駕を見続ける。
No.2は6本のナタで斬りかかろうとする。
No.4は長剣で斬りかかろうとする。
アルドノイズは、再度[エンブレム]を放とうとする。
そんな中で、燃え続ける凌駕は。
「解除!」
式神構築[死者患難]を解いた。
「……は?」
アルドノイズが驚き、疑問の声をあげる。
ぱりーん!!!
という音が響き、[死者患難]が壊れる。
一瞬だけ、アルドノイズは驚いたが、すぐさま冷静さを取り戻し、凌駕に向かって[エンブレム]を放った。
だが、なぜか、エンブレムは上に飛んでいった。
なぜだ?
疑問に思った瞬間。
重量に見放された。
「な!?」
気付いたら、自分達は空にいた。
もちろん、凌駕もいる。
式神構築とは、どこにでもあり、どこにでもない世界を開く際の術だからこそ、解除した後はどこにでもいける。
面倒くさいテレポートみたいなものだ。
一度開いて、閉じればどこにでも行ける。
だが、いかんせん[能力]を使い過ぎる。
その1度開いたらもう能力は残りかすしか残らない。
そんな大技だからである。
まあ、旅行とかに行く際には便利だろうが。
だからこそ、能力の回復も考えて、[式神構築]は3日に1度使える、ぐらいのところだろう。
だからこそ、1日に2度使う者など、いないだろう。
3体の悪魔は何が何だか分からない顔をして落下していく。
我ら悪魔は人間より体重が重いためか、凌駕はまだ上のほうにいた。
首が痛いが、凌駕の方を見てみると、ライ・クルシュを[蘇生]していた。
俺は舌打ちをしたがらも、2人を見つづけていると、凌駕と目があった。
服はボロボロ。
肌もボロボロ。
何もかもボロボロな状態の凌駕と。
だが、まだ戦えそうであった。
油断は、禁物だ。
俺は体を仰向けにし、[エンブレム]を放とうとする。
ライ・クルシュの顔は、恐怖に染まっていた。
凌駕は、笑っていた。
手を、合わせて。
手を……合わせる?
「おい、まさか……?」
「その、まさかだ」
凌駕はフッ、と笑うと。
「式神構築 [怨山迎合]」
あの、死者患難や怨山迎合ってどういう意味?




